架空文化祭-正午

 正午、藤堂は喉の渇きを覚えて食堂に立ち寄った。
 普段は学生と教員が飲食をする場である食堂では飲酒などもっての外だが、今日は見学に来た出資者達の為にアルコールを解禁しているらしい。食券販売機は臨時的に撤去され、伝票を小脇に抱えたメイド達が忙しなく働いている。彼等は、扶養者のついていない1年生達だ。メイドの衣装はやはり破廉恥で、付け襟と付け袖だけの上半身は乳首も臍も剥き出しだ。頭上のホワイトプリムと極めて短い腰エプロンの存在が、記号的にメイドであることを伝えている。過剰にパニエで膨らまされた短いスカートは、殆ど尻が見えている。
 藤堂達の隣のテーブルでは、メイドの少年の素肌にクリームやフルーツを盛っては舐め取る男体盛が行われていた。最も料金が嵩むコースだが、勃起したペニスにマドラーを突き入れたり、アナルにバナナを詰めたりと、やりたい放題できるのが魅力なのだ。

 藤堂のテーブルにも、メイド少年が給仕に来た。
「お待たせしました。ホットレモンティーとスペシャルドリンクです」
メイド少年が、テーブルにボーンチャイナのカップと空のグラスを置いた。彼はモデルのように背が高く、スポーティな体躯をしていた。何より、陰茎が長大で、スカートから半分以上が飛び出しているのが眼を引いた。メイド達の陰茎は、貞操帯を付けられた上からレースをあしらったカバーに包まれ、勝手に飲食物を汚さぬようにされていた。その所為で余計に目立つのだが、彼もそれが恥かしいのだろう。猫背がちに身体を縮ませた接客態度は客の嗜虐心を煽る。
「スペシャルドリンクはお客様の手でお作りいただけます」
メイド少年が、羞恥に震える手でペニスカバーを取り、スカートを捲り上げて貞操帯付きの逸物を晒した。
 スペシャルドリンクとは、メイドの出す体液の事である。普通の食堂と同様のメニューも提供されてはいるが、大概の客はこれを目当てに金を出すのだ。藤堂も多数の客に習って、テーブルに備えられた鍵でメイドの貞操帯を外していく。
「あ、あぁ――っっ」
貞操帯は尿道の栓と一体になっていた。尿道を塞いでいた部分をゆっくりと抜いてやると、少年は小さく甘やかな吐息を漏らした。陰茎が立派なだけあって、尿道に入れていた物もそれなりに長い。ふと悪戯心が湧いた藤堂は、完全に抜け切る前に栓を押し戻した。メイド少年は予想外の刺激に戦慄く。
「おひっ、あぁっ、お、おぎゃぐざまぁっ」
その反応が気に入った藤堂は、栓を小刻みに上下させて尿道を嬲った。切羽詰った制止の哀願は、余りに無力だった。
「ほら、ドリンクの出が良くなるように手伝ってあげなさい」
タツキは藤堂に促され、メイド少年の無防備なアナルを無遠慮に割り開いた。よく洗浄された上に解されたアナルは、タツキの細い指を難無く飲み込む。学園の指導の賜物か、タツキはこなれた指使いで的確に前立腺を刺激した。自身がそこで奉仕するよう躾けられている分、悦い触り方も心得ているのだ。
「ああっ出るっ、も、出ますっあぁんっ」
前からも後ろからも嬲られる少年は、身を捩る事すら不自由な有様で喘いだ。1年生の彼にとっては、初めての文化祭なのだ。こんな調子で数多の客に奉仕しなくてはならないのだから、先が思いやられた。しかし、だからと言って誰が奴隷を相手に手心を加えてくれるだろうか。
「それを決めるのはご主人様だよ」
タツキは物分かりの良過ぎる口振りで、無邪気に少年の乳首に吸い付く。
「ほひぃっ」
少年は腰をガクガク揺らしながら逃げ場の無い快楽に悲鳴をあげた。

 藤堂がメイドのペニスを解放する頃には、とうにレモンティーは冷めていた。
 嬲られた末にドライでアクメを繰り返したメイドのペニスは、力無く下を向いてグラスに精液と小水を垂れた。スペシャルドリンクの完成である。客によっては小水のみを好んだり、精液の他に体液が混じる事を嫌って何度も作り直させたりと拘りを見せる者も少なくはない。しかし藤堂には排泄物に対する情熱は無かったので、特に作り直させる事も無く、タツキにドリンクを押し付けた。


 教室棟では、2年生と3年生がそれぞれのフロアで模擬店とパフォーマンスを行っていた。
 2年生は、縁日をテーマにした出し物のようである。各クラスが屋台風に装飾されたブースになっている。スタッフの学生達が法被に褌というコスチュームで統一されているのも、非日常感を演出していて悪くない。
「輪投げやりませんかー。投げた輪がサオにかかったら、無料でハメられまーす」
A組は輪投げのスペースだった。的は学生で、彼等の勃起させたペニスに輪を通せば、的役の生徒と性交できるらしい。教室の奥に目をやれば、既に数名の生徒がペニスに輪を引っ掛けたまま犯されていた。
「B組は射的でーす。撃った弾が的役の生徒のペニスに命中すれば、無料でハメられまーす」
「C組は型抜きでーす。見事型通りにヌければ、無料でハメられまーす」
藤堂が輪投げのブースを冷やかしていると、他のクラスの呼び込みも負けじと声を張った。基本的な報酬は何処も同じらしい。

