わたしは泳げない人魚です。
泳げないせいで友達もいません。
嫌われているわけではなく、動けないわたしといてもつまらないからみんなどこかへ行ってしまったのです。
わたしも小さな頃は泳げてました。ではどうして泳げなくなったかと言うと、ニンゲンのカイゾクが牽制のつもりで撃った銃弾が跳弾し、わたしの足を撃ち抜いたのです。
その時に大事な神経が切れわたしの足は動かなくなってしまいました。

16の夏、わたしは人攫いに捕まってしまいました。怖くはありませんでした。人魚は売れても観賞用なので、綺麗なところで飼われるだけで痛いことはあまりされないと本で読んだことがあったからです。どうせ動けないわたしはどこにいても変わりありませんから。
そして初めての地上にどきどきしました。オークションハウスという建物の大きさにびっくりしました。生まれてこのかた根元と茎しか見たことのなかったマングローブの終わりを初めて見て感動しました。
ニンゲンに首輪をつけられ大人しく待っていると、不意に大きな音が聞こえて視界が真っ暗になりました。そのまま身体が浮いたかと思うと荒々しく誰かに担がれました。とても驚き叫んでしまいましたが、長らく誰とも言葉を交わさずに過ごしてきたせいか掠れた小さな音しか出ませんでした。これまでの人生、無駄なことは早々に諦めて生きてきたのでこの時も叫ぶことをやめ、されるがままに身をまかせました。
しばらくしてようやくどこかに下ろされました。相変わらず視界が隠されていたのですが、会話を聞いているとどうやら海賊の船に乗せられたようでした。


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飽きた
人魚さんのおっぱいで窒息死したい

20120721



db
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