根本的な違いだった。
そうだ彼女は人ではない。故に人と同じ枠で考えてはいけないのだ。


健やかなまま生涯を過ごせることが憎い。羨ましい。そう妬むと同時に安堵した。何故安堵など。決まっている、己もまた絆されたのだ。三成と同じように。

抱く感情が綯い交ぜになってゆくのを確かに形部は感じていた。胃がもたれるような、決していい感覚ではなかったが清々しい気分だ。

触れることを遠慮しなくていい。
視界に入れることに躊躇しなくていい。
声を掛けることを中止しなくていい。

穢れを知らない、血を戦を痛みを知らぬこの星に触れてもいいのだ。

目を細めながら包帯に包まれた手を伸ばし、スピカの星色の髪を撫でる。きゃっきゃっと声を上げて星がハシャいだ。


『やーん、かみぼさぼさなるぅーっ』

「案ずるな、もうボサボサよ」

『えっ!』


形部の言葉に慌てて髪を触るがどうにもなっていない。朝方、女中が整えてくれた時のまま。

騙されたと気付いたスピカは目尻を上げて形部を睨む。その瞳は小さな夜空を模していて。思わず魅入ってしまった。


『もう!ぎょうぶのばか!はげ!ちょうちょ!』

「ほめ言葉にしか聞こえぬナァ。そもそも騙されるのが悪いのよ、ヒッヒッ」

『む〜…!』


頬をこれでもかと膨らまして怒る姿は何とも愛らしい。怒っているのも気にせず人差し指で首筋をくすぐれば、膝の上で転げ回った。

あァ、楽しや

end.

シリアスなのかほのぼのなのかよう分からん…!
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