閉会式

 学年ぐるみの大失態を演じた第2学年の生徒は、目に見えて落ち込んだ様子のままグラウンドから退場させられた。皆、今後の教育指導と主人からの叱責に怯えていた。

 結局最後まで自慰を我慢したアキオは、射精に至れず悶々とした蟠りを腹部に抱えたままだ。勃起の収まらない陰茎をブルマに押し込んで、足早に主人の待つ観客席へと戻る。媚薬塗れのアナルを一刻も早く洗浄させてほしかったが、ナツメが出場する第3学年の競技を主人と共に応援する約束をしていたのだ。
「まあ、努力が報われないこともある」
叱責を覚悟して主人の元に跪いたアキオだが、幸いにも主人は寛容だった。勃起した陰茎を浮き立たせたブルマを一瞥しただけで、射精を許すことは無かったが、仕置きを用意していた訳でもなかった。

 約束通り、アキオは主人の傍に侍ってオペラグラスでグラウンド上のナツメを探す。
「それでは、いよいよ最終競技に移ります。体育祭を締めくくるのは勿論、我が校の伝統競技、最高学年による肛門綱引きです」
気合の入ったアナウンスと共に、第3学年の生徒達が洗練された団体行動で位置に付く。
「ルールは至って単純、綱で繋がったアナルディルドを赤組と白組の選手にそれぞれ挿し、引っ張り合ってディルドが抜けた方が負けとなります」
組対抗戦としては勝者が多かった組に得点を与えると補足が入る。
「つまり、負け犬はユルユルのガバマンという事ですね。これは負けられない戦いです」
放送実況が生徒達を煽る。青い顔の生徒達に反して、観客席の主人達は愉しそうである。
「そうです。逆に言えば、生徒にとって鍛えあげた自慢のキツマンを証明する機会でもあります」
アピールチャンスですよ、と放送実況が未だ主人が決まっていない生徒を名指しで呼びかける。午前中の競技の時に紹介された生徒の数と比べて、主人募集中として名前を上げられた生徒は減っていた。ナツメも含めて、体育祭中に買い取られた生徒は少なくないのだろう。

 アキオはオペラグラス越しにナツメの緊張した横顔を見つけた。
 均整の取れた横顔は冷たそうな印象を与えるが、やはり美しかった。不安気に固く結ばれた唇は薄く、血の気も悪そうだが、それが一層儚い雰囲気を醸していた。向こうから見えているとも、まして手を振り返す余裕がある精神状態とも思えないが、アキオは思わず手を振った。そうしたい気分だった。自身の競技前に手を振ってくれたナツメの行動に感化されているのかもしれない。そう思いつつ、アキオは自身と主人の営みに新たに加わった美しい男を確かに歓迎していた。
 ナツメに親しみを覚えた分、恥辱に塗れた競技を強要される彼への同情心も強くなる。

