首が灼けるように痛む。

いままで散々、僕をあれだけ貪り食っていた影山は、今は黙ってうつむいている。青い月明かりのもと、なだらかなまぶたが惑ったようにふるえていた。
僕はのろのろと目を閉じる。身体にまったく力が入らない。

さっきまでの行為のなかで影山がつけた首の傷から、なまぬるいものがすべり落ちる。僕はわずかに眉をひそめた。

ここまでの傷は、ひさしぶりだ。
だからやめてって言ったのに。言葉の終わりが掠れて、息と混ざる。
いつも、僕をひどく傷つけてからでないと、影山は気づくことができないのだ。僕の、この浅い呼吸も嗄れた声も、すべからく、さっきまでの影山には聴こえなかったものなのだ。

影山は、また、触れ方を誤ったとでも思っているのだろうか。きっとそうだ。
少しでも悔いているのだろうか。それはそれでなんだかいい気味のような気もするけれど、傷をつけたことを後悔しているようなら話は別だ。僕は誰のものでもなく、下手をすれば僕のものですらなく、ただ影山のものなのだから。

影山が不意に僕を抱き寄せる。きつく僕を縛る腕が、影山の懺悔の証明だった。
なにを悔いることがあろう。僕は影山に帰属しているのだから、だからそんなことで後悔なんて、しなくても

「いいのに」


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -