オレの嫌いな4月。
オレの嫌いな9月。
オレの嫌いな1月。

オレは身体計測が嫌いだ。
だから、身体計測のある月が嫌いだった。


「次ー」


ああ、ただの順番待ちが絶望へのカウントダウンに聞こえる。

「伸びろー伸びろーオレの身長伸びろー30センチぐらい」

「何馬鹿なこと言ってんの」

「今更そんなんムダ的な?」

「うっせ、願うぐらいいいじゃねぇかちくしょう」


普段は普通に思えてもこの時ばかりは見下されている様に思ってしまう。
そんなオレの心は荒みっぱなしだ。


「次ー」


そうこうしてるうちにもうあと5人。
その内2人はアイスと香だ。


「ああああ…」


なんでもいい、オレの背を伸ばしてくれ!!即効性の背が伸びる薬とかないのか?!


「#名前#唸りすぎ、煩い」

「うわ、やめろ!そんなことしたら余計縮むだろ!!」


アイスがオレの頭を真上からぐいぐい押す。
必死に抵抗しても頭の上の手は振り払えず、しゃがんで逃れると今度は香が旋毛を押した。


「大して変わらないからno problem的な」

「あああもう、仕返しだ!」


オレの身長じゃ2人の頭頂部に力をいれられないから肩からぶら下がってやる。


「ちょっ止めてよ縮むでしょ!?」

「そんなコトしてもどうせ追い付けなくね?」

「くっ…!!」

「次ー」

「ん、アイスの番っぽい」

「あ、ホントだ」


身長は生徒同士で計って、先生に伝えるという形式だ。


「ん、アイスは…170.3」

「あ、伸びた」

「はい次香」

「香はー172.1」

「あ、オレも伸びた」


因みにオレは背が低すぎて計られ専門。
悲しいことにメモリが正確に見えないから。


「次#名前#」

「う゛ー」

「早くしたら?」

「うるっせ、心の準備ぐらいさせろよ」

「time upー」

「ちょ、早!!」

「強制的な。アイスちゃんと計ってな」

「うん」

「やめろおおおおお」


香によって無理矢理背中をステンレスの棒に合わせられる。


「もう観念したから放せってマジ!!」

「手間かかりすぎ#名前#」


香がオレの肩から手を離して、アイスの横に並んだ。そしてあの忌々しい、目盛りのついたステンレスに直角にくっついているアレがオレの頭頂に迫る気配がする







飽きた。
身長はねつ造です。


db
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