正午

 人工の空が南中した太陽を描いて真昼を演出する頃、アキオは扶養者用の観戦席から第3学年による長距離百足競争を観戦していた。

 一般的な教育機関で言う百足競争なら、複数人が足首を繋いだ状態で縦列に並んで前進する速さを競う競技である。しかし、この学園の百足競争は、四つ這いになった状態の生徒二人の肛門同士を双頭バイブで繋いでいた。それも、移動距離は400メートルトラックを丸一周分である。決着に相当な時間がかかる為、生徒の痴態がたっぷり見られると出資者達に人気の花形競技の一つだった。殊に、3学年の秋になっても扶養者が付いていない生徒には、絶好のアピールタイムであった。尤も、競技を行っている最中の生徒にそのような事まで気にかけられる余裕があるかといえば全くの別問題ではあるが。
「赤組、白組を抜きました。 因みに赤組のナツメ君、扶養者を失って半年の未亡人ケツマンコです。現在扶養者を絶賛募集中ですので、お試しレンタルのご相談はお早めに!」
教員による放送実況も、生徒の売り込みに熱が入っている。
「白組、同時にアクメしています! これでは動くことも儘なりませんね。赤組がどんどん引き離していきます!」
扶養者達がどっと笑う。途中でバイブが抜ければスタート地点から走り直しというルールの為、ペア同士の息を合わせる事が重要となるが、同時に果てる程に息の合うペアは珍しいのだ。


 主人である荻生はアキオを膝に乗せ、先輩の醜態をその目に焼き付けるよう命じてオペラグラスを持たせていた。幸い、今朝に汁濡れになっていたアキオのブルマは、すっかり乾いていた。
「多頭飼いも悪くなさそうだ。アキオはあの子と仲良く出来そうかい?」
荻生はナツメが気に入ったらしく、タブレット端末から彼の詳細プロフィールを参照していた。バイブを食い締めて四つ這いで歩く姿は無様だが、平時の顔はツンと怜悧な美貌を讃える美少年である事が伺えた。艶のある黒髪が美しい。公開されている個人情報によれば、背はアキオより少し高く、この学園に入る前は大きな珠算の大会で何度か優勝した経験もあるらしい。
「荻生様のお気に召すままになさって下さい」
アキオは従順に受け答えた。とは言え、アキオは複数で飼われた経験は無かった。同じ学級に多頭での飼育下にある生徒は在籍しているが、顔も見たくないと嘆く間柄もあれば、主人に内緒で睦み合う仲になる場合もあった。つまるところ、主人を共有するペット同士の関係が上手くいくかは本人達の相性次第という面が強かった。ナツメの性格をよく知らないアキオにとって、彼との多頭飼い性生活など到底想像が付くものではない。
「妬かないのか」
アキオは従順な愛玩動物として満点の回答を探した。新参者が来るという事は確かにリスクがあり、新参者に夢中になった主人が従来品への飽きを自覚して古参の方を処分する案件は、実際少なくなかった。何れにせよ、主人に口出しできる訳も無く、結局アキオは愛想笑いに努めた。
「それは……勿論、ご主人様の寵愛が他の者に割かれるのは寂しくもあります。けれど語荻生様が判断なさる事でしたら、異議はありません」
オペラグラスの向こうでは、ナツメが精液を滴らせながら懸命にゴールに迫っていた。
「お前はいい子だね」
主人はアキオの忠誠が気に入ったらしく、頬にキスを落とした。浅慮な主人ではないので、古株になるアキオを立てるつもりでいるのだろう。喋り方が殊に甘かった。
「学校の先輩が家では後輩だなんて、お前も面白いだろう?」
ナツメの飼育は決定事項になったらしく、相性を確かめる事も無くタブレット端末からの入金手続きで即決購入された。主人の事だから自分の預かり知らぬところで具合を試してはいるのだろう、とアキオは思いつつオペラグラスを覗く。タブレットに「お買い上げありがとうございます」の文字が表示されるのと、ナツメがゴールテープを切るのはほぼ同時だった。
「はい。良い先輩になりま、ああっ」
健気に返答をしようとしたアキオだが、体操着の上から乳首を摘まれて刺激に背筋を反らせた。体操着は勃起した乳首が直ぐに分かる薄布のくせに、布繊維の摩擦感が一層快楽を引き立てる。胸を弄る主人の骨ばった手は、少々の悪戯で済ませる気は無いようだった。
 その証拠に、アキオのペニスが勃ち上がり始めると、主人はそれをブルマから出してコンドームを被せた。自身の膝の上でアキオが粗相してもスーツを汚さないようにする為である。
「しっかり観戦していなさい。ほら、オペラグラスは両手で持ちなさい」
アキオは両手を挙げた無防備な状態にされ、服ごと乳首を縊り出された。乳首を捏ね回される快感に喘ぎながら、アキオは辛うじて返事をした。触られているのは胸だけなのに、アキオは快感が背骨を駆けてペニスに血を集めていくのを感じた。駄菓子のように派手な色をしたコンドームに包まれたペニスが、みるみる硬く大きく主張した。前立腺が切なく疼く。
 アキオは乳首のみの刺激で達する程度には開発されていたが、準備体操と競技で既に濃厚な射精をしている為に精子の生成は緩やかだった。そして、やっと射精できそうになったかと思えば、刺激を弱められる。それを繰り返され、イきそうでイけない生殺しを味わって悶々と腰が揺れた。
 結局、3年生全員が競技を終えて退場しても、アキオは焦らされたまま乳首を嬲られ続けた。コンドームには、多量の我慢汁のみが溜まっていた。


