ぎゅう
目の血管が悲鳴をあげた。
眼球にチクッとした痛みが走る。
しかし佳主馬はキーボードを叩く手を数瞬休めただけでまた作業を再開した。
痛むのは目だけじゃない。身体中が休息を求めて悲鳴をあげている。
(あとは…これとこれと、あのプログラムの再チェック…三時間四時間一時間半で八時間半ってとこか…イケるだろ)
そんなことを思いつつもう3日も過ごしてる。
ドッゴンッ
隣――健二さんの部屋から鈍く重い音と、本が雪崩る音がした。
(健二さん…また倒れたのかな)
健二さんは草食系なくせに平気で僕より何日も起き続ける。(数式と向かい合ってるときに限るが。)
どんな集中力を持っているんだと最初は思った。しかし、体力のない彼は数式を解き終わると同時に倒れてしまうことがしばしばしばあった。
(健二さん布団に運ばなきゃ…)
倒れた健二さんを介抱するのは、同居人であり恋人である僕の仕事。今回はいつもにまして音が大きかったので怪我をしてないか心配だ。
一応データを保存し、立ち上がる。
クラッ
途端に激しい目眩に襲われた。思わずしゃがみ込むと目眩は少し引いたが、全身に力が入らずにそのまま倒れてしまった。
(やばい…)
前にもやってしまった事がある。寝不足と空腹が祟って、動く事が出来なくなるのだ。
(誰か…)
集中力が散ってしまい、それまで意識の深くに身を潜めていた三日分の疲労と睡魔が襲ってくる。
薄れ行く思考の中で、携帯のアドレス帳から手探りで
◆◆◆◆◆
選んだのはナツキ先輩のアドレスでしたっていう。共倒れとかしょっちゅうでお互い生活力皆無のクセに同棲してるかずけんが書きたかったです…
ナツキ先輩きたあとが健二さんの寝顔ハアハアな佳主馬くんしか浮かばなかったので没です。佳主馬ェ…
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