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常に吹雪いているこの山で、色と言えばポケモン達と自分の着ている服ぐらいしかない。かつては日に焼けて健康そのものだった自分の肌は、いつの間にか透き通るような真っ白になっていた。
命の力に満ち溢れたポケモン達の毛艶は暗い洞窟の中でも輝いている。しかし、自分の服は薄汚れていて、活性を感じられなかった。
そんな、他者の命を感じるしかない生活に、燃えるような、吸い込まれるような、それでいて霧散してしまいそうな、一度瞳に映してしまったら焼き付いて離れなくなる赤が現れた。その瞬間、旅をしていたときにも感じたことの無いぐらいの興奮が沸き上がるのを感じた。
「バトル、お願いします」
突きつけられたモンスターボール、自分を真っ直ぐ見上げてくる灰色の目。
この時レッドは初めて、不誠実にもバトルの後を考えてしまった。
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