「伊千、入ってもいいかい?」
「あらN様、お久しぶりですね。旅はもう終えたんですか?」
「ちょっと疲れちゃって、休憩」
「そうでしたか。あ、今ココア淹れますね」
「わ、伊千のココア久し振りだなあ」

久し振りのN様に最近荒んでいた心が少し和らいだ。前回N様が来たときからあまり減っていないココアの粉とN様のマグを用意し入ちゃちゃいとココアを作って、私の仕事椅子に座るN様へ差し出す。

「暑いので気を付けてくださいね」
「うん」

ふうふうとココアを冷ますN様をみていると、なんだか温かい気持ちになった。

「城の外は、どうでしたか?」
「…よく、わからないんだ」

N様がその言葉と共に下を向くと、ぽたぽたと水滴が2つ落ちてN様の黒いズボンに更に黒い円を2つ描いた。

「…どうかしましたか?」
「…人間って、忙しないね」
「まあ、そういう人たちもいますよね」
「トウコとトウヤは僕にやけに早口だねって言うんだ。でも、僕が早口で喋らなければ彼らはどんどん先へ行ってしまう。矛盾してるよね。僕は考える事に必死で置いてけぼりだ。着いていこうと考える事をやめたら僕は生き物じゃ無くなる。」
「うーん、考える事は良いことだと思いますよ。必死になってついて行かなくても、N様にはポケモンがついていてくれてるので、わざわざ人間に合わせることもないと思います」
「…伊千は、僕が考え込んで前に進めなくても待っていてくれる?」
「そりゃあ、もちろん」
「伊千は、人間だよね。人間なのになんでこんなに僕に優しいんだろうね」
「N様は、大切な方ですから。」
「それはプラズマ団の?それとも伊千の?」
「うーん…どっちも、です」

どこか満たされた笑顔を浮かべるN様に正面から抱き締められ、私は子供をあやすように背中を撫でた。

「伊千、好き。」
「ありがとうございます」

その言葉の指す意味がハッキリするまでは、私は応えてはいけない気がした。


どうぞ、あなたのために




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ふわふわ難しいです。依存、依存、と呟きながらゲシュタルト崩壊しております。依存ってなんだと考えながらさくらんに手を出しました花魁かっこいいごめんなさい。
良い依存本があったら教えてやってください。

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