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次の日

買い物に行ったアキラはお菓子売り場でじっとしていた。
先程からポッキィが気になって仕方がないのだ。

その時、アキラの目の前にヌッと手が伸びてきて思わずドキッとした。

手の主を目で追う。
ポッキィの箱を手に取ったのは小さい男の子だった。
男の子は逆にアキラの不審な行動に警戒の眼差しを向け、走っていなくなってしまった。

「…子供も食べるお菓子なのか」

ポッキィは別にポッキィゲームをするためにあるのではないということを理解したアキラであった……



一応、どういうものなのかは昨夜見たテレビで何となく把握していたが、甘いものがあまり好きではないアキラは買うのを止めようかと一度はお菓子売り場を離れたものの、

レジでやはりあのポッキィが気になり再度戻ってポッキィを手に取って買い物カゴに入れたのだった………




***

「ほう、珍しい。お前がこんな菓子なんぞを買ってくるとは思わなかった。」

「…何となく…それが目についたから買ってきただけだ。…一度菓子を食べてみたかったんだ。」

それ以上は何も言わなかった。それに対して、シキは特に何も言ってこなかったので、ホッと胸を撫で下ろした。

「まだ食べていないみたいだな。」

「あぁ。」


シキはそれを聞くと、いきなりポッキィの入った箱を開け始めた。
その中に入っている小袋を開けると、昨日アキラがテレビで見たものと同じものが入っていた。

シキが珍しいものでも見るかのようにポッキィを一本取り出してじっと見ている。

ふと、昨日のテレビが頭をよぎり、それを打ち消すかのように頭を振った。
その様子を見たシキは首を傾げながらアキラのほうに近づいてきた。

「…?どうした。食べないのか?」

「…いや、いい。」

シキが勧めてくるが、今、アキラの中ではそんな気分になれなかった。




アキラは一人でブツブツ言いながら顔を真っ赤にしていた。
いくらシキが呼びかけても完全に自分の世界に入り込んでしまっているアキラは反応しない。
気づくとシキの唇を見ていた。
少し湿った薄い形のよいそれが言葉を発するごとに動く。


「おい」

「…あ…」

肩を強く揺すられ、我に返る。

「どうした、おかしいぞ。顔が赤い。…具合でも悪いのか?」

「…別に…何でもない…。…っ!」

シキがいきなりアキラの頬に触れる。一瞬ビクッとしてシキを見る。

「…な、何?」

「…もしかして…コレに何かあるのか?」


そう言ってポッキィをアキラの目の前に差し出す。
それを見て、アキラはさっと目を逸らした。

「…こんな菓子一つが何だ?」

当然、昨日のことを知らないシキは平然と見ている。


「何を考えているんだ」

シキにそう言われ、アキラは唇を噛んだ。


(ひょっとして俺はシキとポッキィゲームがしたい…?)


無意識に菓子コーナーに行ったりしてしまったのは、もしかして自分がそれを望んでいたのか…?

そう考えると更に恥ずかしくなる。
アキラは小声で話し出す。

「シキ、ポッキィゲームって知ってるか?」

「…何だそれは。」

「…俺がこっちから食べるから…シキは…チョコのほうから食べてくれるか…?」


暫くの沈黙の後、シキはそれで何がしたいのかを悟ったのか、ニヤリと笑う。


「…やけに積極的だな。お前はそのポッキィゲームとやらをするためにコレを買ってきたのか?」

「…ち、違う!」

耳まで真っ赤にしてアキラが否定する。


シキは一本のポッキィをアキラに渡す。アキラはチョコのかかっていないほうを折らないように口で挟んだ。

アキラは恥ずかしくなって目を閉じる。シキも反対側のチョコがかかったほうを銜える。
それからはどちらからともなくポッキィを食べ始める。

アキラは「やらなきゃよかった」と激しく後悔した。

これじゃあ自分から誘っているみたいじゃないか…




目を瞑っているために、状況がよくわからない。
ただ、シキの息がかかるほど顔が近くにあるのはわかる。
恐る恐る目を開けると、近くにシキの唇があった。視線を上げるとシキも同様にアキラを見ていた。

互いの唇が合わさった時、ピリピリとした痺れるような感覚に陥る。


「…んっ…」

当然、唇を合わせるだけで終わるはずもなく、シキはアキラの後頭部を手で押さえて舌を捩じ込んできた。
互いの唾液とチョコが混ざり合い、口の中が甘い。

「…ふ…、んっ…っ」

時折、甘い声が漏れるが、気にせずに暫くの間、その行為に耽っていた。

段々息が持たなくなってきて、脳に酸素が行き渡らなくなる。
アキラの身体も口の中のチョコのように溶けて、力が入らなくなってきた。
苦しい!とシキの背中を叩けば、ようやく開放してもらうことが出来て、荒々しく呼吸する。


「チョコとは…随分甘いものだな。」

「…やらなきゃよかった…」

「まだ1本目だろ?」

その言葉に耳を疑う。

「1本目って…もう十分だろ!何回する気だよアンタ」

「一袋。」

さらりと言われ、言葉を無くす。
冗談じゃない!とばかりに後ずさりするが、シキの腕がアキラを捕らえ、逃げることが出来なかった。
シキは2本目のポッキィを取り出し、アキラの口に銜えさせると勢いよくボリボリと噛んでキスをする。


……結局、一袋ではなく、一箱分、ポッキィゲームは続けられたという…





***
次の日、アキラが仕事から帰り、夕飯を作っていると宅配がやってきて、大きなダンボールが3箱届けられた。


「…シキ、今日変な箱が届いたんだけど。」

シキが帰宅し、アキラはシキにその届いたダンボールを見せる。

「何だ、まだ開封してなかったのか」

「…俺宛じゃなかったから…」

「開けてみろ。」

そう言われ、3箱のうちの一箱を開封すると、そこにはたくさんのポッキィが入っていた。


「…シキ…もしかして残りの箱も…」

「当然じゃないか。…これで毎晩楽しめるぞ。」

嬉しそうにシキは言う。






あぁ、もうホントにポッキィゲームはするもんじゃなかった!!!





end


最後までお読みくださりありがとうございました。
この話、中盤まで書いて暫く放置だったので、どうも文章がおかしくなってしまいました。
恐らく、いつか訂正するかと思われます。

本当はもう少しイチャイチャさせたかったんですけどね。(笑)

感想や拍手をくださる方は下からどうぞ!!



2009.11.11


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