!!職場は捏造。
 ヘタレでなんか幼いトウヤ。


「あっトウヤ」


 ライモンとホドモエを繋ぐ橋で羽集めをしていたら、伊千さんと会った。すごく久し振りの再会に、もう三日目になる羽集めで積もった疲労が軽くなるのを感じた。
長年カノコでオレら幼なじみの年上のお姉さんだった伊千さん。カノコには伊千さんと同い年も上下一年違いも居ないので遊び相手が居らず、しょっちゅうオレらに構ってくれた。
 よく笑い構ってくれる彼女にオレは想いを寄せていた。結構アピールしたのだけれど、彼女はついに気付くことなく旅にでてしまった。
 それからオレらが旅を終え一度カノコに集結したとき、既に旅を終えていた伊千さんは「天職みつけた」と就職のために猛勉強をしている最中だった。希望先はライモンシティにあるギアステーションのバトルサブウェイ現場管理部で、志望動機は管理部なら防犯カメラを通して毎日沢山のバトルが観れるからだそうだ。せっかくまた一緒に過ごせるのだから一緒に居たかったけど、邪魔して嫌われるのが怖くて、伊千さんが会いに来てくれるのをベルとチェレンとただただ待っていた。
 結局伊千さんはあまり会いに来てくれ無いまま無事就職し、晴れてライモンが職場となった伊千さんはライモンだと家賃が高すぎるからとホドモエのマンションで一人暮らしを始めてしまった。
 あまりにもあっさりとカノコを離れてしまった伊千さんに、正直不満ばかりだった。
 でも嫌いになることは出来なくて、こうして偶然出会えて更に話しかけてくれたことに舞い上がりそうになっている。

「トウヤ、今日このあと暇?暇だよね?もう夕暮れだし!うち来ない?」
「…テンション高い」
「あっやっぱ分かっちゃう?実はねー上司に良いお酒を頂いたのよ!」
「え、伊千さん酒呑むの?意外」
「酒はいいよ、トウヤ成人したら一緒に呑もう。今日はベルとチェレン一緒じゃないのね」
「いつも一緒じゃないし」
「そうなんだ、驚き。あ、トウヤ晩何食べたい?なんでも作るよ」
「じゃあペペロンチーノがいい」
「おーまかせろー!!」

 随分とご機嫌に先導し始めた伊千さんの後ろ姿に、あーやっぱりオレ好きだなこの人、と、どうしようもないことを思った。

 無性に恥ずかしくなって、伊千さんのスラッとしたオレより少し小さい背中に飛び付いた。タックル紛いのハグだ。伊千さんはよろけたけど立ちとどまってくれて、どうしたどうしたと上から後ろ手にわしゃわしゃと撫でてくれた。


アナタが大好きです!!
今触れているところからこの思いが伊千さんに流れていったら、なんて思ったけど、そうしたらオレは干からびて砂になって、アナタは破裂してしまうだろうから、いつか伝えるまで待っていて下さい。




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トウヤくんキャラ行方不明でごめんなさい。

120211

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