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「…暗い」

どこを見ても闇に包まれている。
ふと、トシマを思い出す。
あの時はこんな真っ暗な場所で命の危険に晒されながら仮眠をとっていた。
いつ自分がやられるかわからない。もしかしたら寝ている間に殺されるかもしれない。暗闇での記憶はそんなものばかりだ。
今ではありえない話だが、何故か脱出した後も暗闇は嫌いだった。


暗闇の中に取り残されるのが恐怖に感じている。

心の中でシキの帰りを待った…。




暫くしてシキが帰ってきた。玄関が開いたのとほぼ同時に部屋の電気が点いた。


「ただい…アキラ?」

「…っ…シキ…」


目を腫らして真っ赤に潤んだ瞳がシキの姿を捉えた瞬間、さらに涙が溢れ出した。
この状況にシキが目を白黒させている。



「どうし…ぅわ!!」


勢いよくアキラがシキに抱きつく。


「…どうした。」

「…怖かった…。トシマのことを思い出して…怖かった。」

「…そうか。」

それだけ言うとシキはアキラの背中を擦った。
アキラの冷たくなった身体にシキの体温が伝わる。それだけで安心している自分がいた。

「全く。女かお前は。ブレーカーが落ちたごときで泣くな。」

「…う…」

「もうここはトシマじゃない。お前のを狙う奴もいない。」

正面から抱きしめられ、アキラもシキの背中に腕を回した。



アキラが泣き止むまでシキはそのままでいた。
暫くしてアキラがシキから少し離れた。

「…もう大丈夫か」

「あぁ…。…ごめん」

「…アキラ。あの時のことは忘れろ。…いや、そんなこと出来る訳がない…か。」


シキが頭を掻く。


「…俺だって忘れたい。…でもやっぱり無理だ。…それでも暗いところは慣れるようにする。…どんなに暗いところでもシキが居てくれたら俺は大丈夫。」

「…全く、可愛いことを言う。」

アキラの頭を優しく撫でて頬に触れるだけのキスをする。
アキラは顔を真っ赤にしたが、シキのほうを向いて自分も同様にシキの頬にキスをした。





暫くして…
二人は布団に入った。そこでシキはリビングに置いてあったツリーに話を振った。


「あのツリーは何だ。」

「あぁ、あれは…」


アキラが簡単に説明している間、シキは黙ってそれを聞いていた。

「……って感じだ。」

「去年の冬…か。」

「それで今年はそれを出してみたんだ。」

「…だが、あの電飾は少し付けすぎだな。あれじゃあブレーカーが落ちても仕方ない。欲張りすぎだ。」

その言葉に何も言い返せなかった。

「ツリーは華やかに飾ってやるのもいいかもしれない。だが、俺はその飾る過程が大切だと思う。」

「過程?」

「いろんなことを考えながら楽しく飾りつけられたツリーのほうが、たとえ簡素なツリーでも華やかだと思う。…違うか?」


そうかもしれない。
アキラはシキの言葉の意味を考えた。…ということは…


「明日、シキも一緒に飾りつけしよう…。…最高のクリスマスにしよう。」

「あぁ。」


明日は12月25日。
二人は今までで一番素敵なクリスマスを送ることを誓ったのだった…………





end



シキアキ夫婦強化週間6日目です!いかがでしたでしょうか?
本当は6日、7日と裏ものの予定だったんです!!
でも…何ででしょう?気がつくとそんな要素なし!!(笑)
暗闇怖いよアキラ、いいじゃないですか!!滾ります←

明日はクリスマスです!最終日ですので、更に気合を入れて書きたいと思います!!
最後までありがとうございました。


よろしければ感想お聞かせください。



2009.12.24



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