タイミングの見極め


咎狗強化月間!

シキアキです!
※監禁時にて

―――――――


無機質な簡素な部屋に置かれたスプリングの壊れたベッド

湿気のせいでカビ臭いところでアキラは途方に暮れていた。


ケイスケの死
シキによる軟禁…

たくさんのことが起こりすぎて頭の中で整理できない。


左手首に手錠を掛けられ、もう片方はベッドのパイプに繋がれていた。



「…っ…くそ!!」

そんな悲痛の叫びは誰の耳にも届かず、一人虚しくベッドを殴った。




どうして俺なんだ?
どうしてあの時俺をケイスケから放したんだ?
何故あの時俺を殺さなかったんだ?



たくさんの疑問が脳裏を過ぎる。


誰からも恐れられているシキ。

冷酷なその赤の瞳は全てのものを無に帰してきたはずだ。


それなのに何故自分は生かされているのだろう?




誰も来ない無音の空間で疑問ばかり浮かんでしまう。



所有の証として開けられたピアスが疼く。

誰にも触れられていない。
それなのに疼いてしまうのは自分が徐々にシキに溺れていってしまっている証拠なのか。
そう考えるだけで反吐が出る。




溜息をついたとき、ドアの外で硬質な靴の音が聞こえる。



「…っ…」


ドアが開き、漆黒の髪をしとどに濡らしたシキが帰ってきた。


「…だいぶおとなしくなってきたようだな。」

「っ…うるさい!」

「ほう?まだ主に歯向かおうというのか。」


そう言うと乱暴に手首を掴まれ頭上で一つに纏め上げられる。


「まだまだ躾が必要なようだな。」


服の中に手を入れられ、身体を触られる。
雨によって冷えた手が当たり、思わず顔をしかめる。

身体を這っていた手がズボンのチャックに触れると勢いよく剥がされた。


「まだ触れてもいないというのにこんなにして…本当にお前は淫乱だな。」

「…っく…」


身体を触られるだけで感じてしまう自分はもう末期なのではないかと思う。
見られているという羞恥で顔を背けるが顎を掴まれ無理矢理シキのほうを向かされる。

殴られる!…そう思い目を硬く瞑ったが、そんなアキラの予想とは違った。
シキがアキラに唇を重ねてきたのだ。


思わず目を開くと目を閉じたシキの整った顔が目の前に広がる。


そこでアキラは戸惑った。
今まで幾度となく抱かれてきたが、優しくされたことなど一度もなかった。
それなのに、今日はどうしたのだろう。
子供をあやすかのように開いたほうの手で優しく髪を撫でられ、全身の力が抜ける。

それをシキは見逃さなかったのだろう。
唇を離すと急にアキラの膝裏を持ち、シキ自身の猛ったものを取り出し、乱暴に宛がった。
いきなりのことに気が動転するのがわかる。

しかし、反抗しようにも両腕を拘束されているためできない。

勢いよく中に入れられ体中が悲鳴をあげた。


「…っあ!!んっ…!」

慣らされていないそこは限界を示しているが、シキは挿入をやめようとはしない。

「…な…なんで…」


全てが分からなくなるが、苦し紛れに言葉を紡ぐ。

「…どうして好きでもないのに俺を生かした…っ…俺が嫌ならだ…くな…」


目からは涙が零れる。
好きでもないのなら何故抱くのか?
その疑問だけはどうしても答えが出なかった。

シキはアキラの涙を指で拭うと口端を吊り上げた。

「…貴様が嫌いだといつ言った?」

「…えっ…?」

「面白い奴だな貴様は。」



それがシキの精一杯の告白だった。
嫌いならいつだって殺しただろうし、抱くはずもない…そう言いたかったのだろう。


出し入れのスピードを速められ、もはや言葉を言うどころではなくなった。
ただ声にならない声だけが漏れる状態だ。


「ん…っぁ…はぁっ…!」


どちらも限界が近いことを悟りスパートをかける。
シキはアキラを見て一言言った。


「…名は…何と言う…?」





***

立てないアキラを風呂に入れ後処理をしてやり、今はベッドに突っ伏している。

「…なんであのタイミングで今更なこと聞くんだよ…あの時名前は言ったはずだ…」

「…聞いた覚えはないがな。」


もういい!そう言うとアキラは反対の壁のほうを向いてしまった。
少しでもシキの見方が変わった…と思ってしまった自信に激しく自己嫌悪するアキラであった………





end



今回は会話文ではないバージョン&裏ものでした。
…こんなに裏にしようとは思ってなかったんですけどね(笑)
あのタイミングで初歩的なことを聞くシキには笑えたのではないかと思います。
何事も抜かりなくやってそうな男が肝心なことを聞き忘れているとか面白くないですか?←(私だけか。

お読みくださりありがとうございました。


2009.03.14




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