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(side⇒SHIKI)
仕事が終わり、俺はペットショップの前まで来ていた。
アキラの言う『サチコ』とやらはどんな女なのかとても気になり、こっそり尾行しようと考えた。
『午後6時に駅前の○○マンション』そこに行けば何かが分かる気がした。
尾行が悪いことだということは重々承知だが、アイツだって今まで隠していたのだ。怒られる筋合いはない。
(来た…)
タイミングよくアキラがペット用のケージを持ち店を出てきた。
中には遠目でよく分からないが白い犬がいるようだ。
アキラの言う『犬』があの白いやつだとしたらそれが『サチコ』ということになる。
それにしてもアキラも下手な嘘をつくものだ。どうしたら犬の名前がサチコになる?俺は苦笑した。
一定の間隔を保ちながら跡をつける。
アキラの足取りは軽快だ。…そんなにその女に会うのが楽しみなのか……?
***
暫く歩き、駅前の○○マンションの前にやってきた。
そのマンションはこの時間帯はあまり住居者が家に戻って来ていないようで、ポツポツと何件かの部屋の電気が見えるだけだった。
アキラは正面で立ち止まり上のほうをチラリと見た。おそらく電話で言っていた6階を見たのだろう。
そのまま中へ入っていく。マンションであるため俺の尾行はそこで断念せざるを得なかった。
アキラは今俺の知らないもう一つの顔でサチコに会いに行っているのだろう。それを考えると悔しさで胸が一杯になり、力強く目の前に転がっていた石を蹴り飛ばした。
俺は6階で一つだけ明かりが灯っている部屋を見ていた。
きっとアキラはそこに行ったのだろう。
「…アキラ…?」
丁度見ていた部屋からアキラによく似た人間が窓のところにいた。
よく目を凝らすとそれはやはりアキラだった。楽しそうに笑っている。
「…俺の何がいけなかったんだ…男の俺ではなく、女のほうがいいに決まってる…か…。」
決定打を受けた俺はもうここにいる理由は無いと考え家に帰ることにした。
アキラが帰ったら話し合わなければいけないことがたくさんあるようだ。
こんな場面を見せられて、俺は平然を保つことができるのだろうか、
どんな顔をして自分より後に帰ってくるアキラを迎えればいい………?
To be continued...
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2009.12.22
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