 昼休みは、ナツメとアキオにとって初めての対面となった。
 十数分前に購入されたばかりのナツメは、教員の案内に従って扶養者用の観戦席へとやってきた。アキオは射精する事は愚か、コンドーム付きの勃起ペニスを隠す事も許されないまま、彼と対面した。
 最高学年として完璧に礼儀を弁えているナツメは、速やかに跪いて新たな主人の靴先へ挨拶の接吻をする。荻生の靴先に唇を寄せる姿は、淫靡にして絵画のように美しく、酷く背徳的だった。思わずアキオも唾を飲む。
「はじめまして、ナツメと申します。荻生様、お買い上げありがとう御座います。アキオさんも、よろしくお願いしますね」
促されて、アキオもナツメとペット同士の挨拶を交わした。犬同士のように肛門の匂いを嗅いでから、そこに接吻するのが作法である。アキオの方が古株なので、ナツメは先にブルマを下げて尻を見せた。

 パンフレット上のスケジュールでは、この時間に昼餉を食べる事になっている。
尤も、午後にもハードな競技を行わなくてはならない生徒達は、主人に命じられない限りは腹に物を入れたがらない。寧ろ、この時間を午後の競技に向けて直腸を洗浄する時間に充てるのが暗黙のルールだった。
「軽い物なら食べられるだろう」
荻生は二人の主人として、ペット同士の親睦を深めさせるべく昼食を取るよう命じた。観戦席を巡回する販売員を呼び止め、フランクフルトを購入した。
 販売員は普段からこの学園の食堂や購買部の店員として働いている者や、この学園のOBであることが多く、タイトなエナメルのミニスカワンピースを制服としていた。勿論ホットスナックとドリンクの他にも、ローションや玩具の販売もしていた。更に言えば、オプション料金で販売員との性交も可能である。
「マスタードはお付けしますか?」
荻生に対応した販売員は筋肉が付いた成人男性で、盛り上がった胸筋の為に乳首が制服からはみ出ていた。
「いや、結構」
商品を受け取った荻生は、アキオとナツメの前でプラスチック製の串を外した。そして、アキオがしていたコンドームを外すと、中にたっぷり詰まっていた我慢汁をフランクフルトの上にかけた。それをナツメと両端から食べるよう命じられ、アキオは顔を赤くした。ナツメも戸惑ってアキオと主人を交互に見詰めたが、観念するのは早かった。
「い、いただきます」
ナツメの様子を見て、アキオも意を決して生臭いフランクフルトを咥える。主人は、それを真っ当な幕の内弁当を食べながら見ていた。
「ん……アキオさんの、エッチな味がします……」
ナツメの媚びた感想が余計に居た堪れない。けれど、一緒に屈辱的な事をしている所為か、二人に連帯感が生まれてきているのも事実だった。


 昼食後の僅かな休憩の間に尻を洗い直したアキオとナツメは、午後の競技の準備が整うと共にグラウンドに召集された。
「それではお待ちかね、被扶養生徒による借り物競争の時間です」
グラウンドには、扶養者が居る生徒達が整列していた。この種目は単なる扶養者へのサービスであり、紅白は関係無く4人でトラックを走る。ただし1等にはチケットが配られるので、手を抜く理由も無かった。
「借り物競争のルールは簡単。コースの途中に設置された籤を引いて指定された物を借りてゴールに辿り着いたタイムを競います。なお、この競技では手を使って物を持ってきてはいけません。ゴール地点で審判の教員が点検をし、指定の物と合っているか、手を使わずに持ってきているかを確認します」
つまり、大抵は異物をアナルや尿道に入れたまま走るはめになるのだ。扶養者が他者との性行を禁止事項として事前申請している生徒以外は、精液を借りて来なくてはならない可能性もあった。

