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それから一週間…シキはアキラを抱かなかった。
忙しいからという理由もあるが、それにしてはどうもおかしい…
今まではどんなに忙しくてもこんなに期間を置くことはなかった。
会話も会議や重要な書類に関してのみだった
「俺が…何かしてしまったのか…?」
誰もいないアキラの部屋の隣の執務室でボソリと呟いた。
避けられている…?いや、そんなことはない。
それならどうして…?
アキラは混乱した。思い当たる節がないのだ。
手を止め、万年筆を転がしながら頭を掻く。
考え事は仕事に支障が出ると考えるものの、その考え事というのがシキなので話は別だ。
その時、コンコンとドアを叩く音が聞こえ、頭を上げた。
「誰だ。」
シキならばドアを叩くはずがない。
アキラが鋭く言うと、ドアの外でオドオドした声が聞こえてきた。
「あの…少しお時間よろしいですか…」
「構わない。入れ」
アキラはそう言うと申し訳なさそうに一人の兵士が入ってきた。
何かされるのではないか、と身構えたが。男はアキラの3メートル手前で止まった。
「どうした」
「シキ…様のことで…。」
「総帥が…?」
まさかそこでシキの話題が出てくるとは思ってもいなかった
「ここのところ、王の覇気が感じられません…」
アキラが怒って切りかかってくるのではないかと男は震えていたが、アキラは続きを催促した
「どこか勢いが感じられなくて…。アキラ様にこのようなことを言う立場ではないですが、どうしても気になってしまい…出しゃばったことをしていることは重々承知です…。どうかお許しを」
全てを言い終えた男はアキラの様子を窺っていた。
一方のアキラは男の発言にまたしても困惑していた。
覇気が感じられないことと会話がないこと、そして抱かれなくなったことに接点はあるのだろうか…?
「わかった。下がれ」
「はっ!」
粛清を受けずに済んだ…と男は安堵しながら、執務室を出た。
シキの異変は自分だけでなく他の兵士も感じていたのか…
考えていると知らぬ間に赤い目が覗いていた。
「…ッ!…総帥…」
バッと立ち上がりすぐに謝罪した
「総帥がお見えになられているのに…申し訳ありません!!」
深々と頭を下げ、叱責されるのを待ったが、それはいっこうにやって来なかった。
再び頭を上げるとそこには困った顔をしたシキが立っていた。
「…どうなさいましたか」
「…わからない…」
何がわからないのか…
アキラは首を傾げその続きを待った。
「俺の執務室で話す」
それだけ言うとシキは足早に立ち去った。
一人取り残されたアキラは慌ててシキの後を追いかけたのだった………
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