残暑
2013/10/08 10:59

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散々こねたにもお話にもあげてますが、王子が好きです。
理由は明快、悪だからです。

人心に訴える突き抜けた行動は、悪という一貫性があって可能だと考えます。
逃げた先の町も破壊した時、王子は全く良心が痛んでないと思われます。
王子は“悪”として己の信念を押し通す。
逆に正義と定義される人物の代表として遊馬を例に挙げます。
最初から迷い続け、支えとなるアストラルを失えばおろおろと狼狽する。

「自分の行為が正しいのか?」と苦悩するのは、主人公の典型ですね。
正しさの決定権は実のところ、己にはなく、判断する第三者にあります。
正しい行為とは、自分以外の人間から見てそれが利益となるか否かです。
不利益ならば悪。
そうした価値判断を行う第三者の目をを決定に参与させるか、させないか。
正義と悪の違いはここにあります。
正義は第三者の目線で判断し、悪は利己による判断であります。


また、悪のレッテルを自らに課すことは、己の迷いを振り切るという効果があると考えます。
人に言われたから行動を起こす、という方が自身の呵責は少ないものです。
悪人は、自身を「悪」であると決定し、悪の行動規範に従うことを選択したとも言えるのではないでしょうか。彼ら悪漢は、悪というものを行動の拠り所にしている、そう考えることが出来ます。

悪として己を貫く潔さと、その裏に悪に位置づけることになった弱さがある。
以上の二点より、悪の魅力を感ずるところであります。





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