B



暑い…



アキラは布団に入ったものの、なかなか寝付けないでいた。
先程からどうも身体の調子がおかしいのだ。


身体中が暑くてもやもやした気分でいたアキラにシキが近寄り声をかけた。


「どうした?眠れないのか?」

「…大丈夫だ…ただ身体が暑いだけだ。」

「…ほう。」


特に気遣う様子もなくアキラを見ている。


「…大丈夫だから…気にしなくていい。」

「…そうか。」



そう言うとシキは部屋を出て行った。
アキラからしてみれば、どうしてわざわざシキがアキラの様子を伺いにきたのか不思議でならなかった。
シキは少々苦しそうなアキラを見て喜んでいるように見えた。


早く寝たい…
明日から仕事が忙しくなるから…


頭の中では一刻も早く眠りにつきたいがそう上手くはいかなかった。


それから暫くしてシキも布団に入ったようだがアキラは未だに眠れずにいたのだった………








***

「アキラ、大丈夫か?」

「え…あ…はい。」


結局アキラは一睡もできなかった。
ペットショップの店長がアキラの様子を見て心配しているようだが、大丈夫だと言い仕事を続けた。

容態は昨夜よりも悪化しており何だか熱っぽいのだ。
身体はだるくないのに少し動くと息が切れる。


…そんな状態でアキラは仕事を続けていた。
今は真っ白な犬のブラッシングをしている。
犬は気持ちよさそうにおとなしくしていたのだが、急にアキラに飛びつき顔を舐めた。


「…ぁ…」

熱っぽい声が出てアキラ自身驚く。
舐められた部位にピリピリとした電流のようなものが走ったのだ。

気のせいかと思い仕事を続けるが、その症状は次第にひどくなってきた。
動物の毛が触れるだけでも感じるようになってしまい、アキラは店長に適当に訳を話し店を後にした。




早く帰って眠りたい。
きっと疲れているんだろう。



こんな時は早く寝てしまおうと考え、アキラは走った。
途中でケイスケとバッタリ出くわしたが、話している暇など全くなかったアキラはケイスケと適当に会話し、家に帰ったのだった。









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