懐かしむのは失くした熱で


『懐かしむのは失くした熱で』



「…キラ」

「……」

「アキラ。」

「えっ?」


nに呼ばれてはっと我に返る。

申し訳なさそうにnを見ると、溜息をつきながら側にやってきた。


「どうしたんだ?外なんか眺めて。」

「…いや、なんでもない…。」


nは首を傾げながらアキラの目をじっと見る。



この瞳も…今ではすっかり人間らしくなったな…



アキラはそう思った。




nと共にトシマを脱出して早4年が経つ。
去年まではnとアキラを追う者達がたくさんいたが、この頃その数も減ってきた。

だが、まだ油断は禁物だ。いつ命を狙う者が現れてもおかしくないのだ。
これまで逃げ切れているということだけでも奇跡にちかい。




nの痛いほどの視線がアキラに注がれ、いい加減見つめ合っているのが苦しくなってきてアキラは視線を逸らした。

「…まだ…忘れられないのか。あの日のことを。」

「…っ…」



nは完全に見破っていた。
ケイスケが自分の目の前で死んだあの日のことを…

天気が悪い日はなんだか気分も落ち込んでしまい、4年前のことを思い出してしまう。



自分があの場所にいなければ
自分がもっと早く敵の存在に気づいていれば…



思い出すだけで気が狂いそうになる。


確かに、あの時は『前に進まなければいけない』…そう思っていた。
だが、考え事をする時間が増えたことで今更ながら『後悔』という気持ちが沸々と湧いてくる。


nは黙り込んでしまったアキラの肩を擦りながら隣の椅子に腰掛けた。


「…お前は間違っていない。」

「n…」

「アイツの運命は決まっていたんだ。アイツだって後悔していないはずだ。…そうだろ…?」

「…でも…ケイスケは…」

「…死んだ者に何を言っても無駄なのはお前だってわかっているだろう?」

「…っ…ケイスケ…」



気づかぬうちに涙が零れていた。



nの言うとおり、死者に何かを言ったところでどうこう変わるわけではない。



…どうしたらいいのかわからなくなる…





不意に身体が温かくなる。
見るとnがアキラの身体を抱きしめていた。


「…n…」

「アキラはアイツの分まで生きているじゃないか。何をそんなに悲しむ」

「……失ってしまった人は帰ってこない…。…n…俺の前から消えないで……」

「…アキラ…」

「nまで死んでしまったら俺は壊れてしまう気がする…。…大事な人を…もう…失いたくないんだ…」

「……」


nはアキラのおでこに軽く口付けた。


「…どこにも行かない。俺はいつまでもアキラの側にいる。だから、もうそんな悲しい顔をするな。」

「……ごめん…。」


アキラはそっとnの背中に腕を回し抱きついた。



nの体温に心地よさを感じ、目を閉じる。

服を通して伝わる熱を逃さないように、アキラは腕に力を込めた………






end




咎狗強化月間です!
今回はナノアキでした。
…おかしいな…ケイアキにするつもりだったのに…(笑)

そして、理解不能文です!\(;´□`)/
ごめんなさいごめんなさい!

まぁ、今回の文を要約させていただくと、『アキラはケイスケの時のようにnには死んでほしくない!』ということです。
てか!この作品、普通にnって言っちゃってますね(笑)
…だだだって!nの本当の名前ってわかんないじゃないですか!
別に、『山田』とか『鈴木』とか適当に苗字をつけてしまってもよかったんですが…なんか嫌じゃないですか!←
それならnのままでいいかなぁ…なんて^^

テキトーにさらさらっと読んでいただけたら?と思います。


2009.03.16

※タイトル提供『夜風にまたがるニルバーナ』





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