!!ビンタ一回ちゅう一回。
これ書いた人は原作読んだことないし映画も卵のしか観たことない。
服部怖い。キッド自分設定。


自分が盗った煌びやかな品々。
価値のあるモノに囲まれるのは気持ちがいい。それは欲深い人間のみが持ち合わせる感性だと自分は考える。また、これらを集めるのは楽しい。まるで蜘蛛が魅力的な獲物を捕るために巣を作るみたいに。
敵をどれだけ欺けるか、獲物がどれだけ上手く可憐にかかるか、そこが一番の楽しさであり、自分が怪盗というモノをしていて重点を置くところだ。それを充実させるには、良い獲物とそれに見合う好敵が必要不可欠である。最近は少しばかりだが張り合いのある探偵が現れて、きらきらと輝くこれら自身にも、盗む以外の観賞用という価値が芽生えた感覚がした。こうなると全てが愉快に思える。手袋を外し、愛を込めて、気に入りの小振りな冠の輪郭に指を滑らす。

「怪盗キッド、めっけ」
「!」

無音のはずの室内に響いた声、生粋の関西弁。
慌てて振り向こうとするも足を掛けられて後ろに倒れる。しかし衝撃は無く、何かに体を包み込まれるように抱き抱えられた。
首筋に顔を埋められ顎を指で捉えられ、身動きがとれない。

「服部や、分かるな?」
「、   」

はっとり。の形で口は開閉するのみで、音は発せられない。自分は声が出ないのだ。

「真っ白い肌しとんなぁ…」
「  」

不意に首筋にざらつく物が這い、全身に鳥肌が立った。気持ち悪い。体を捻れば生暖かい空気がかかりくすぐったさに足が竦んだ。

「感じてくれとん?」

声が出れば、否定のひとつも言えただろうに。

「いっつも綺麗に盗ってくやん、自分。見惚れてんねんよ、きれいやなぁって」

自分は怪盗だから当たり前だ、そうでなくては存在意義が無い。
比較的自由な足で服部の脛を蹴ってみるも、すぐ目の前はコレクションを飾る棚のため足の振り幅が取れず大した反撃にはならなかった。

「でもなぁ、オレにはかなわへんねんよ。」

横にあった年代物のソファに強引に寝かされる。柔らかいソファーでも打ちつけた衝撃ぐらいはある。しかしそんなものに構ってる暇はない、されるがままではだめだ、と、服部の手が離れた隙をついて上体を捻る。その刹那、パンッと軽い破裂音が比較的静かな室内に響いた。

「っ」

下を向いていた方の頬を平手で叩かれた。すごい力で、頭から体がソファーに逆戻りした。
口内に久しい鉄の味が広がり、直ぐに痛みがジリジリと襲った。

「ははっごめんなぁ!痛かったか?」

痛いに決まっている。
見下ろしてくる服部を意志を込めて睨み返すと口がいやというほど歪んでいた。

「痛かったかぁ。でも、自分が悪いねんで?大体逃がすわけないやろ。」

ひゅっと空気の漏れる音がして唇を塞がれる。

ぴちゃ、くちゅ

どもった水の音が、いつもは無音の部屋に響く。

「   、    」

頭の中がぐちゃぐちゃして。
視界が掠れた。

「もう限界かいな?」

もともと現状把握と情報処理のどちらも盗み以外の日常的なことで上手く使うことができなかった。幼い頃から盗み以外では働かない頭をもっていた。
自分の感情も上手く整理できず、ぽたぽたと涙が溢れ出した。

「  」
「まあ、せやったら明後日迎えに来たるし、それまでに覚悟決めときな?」

明後日。
これから自分はどうなるのだろうか。唯一の生き甲斐にも感じていた盗みはもう出来ない?自分の厳選し盗み出したコレクションを存分に眺めることも?

「ははっそやなぁ!」

自分を見下ろす人物がそう言った気がした。
言葉を持たない純白の蜘蛛は快楽主義のカラスに散らされる

「逃げようなんて考えんなや。逃げたら目、潰したるさかい」




■■■■■
服部がただの8KUZA…
原作ぶち壊しごめんなさい。
20091228に書いたものをけっこう気に入っていて、ついに加筆修正して再び日の目をみました。
服部に堪忍なあって笑わせたいしキッド泣かせたいです。あと半年で私もR18書けるようになるので楽しみです。


120211

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