「なにしてるの?」
人工的な光で僅かに照らされた埃っぽいこの部屋に似つかわしくない、変声期をまだ迎えていないのだろう少年の高い声に肩が揺れた。
プラズマ団の城の一室であるこの場所に子供は居ないはずだ。託児所は五階ほど離れているしそもそもこの部屋を利用する研究員に乳幼児の娘は居ても息子が居るなど聞いたことがない。それに時刻はAM2:30で子供が起きている時間ではない。
まさか、幽霊…?
怪談の類は苦手だ。もしそうならばお帰り願わなくてはならない。
そう思い至って顔をあげたが誰も居ないので振り返り扉を見れば、廊下から顔を覗かせる柔らかそうな白緑色の髪を持つ少年と目が合った、気がした。現在この部屋は私しか居らず電気を必要最低限まで減らしているため廊下の方が明るく、顔がはっきりと見えないのだ。
少年の珍しい髪色に気をとられていると再び、なにしてるの、と問われた。
「、明日の昼までに上司に提出しなきゃいけない研究成果を纏めたレポートを…」
「ふうん。ねえ、入ってもいい?」
少年が顔だけじゃなく全身を廊下から覗かせたことによって少年には足があることが確認できた。
幽霊でないならば、と少年に許可を出すと少年は私のデスクまできて、研究資料と、けっして綺麗とは言えない字で走り書きされたメモ、書き終えたレポート用紙を手にとり興味深々といった様子で読み始めた。
あまり自分のデスクを人に触られるのが好きではないので少年の読んでる物を取り返そうとしてはたと気付いた。
少年は裸足で、食事は満足にやっているのかと親に問いたくなるほど細かったのだ。髪色に注目する前に気付くべきことだった。
「きみ、ちゃんとごはん食べてる?」
「…うん。ねえ、ここ計算間違ってるよ」
「えっ」
◆◆◆◆◆
深夜テンションと眠気の狭間をさまよいながら書いたら主のキャラがわからなくなって方向性見失いました。ふわふわは難しいです。ほのめかせながら進んで、淡々とするなかに強い意志を混ぜて、強い意志の中に感情の変化も混ぜて。打つ手が止まるとネタバレに走りそうになるので気が張ります…
一話につき何回か書いて、それを踏まえて完成したものをやっと上げれるかんじになると思うと心が折れそうです。せめてタイトルの意味が暗示できるとこまでは気力保たせたいです。
111018
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