再確認【土銀】


『再確認』



…忘れていた……
今日が5月5日ということを…



「なぁー…新八ィ…」

「知りませんよ。土方さんの誕生日を忘れていたからって僕にはどうすることも出来ないんですから。」

「最悪ネ!恋人の誕生日を忘れる奴は最悪アル!!」


銀時は朝から困っていた。
土方の誕生日をすっかり忘れていたのだ。

どうしようか、と新八や神楽に相談するが全く相手にされない。



「まぁ…その…昨日の夕方まではちゃんと覚えてたんだよ、俺だって。だけど長谷川さんと酒を飲んでる間にすっかり忘れちまってよ…」

「はぁ…。銀さんは酒のせいにするんですか。…しかもどうして前日にプレゼントを買おうと思ったんですか?別に前もって買ってたってよかったじゃないですか!」


新八にそう言われ、何も言い返せない。


「銀ちゃん、仕方ないアル。ちゃんとマヨに謝ったほうが賢明だと思うヨ。」

「…だな。」

「じゃ、僕は神楽ちゃんと姉上のところに行ってきますから、その間に解決しておいたらどうですか?」


そう言うと新八は神楽とそそくさと出て行ってしまった。


部屋で一人考える…
プレゼントも何も無しにどうやって土方の誕生日を祝えばいいのだろう…?



「…しゃあねぇなぁ…ちょいと銀さんが腕を奮ってご馳走でも作りますか!」


意を決したように立ち上がると、早速料理の買出しに出かけたのだった……






***

真選組屯所にて…


「あれ?土方さん、今日は非番じゃなかったですかィ?」

「…そうだけど。」

「あ、さては今日土方さんが誕生日だということを旦那が忘れてるから腹を立ててるんですか?」


沖田はニヤニヤしながら土方をからかう。
そう、沖田の言うとおり土方は少々腹を立てていたのだ。


(俺に対する想いってこんなもんだったってのか…?)



頭の中で様々な疑問が湧いてくる。
最後に銀時と会ったのは一週間前、特に待ち合わせをしていたわけでもなく土方が巡回していたときにバッタリ出くわした…というようなシチュエーションだった。



土方と銀時がそういう関係になってから早二ヵ月が過ぎようとしている。
それなのに銀時は会う約束すら持ちかけてこない。


頭の中がぐちゃぐちゃになり頭を掻き毟ると沖田が笑いながら土方の肩を叩いた。


「土方さん、そんなことはひとりで考え込まないで直接旦那に聞いてみたらいいじゃないですか。
旦那は土方さんを好きだと言ってくれたんですよねー?あの人は嘘は付かない人だと俺は思いまさァ。」

「…さぁな。じゃ、ちょっと散歩に行ってくらァ。」


(ホントは散歩なんかじゃないんですよねェ?土方さん…)


沖田にアドバイスを受けること自体屈辱的だったが、今はそんなことは言ってられない。
真相を確かめるべく、土方は銀時の元へ向かったのだった………






***

「ふぅ。こんなもんでいいか。いやーそれにしても俺って天才だなぁ…こんな短時間でこれだけのモンを作れるなんてよォ。」


その頃、銀時は土方の誕生日を祝うため、せっせと準備をしていた。
ところが、「あっ!」と言うと忘れてたと言わんばかりに目を大きくした。


「ヤバイ…肝心の土方を誘ってなかった…」

主役を呼び忘れた銀時は慌てて受話器を握る。



ピンポーン…


タイミングよくチャイムが鳴り、仕方なく銀時は玄関を開けた。



「…あ…」


そこに立っていたのは、ちょうど今電話して呼び出そうとしていた土方だったのである。
土方は息を切らせている。おそらく走って来たのだろう。


「ひじ…「銀時!」


いきなり名前を呼ばれたのでビックリする。
肩を掴まれ凭れ掛かるようにして呼吸を整えてから銀時のほうを真剣な眼差しで真っ直ぐ見た。


「俺、銀時に何かしたか?…最近全然連絡ねーし…」

「…いや、何もしてないでしょう。連絡って言ったって土方忙しいだろ。コッチはいつ電話したらいいのかわからなくて…それで…。」

「…そうだったのか…。」

「勘違いされるようなことしてたら謝るけど、俺…土方のこと嫌いになったわけじゃないから。」


銀時からの気持ちを聞いて、土方は安堵の溜息を漏らした。



「…よかった…。てっきり俺はお前に嫌われてたのかと思ってたんだ。」

「俺がいつ嫌いだって言ったよ?」


その言葉を聞くと、急に胸が熱くなって、気がつくと銀時を抱きしめていた。


「ば…馬鹿!玄関先で止めろって!」

「うるせーよ、人の誕生日を忘れてた罰だ。」

「…それなんだけど…」


こっち!と部屋のほうを指差し、抱きついている土方の腕から逃れると中に連れていった。


「土方、ゴメン!俺にはこのくらいのことしか出来なかった!」

「…銀時、コレ…」

「俺、うっかり土方の誕生日を忘れちまって、即席だけど誕生日会を開こうと思ってよー……嫌だった?」


申し訳なさそうに銀時は土方を見る。
土方はテーブルにあるたくさんの美味しそうな料理を見て困惑した表情をしていた。


「…嫌なわけねーだろ。…ありがとう…」

「ささっ、冷めねぇうちに食べようぜ!ちなみに、全部の料理に土方の好きなマヨが入ってんだぜ。」

「…こんなに祝ってもらうのは初めてだ。自分の誕生日がこんなにいいものだと思ったのも今日が初めてだ。」




和やかな時間は過ぎていく
今日の夜の万事屋銀ちゃんはいつまでも灯りが灯っていた………








end







あわわ!遅くなりました!!
久しぶりの更新です!
今回は土方のハピパ文ということで。
…とにかく、眠くてですね…もう…ぐっだぐだです、すみません。
感想などありましたらメールフォームや拍手でお願いしますね(@`▽´@)/


2009.05.08

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