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「まさか…こんなに早く結婚が受理されるとは思わなかった。」


役場からの帰り道、アキラはボソリと呟いた。
役場に到着し、受付の女性に婚姻届を渡すと、「結婚おめでとうございます。」と言われた。
同性の結婚でもいいのかと何故かアキラだけが確認を取られた。


「アキラ、これで俺たちは晴れて夫婦とみなされたわけだ。」

「そ、そうだな。」

よくもまぁこんな恥ずかしいことを言えるものだ、とアキラは関心する。

「でも、正直、これからどうしたらいいのかわからない。」

「お前はこれからも俺の所有物だ。」

「いや、そうじゃなくて…「教会を予約するぞ。」

シキはアキラの言葉を遮り、手を取るとズカズカと歩き始めた。
男同士の結婚は認められはしたが、実際まだ数は少ないようで、二人が手を繋いでいるとしきりに周りがざわつき始める。
アキラは恥ずかしくなり、顔を伏せてシキの歩調についていこうとする。

「なんだ、恥ずかしいのか。」

「アンタは恥ずかしくないのか?」

「夫婦なんだ。別に構わんだろう?堂々と歩いたらどうだ。…俺と歩くのは恥ずかしいか。」

「…アンタと歩くのは嫌じゃない。…ただ…他人の視線が気になるだけだ。」

正直に気持ちを伝えると、シキは握っていた手を離した。


「な…なんで離すんだよ!」

「嫌だったのではないのか。」

「…っ…寒いから…。そのままでもいいんじゃないかって……」


アキラが言い訳をすると、シキは口元を吊り上げ再び手を握った。

「…これで寒くないだろう?」


季節的にはまだ寒いが、二人の繋いだ手だけはぬくもりを帯びていたのだった………








***

「ここが教会…」

目の前には大きな教会が建っている。
自分なんかがこんな神聖な場所に来てしまっていいのだろうかと、アキラは足が竦んでしまった。

シキが関係者とスケジュールを話し合っており、アキラはただ、シキの隣に座っているだけの状態が先程から続いている。


「アキラ様、ウエディングドレスはどうなされますか?」

「あの…やっぱり着なければいけないんですか?」

「えぇ、同性の結婚でのルールですから。」

「…俺はどれでもいいです…。シキ、選んでくれるか?」

「いいだろう。ただし、俺がどんなドレスを選んだとしても文句は言うなよ。」


シキはそう言うと、ウエディングドレスがたくさん載っているカタログに目を落とす。
その中の一つをじっと見ると、それを指した。

「このドレスでいいですか?」

アキラがそれを見ると頷いた。
シキが選んだウエディングドレスは純白でふわふわした羽のような飾りがついたものであった。
自分がそれを着るかと思うとげんなりするが、仕方がない。

今日は結婚式の日にちとウエディングドレスを選ぶだけで終了した。








***
それからは飛ぶように日は経ち、いよいよ結婚式前日になった。

アキラは和室で翌日の流れを確認している。

「シキ…気になったんだけど、どうして昨日俺がウエディングドレスを着た時泣いてたんだ?」

「いや、男のお前がまさかあんなにドレスが似合うとは思っていなかったからな。想定の範囲外だったという話だ。」

「俺だって別に着たくて着るわけじゃない。…別にシキが着たっていいんだからな!」


恥ずかしくなりそっぽを向くアキラ。
そんな仕草が可愛く思い、シキはアキラを後ろから抱き締めた。
アキラは逃れようとするが、さらに強く締められてしまったので全く身動きがとれなくなってしまった。

「や…めろって!」

「…似合っていたぞ。」

「…!!」

顔だけでなく耳までも真っ赤に染めうな垂れるアキラ。
シキがアキラの首元に吸い付くと、アキラは必死に抵抗した。

「…やだ!痕が残るだろ!」

「関係ないだろう?」

わざと見えるところに痕を残していく。
諦めたようにされるがままになっているので、面白くなって今度は服に手を忍びこませ、脇腹をなぞるように撫でるとピクッと身体が撥ねた。

「んっ…ゃ…」

「本当にすぐに感じる身体なんだな。」






結婚式の前日であるというのに、アキラはほとんど寝かせてもらえなかったのであった………











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