/葉月
どこか遠くで雨の降る音がした。
しとしとと注ぐ、やわらかな音につられて意識がわずかに浮上する。かすむ視界で確認した時計の短針は、記憶に残っているそれよりもふた周りほど進んでいた。いつの間にか眠っていたらしい。
かけた覚えのないタオルケットを引き上げつつ、ソファーから落ちないように寝返りを打つ。となりではヘッドホンをした月島が本を読んでいた。
もういちど目を閉じる。心地よいまどろみにとろとろとたゆたう。
雨は変わらず降り続いているようだった。
item>>phantom
title>>所謂