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くそ…くそ…





シキを睨みつけてふて腐れるアキラ


「もういいだろう?」


「いいわけないだろう…みんなに聞こえてたんだぞ…」


シキから顔を背けソファで丸くなる。


シキはため息をついて読みかけの本に視線を落とした。



「シキの馬鹿…」


今回ばかりはどうしてもシキのことが許せないアキラであった






とろけそうなほどの……









8月、お盆期間中

連日、猛暑日の影響でアキラの働くペットショップも客足が途絶え、
暇で暇でしょうがない。

犬のケージをきれいにし終えたアキラは、もう何杯目か分からないお茶を飲みほした。


「暑い」


この時期口にしてはいけないワードをボソリと言い、ため息をつく。
涼むアキラの横に店長も同じような苦しい表情で腰かけた。

「アキラ」

「?」

「今日はもう帰っていいから。」

店長にぶっきらぼうに言われハッとする。


「クビですか、俺」

「何言ってるんだ?違うよ、これだけ人が来ないのに店員がたくさんいてもしょうがないだろ?

客より店員の人数のほうが多いのもなって思ってな。」


「はぁ…」



確かにそうだ。
居たところで何もすることがない。


「じゃあ店長すみません、先にあがります。」

軽くお辞儀をしてアキラは家に帰ったのであった。







***

一方、シキは一週間仕事がないので自宅でのんびりしていた。


玄関が開く音がしてアキラの声が聞こえた。




「ただいま」

「何だ、早かったな。6時までじゃなかったのか?」

「猛暑の影響で人がまったく来ない。店長が帰っていいって。」

「そうか…!アキラ!」


アキラが倒れそうになったところを間一髪のところでシキが受け止めた


「おい、大丈夫か」

アキラはアキラで状況がよくわかっていないようでぼーっとしている。

「なんか…急にふらふらした…」

「熱中症か…」


炎天下の中、自転車で帰ってきたのだから無理もない。

アキラをエアコンの下に寝かせ、氷枕を急いで取り出してきて頭の下に置いてやる。


「シキ…」

「なんだ」

アキラがエアコンのほうを指さして何か言っている。
何を言っているのかよくわからないシキはアキラの口元に耳を寄せた。


「どうした?」

「……エア…コン…」

「エアコンが何だ」

「エアコン…嫌だ。扇風機の風がいい…」


はぁ?


「アキラ、何を言ってるんだ」

「俺…人工的な風って嫌いなんだ。」


急に始まったアキラのわがままにイライラしたシキはおでこを叩いた。


「痛っ…」

「何をふざけたことを言っているんだ。お前の体温を下げることのほうが大事だろ。」

「…」


ムスッとしたアキラの頭を撫でてシキは立ち上がった。


「午後一で病院に行って診てもらったほうがいい。熱中症は俺もどうしたらいいのかわからん。」


病院嫌いなアキラだが、今回ばかりは仕方ないと肩を落としたのであった…











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