 藤堂は、紐籤の看板が出ているブースで足を止めた。
 そのブースには一人しかスタッフが居らず、唯一のスタッフもガニ股で尻から大量の紐を垂らしたまま待機させられている間抜け格好だった。だが、その如何にも惨めな様子が藤堂の気を引いた。
「ワンコインで今日の運勢を占えます」
滑稽な格好のまま、スタッフの生徒は笑顔で対応した。彼は、小麦色の肌と白い歯が健康的で、子犬のような愛嬌があった。頬に広がる雀斑とやや大きい前歯が人を選ぶが、接客態度からしても調教は行き届いでいる事が伺えた。藤堂はブースに備えられた料金箱に硬貨を入れると、アナルから伸びた紐を一本選んで引っ張った。
「んぉ、でっでるっ、うんせい出ちゃうっ」
わざとらしい媚びた喘ぎと共に小豆色の肛門が伸縮して、スーパーボール程の大きさのカプセルが引きずり出された。甘く勃起したペニスは、控えめで可愛らしい。
「わあ、大吉! 鶴九皐に鳴き声天に聞こゆ、ですって!」
藤堂に代わってカプセルを開いたタツキが、中で小さく折りたたまれていた御神籤を開いて無邪気な声で読み上げる。
「願望、十分に叶うベし、少しにても心驕らば叶わず。悦び事、すべてよし。方角、南方よし。売買、進んでよし大いに利あるべし、新たに奴隷を飼うべし。殊に……雀斑のある、小麦肌の……奴隷が吉……」
御神籤の後半を読むにつれ、タツキの表情が胡乱なものになっていく。
「へえ、愛嬌たっぷりの元陸上経験者がおすすめって?」
タツキの手元を覗き込んだ藤堂が、言葉を引き継いだ。
「はいっ僕、偶然にも長距離走を嗜んでました」
小麦肌の奴隷が悪戯っぽい笑みで自身をアピールした。愛嬌の良さを自覚するだけあって、嫌味になり過ぎない愛嬌があざとい。
「ちょっと、そんなのインチキじゃんっ! 駄目っ駄目ですからねっ」
意義を唱えたのは、藤堂ではなくタツキだ。ワンコインのお楽しみに混ぜられた茶目っ気に、タツキは大真面目に「騙されちゃ駄目ですよ」と頬を膨らませている。
「どうせ全部に似たような文が入ってるんですからっ」
タツキがアナルに残されている紐を引っ張って、他のカプセルを次々出させた。強制的に捻り出されるカプセルに連続でアナルを擦られ、生徒は腰を跳ねさせて喘いだ。タツキの無粋を嗜めようかと思った藤堂だが、売れ残った奴隷同士の闘争に面白みを感じ始めていた。
「あああっだめっだめだってぇっでるっでるぅううっ」
カプセルを産みながら達してしまう生徒は、藤堂の目を楽しませた。それどころか、奴隷に無体を働く奴隷の構図を面白がって、野次馬が出来始めていた。
「ほら、新たに奴隷を飼うべし、殊に小麦肌の出っ歯気味の奴隷が吉! こっちは長距離走経験者が吉!」
籤を読み上げては、タツキはまた紐を引いてカプセルを引き出した。その度に揺れる小ぶりな仮性包茎のペニスが瑞々しく主張する。小麦色の腹筋にかかった白い精液も生々しく、実に扇情的だ。生徒が上擦った声で絶頂を迎える度、野次馬達が温い拍手を送る。
「今度は仮性包茎が吉! ほら、みんなズルですよ!」
タツキが真剣に抗議するが、紐籤の生徒は絶頂に呆然と荒い息を吐くだけになってしまった。出す物がなくなった小豆色のアナルは、呼吸に合わせて物欲しげに開閉している。その憐れな風情が、一層サディスト達を楽しませた。

 籤を引いた分の料金と迷惑料としてのチップを払って立ち去ろうとした藤堂だが、野次馬の一人が彼に声をかけた。
「いやはや、こういうのもキャットファイトって言うんですかね」
顎鬚を蓄えた恰幅の良い男だった。人の良さそうな顔立ちだが、この学園に来ている時点で好事家であることは確かだ。この見世物を甚く気に入ったらしい。
「小麦色の方、私が購入してしまっても?」
「ええ……」
藤堂の胸に、蓼食う虫も好き好きという言葉が過ぎる。
 だが、ここの生徒達は皆、そんな風に己を好いてくれる主人が現れるのを期待しながら必死に媚を売っているのだ。その必死さがいまいち実を結んでいないタツキも含めて、藤堂は奴隷達を可愛く思った。

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