 綱引きの審判は、とうとうナツメと対戦者が呼び出した。
 尻を突き合わせた状態の四つ這いになった二人のブルマがずらされ、ディルドが挿入され始める。似た身長の者同士で組んであるらしいが、身長が同程度だとナツメの体の薄さが目立った。対戦者も中性的な顔立ちの少年だが、安産型でむっちりとした肉付きをしていた。
「アァンッ」
「ああっ」
ディルドは簡単に抜けないようにされているのか、太く長く、そして沢山の瘤状の凹凸が付いていた。ディルドが半分程入った所で、両者とも耐え切れぬ性感に声を漏らし背を撓ませる。それでも、ディルドは容赦無くズブズブとアナルに沈められていった。
 肛門から尻尾のように出た綱がピンと張るまでディルドが入れられれば、競技の準備は完了である。審判兼進行役の教員が、ピストルを持った手を高々と挙げた。
「ようい、ドン!」
人工の空に向かってピストルの引き金が引かれた。乾いた発砲音と共に、競技者が慎重に前進を試みる。肛門の中の異物を引っ張られて、ナツメの肛門が吻のように伸ばされていく。
「ぎ、ぃぎいぃ……っ」
顔を赤くして歯を食い縛るナツメだが、捲れかけた肛門からディルドが緩やかに顔を出していく。しかし、それが気持ち良くもあるのだろう、陰茎はしっかりと勃起して地面に蜜を垂らしていた。
 アキオはナツメの窮地を案じつつも、アナルに異物を咥え込む快楽を享受する彼を羨ましくも思った。ディルドが緩慢に抜けていく排泄感に思いを馳せては、媚薬の抜けきっていないアナルが疼いてしまうのだ。
「ひ、あぁっ! んぎぃ!? ぎひぃいいぃっ」
ディルドが一等悦いところを擦り上げたのだろう、気の抜けた嬌声をあげた対戦相手の肛門からディルドが一息に半分ほど飛び出ていった。大慌てで臀部を締めてディルドを逃がすまいとする対戦者だが、強い快楽が尾を引いて上手く力が入らないらしい。笑窪を作った尻がヘコヘコと情けなく揺れて、腸液に塗れた瘤だらけのディルドが更に姿を露わにしていった。
 相手の隙を攻めるチャンスを得たナツメだが、彼は彼で上手く力が入らないらしい。下手に引けば自分のディルドの方が抜けかねないと判断したナツメは、焦れったい程にゆっくりと前進した。競技者二人の丸められた指先が、逃げ間の無い快楽を観客席まで如実に伝えていた。食い締めた歯の間から漏れた涎が、ナツメの形の良い尖った顎を濡らしていた。唾を垂らしながら四つ這いで震える惨めな姿は、正に犬だ。アキオはナツメの醜態に同情しながらも、ブルマの中の勃起を硬くしていた。
「は、ひぃ……っ」
対戦者の腰が生まれたての小鹿のような不安定さで上下に揺れ、ついにディルドが落ちる。そして異物が抜けたばかりのアナルを開閉させながら、陰茎から精液を垂らしていた。審判と放送実況がほぼ同時に勝負ありと叫ぶ。
「勝者、ナツメ君。ユキノ君、ガバマンを晒して惨めに敗北射精をキメましたー!」
観客席から失笑と疎らな拍手が起きる。アキオも主人に倣って、ナツメに拍手を送った。抜けかけたディルドを食んだままだったナツメは、地に額を着けて悶えながら射精していた。結果に安堵したのか、その表情は試合前よりも柔らかかった。

 その後もアキオと主人は、恙無く進行する競技を観戦した。
 身内が出ていない競技にはさほど関心が無いのか、主人は気紛れにアキオのブルマをずらしては蕩けきったアナルに指を入れて遊んだ。媚薬の抜けきらない身体を持て余すアキオは、その度に気が可笑しくなりそうな程に悶えた。
 第3学年の競技が終わる頃には、やんごとなき扶養者達が並ぶ観客席だというのに、アキオは快楽に咽びながらブルマの中に幾度も射精をしていた。精液でぬるつく感覚を気にする間も無く、潮まで噴かされた。周囲の扶養者達が、アキオの淫売ぶりを指して哄笑する。
「荻生様っ、もう、もうっ」
変色しきったブルマだけでなく脚までしとどに濡らしたアキオは、まるで失禁したようであった。実際、アキオには潮と失禁の区別すら曖昧で、壊れたように漏らし続けていた。奴隷の身分にも関わらず、アキオは主人に容赦を強請る。ただ、彼自身「もう止めてほしい」なのか「もう挿れてほしい」なのか分からず、無様に腰を振りながらも続く言葉を紡げずに居た。
 アキオの耳は、遥か遠くの事のように閉会式をアナウンスする教員の声を拾っていた。行かなくてはと思う事も無く、アキオは主人に身体を預けてはしたない嬌声をあげ続けた。
「優勝は白組です。皆さん大変よく頑張りました。残念ながら負けてしまった生徒、競技を中止乃至棄権した生徒は、明日から補習を行い、より可愛がられる奴隷になれるよう訓研鑽を積んでいきましょう」
校長の冗漫な祝辞と説教が、スピーカーを通して聞こえる。明日からアキオを含む生徒達にとって地獄の日々がまた始まるのだ。
 アキオは明日を嘆く余裕も無く、何度目かも分からない潮を噴いていた。


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