目の当たりにした官兵衛ですら腰を抜かしてしまいそうなのだ、これをスピカが見たら… と思うがそのスピカは三成の肩に顔を埋めている。遠慮することなく三成は声を上げた。


「コレに害なす者を私は斬滅することが出来るのだ」

「…っ」

「…が、今はスピカを宥めるのが先だ。今回だけは見逃してやる。しかし次はない!覚悟しておけ…!」

「あ、待て…!小生のツキの星ぃぃぃ!!」


床に這いつくばる形で官兵衛はスピカへと手を伸ばすが相手にされることなく、立ち去られてしまい。遠退いていく三成の背を見ながら、ガクッと力尽きたように倒れた。


*****


「…それでそのひっつき虫かい?」

「はい」


チラリ、と2人が目線を送るのは三成の脇腹にしがみつく小さな物体。スピカだ。
白く小さい手を精一杯伸ばし、三成の着物にしがみついていた。顔まで埋めてしまって苦しくないのだろうか?

怖がらせないよう優しく声を掛けた。


「スピカ」

『…………。』

「スピカ、僕のところにおいで。いつまでもそれじゃ三成くんが身動き取れないよ」

「半兵衛様私は別に…」


大丈夫ですと口にしようとするがそれは半兵衛から送られた視線によって阻まれてしまい。きゅ、と口を結んだ三成に満足し再びスピカへと視線を戻せばキョロキョロと辺りの様子を伺っていた。

余程官兵衛が怖かったのだろう。
その姿、気配がないかを確認するとバッと半兵衛に飛びつくようにして抱きついた。


「よしよし、怖かったねスピカ」

『んー…』


返すようにぎゅっと抱き締めポンポンと頭を撫でてやればぐりぐりと頭を半兵衛の肩に押しつける。
普段のお転婆っぷりはどこへ行ってしまったのか。全身からしょんぼりとしたオーラが漂っていた。

まったく、こんな幼子を怖がらせるなんて…。彼と並び“二兵衛”と称されるのが不名誉に感じる。
いや、不名誉だ。


「官兵衛くんには後でキツいお灸と大量の仕事をあげなくちゃね…」

スピカに手を出す暇がないくらいに。


「それならば既に形部が」

「大谷くんが?」

「はっ。…奴のいびりは心身に堪えます」

「そうだね…。うん、適役かな」


それによって官兵衛の胃に穴が開こうとも、きっと誰も心配しないのだろう。
自業自得であった。

end.


官兵衛ってゲーム内で「ツキの星を〜」云々言ってたなと思いまして。
ただの幼女誘拐でしかない^p^
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