解釈の違い【土銀】
「銀時!!!!」
怒鳴り声と共に勢いよく玄関の戸が開かれた。
「…なぁに土方ァーそんな恐ろしい形相で。」
銀時は特に驚くわけでもなく、煎餅を食べながらテレビを見ている。
土方はそんな銀時の胸倉を掴み、怒りをあらわにする。
「なんで教えてくれなかったんだよ!?」
「……何が…?」
「ホワイトデーだ!!」
「あぁ…そういや今日はホワイトデーか。忘れてたわ。…なんかホワイトデーって存在感薄くね?」
「お前も忘れてたのか。」
「…それがどうしたっての?」
銀時が聞くと土方はソファーにドカッと座り、
「お返しがしたい。」
と言ってきた。
そう、思い返せば先月バレンタインで銀時は土方にチョコを渡したのだった。まぁ、チョコだけでは済まされなかったわけだが……
「お返し?いらねーよ別に。だって俺が作ったチョコ、正直失敗しちまったし。」
「あれのどこが失敗だったんだ?俺は美味いと思ったけど。」
「失敗だよ、失敗。だって土方は甘いのがあんまり好きじゃねーのに、俺好みで甘くしちまって…」
自分の失敗について思い出したのだろう、少し落ち込んでいる。
(…なんでそんな顔するんだよ…)
「銀時…」
落ち込む背中に腕を回し、脇腹の辺りを摩ってやると擽ったそうに身をよじらせた。
「…擽ったいって…!シリアスな場面で何してくれてんだ…」
「俺は!」
銀時を自分のほうに向かせ、しっかりと目を見る。少々潤んだ赤い瞳で綺麗だった。
「俺はそんなことは全く気にしてねぇ。銀時が作ってくれた物なら何だって美味いし嬉しい。」
「土方……」
作り笑いではなく、好きな者にしか見せない純粋な笑顔を土方に向けた。
「…それで?お返しって何くれるの?」
「何がいい?」
銀時が悩んでいると、土方がニヤニヤしだした。
「んなっ!何だよそのニヤついた顔!」
「何を迷ってんだ?素直に『土方が欲しい』って言えばいいじゃねぇか。」
「はぁ!?ばっかじゃね??」
呆れたとばかりにため息をつく。
「なら何がいいんだよ!テメーがさっさと決めないから、俺がそんな恥ずかしい事を言わなきゃいけなくなるんだよ!」
「…んじゃ…絶対イヤって言わないと約束してくれるか?」
「…あぁ。」
「…旅行に行きたい…お前と…」
一瞬、その場が凍り付いた。
「…なんでチョコのお返しが旅行になるんだよ…」
「…お返しだろ?別に物にする理由もねぇし…。それに最近ずっとすれ違いの生活送ってたわけだし?…いいかなぁ…と思ったわけ。」
ボソボソと訳を話す銀時。
土方は何かを思い付いたのか、銀時の手を握りニヤついた顔で見た。
「行こう!」
「あれ?嫌だったんじゃないの?」
「まぁまぁ何も言うなって。んじゃ今日中に旅館の予約取ってくるから。」
そう言うと、勢いよく走って帰ってしまった。
一人部屋に取り残された銀時は、あっ…と声を漏らす。
「…俺…旅行に行きたいって言ったのに、アイツ旅館に行こうとしてる…」
良からぬことを考えているのだと悟り、前言撤回したくなったのだが、それから数分後土方から旅館の予約が取れたと連絡が入った。
後日旅館にて『お返し』を嫌というほどされたそうな………………
end
ホワイトデーネタです。
旅行を違うように捉え旅館を予約した土方ですが……いやぁオバカですね(笑)
『お返し』は何をされたんでしょうかね?にやにや←
眠い目を擦りながら書いた文章ですので、全く纏まりがありません。ごめんなさい。
お読みいただきありがとうございました(^O^)
2009.03.13
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