 アキオは去年、主人の精液を手を使わずに借りる事に成功したものの、ゴールへ走っている内にアナルから流れ出てしまい、判定負けを経験した。他にも、精液を借りる筈が主人がスローセックスに興じた為に時間がかかり過ぎて負けた者も居た。肛内にアルコールを注がれて緊急搬送された生徒も居るという噂すらある。今年こそは固形物の借り物でありますように、とアキオは胸の内で祈りながらスタートラインに並んだ。
 ピストルの音を合図にアキオ達は一斉にトラックを駆け、籤を引いた。
 アキオが引いた籤には「尿」とあった。またも液体に当たってしまった。
 特に誰の尿かなどと指定は無いが、見ず知らずの人から貰うよりは主人のものの方が精神的な抵抗が少なかったので、アキオは扶養者用の観戦席に走る。

 しかし、主人の対応は冷たかった。
「私は取り込み中だから、他の人から貰いなさい」
荻生は膝にナツメを乗せて犯していた。先に走って行ったナツメの借り物は、主人の精子だったらしい。ナツメのずらしたブルマの隙間から、主人のグロテスクなまでに立派なペニスが抜き挿しされていた。ナツメは甘えた声を出しながら、背面座位で精子を搾り取るべく健気に腰を上下させている。
 隣の席では、老年の紳士が赤組の1年生のアナルに御手洗団子を入れてやっていた。前方では、缶ジュースをアナルに捻じ込んでもらったものの缶ジュースの自重で直ぐに落としてしまって四苦八苦している生徒も居た。そんな中で、アキオは心許無く視線を彷徨わせる。

 アキオに助け船を出したのはナツメだった。
「ああっあの、ぼくっ、アッしょこダメっ……ん、おひっこ、できましゅ……」
ナツメは快感に喘ぎながら、碌に呂律の回らない口で提案した。
「おや、良かったね。導尿してあげなさい」
主人から許可を貰い、アキオはナツメの前に膝を付いて彼のペニスをブルマから出した。既に勃起していたそれは、勢い良く飛び出てアキオの頬に当たった。アキオより少し小さいものの、張りのある瑞々しい陰茎だった。プラムのように真赤な亀頭の先端で、尿道口がパクパクと開閉している。カウパー腺液がしとどに出て、よりペニスを艶めかせている。
 ナツメの膀胱を刺激して導尿するようにと、荻生はアキオにフランクフルトの串を手渡した。元より、こういった楽しみ方をする事を想定して、木より原価の高いプラスチック製の串が採用されているのだろう。串は細いとは言い難いが、表面は滑らかだった。
 アキオは串に念入りに唾液を絡めてから、慎重にナツメの尿道口へと宛がった。学園の授業で二人一組になって玩具を入れ合う実技実習はあるものの、先輩を相手に実演するのは初めてだった。
「ひぎゅっ、うぁあっあああっんんっ、ひあんっあああっあ、ひっ」
ナツメは串の太さに悲鳴じみた声をあげたものの、直ぐに尿道で快楽を拾い始める。何度か抜き差しすると、カウパーと絡んで動きが滑らかになってくる。
「ああぁーーっおしっ、おしっこっでる、でるっ」
奥まで串を進めて膀胱を刺激してやると、ナツメの内腿が大きく痙攣した。アナルもよく締まっているのだろう、内腿に筋がくっきりと浮き出て、力が加わった様子が傍目にも分かった。食い締められたアナルを主人に容赦無く突き上げられ、ナツメは涎を垂らして不明瞭な声をあげた。その様を気に入ったのか、主人はアキオから串を奪ってナツメの尿道を執拗に苛めた。前からも後ろからも責められて鳴く1学年上の男の痴態から、アキオは何故か眼が離せなかった。
「ほら、口で受け止めなさい」
主人の声を受けてアキオが口を開けるのと、ナツメが尿道責からめ開放されるのはほぼ同時だった。串が尿道から抜けていくと、少し硬さを失ったペニスから勢い良く尿が吹き出た。
「あぁ……」
零して主人のスーツを汚さぬよう、アキオはナツメのペニスを咥えて尿を口内に受け入れる。熱くしょっぱい尿が、アキオの口いっぱいに広がる。放尿する間、ナツメは惚けた顔をしていた。
 主人はナツメとアキオの協調ぶりに、これからも仲良くやっていけそうだと思ったのだろう。良い子達だと褒めて二人の頭を撫でた。


 アキオは借り物競争を2位で通過した。
 主人はアキオが去った後も暫くナツメで楽しんだようで、ナツメがゴール地点に辿り着いたのは競技が終わる直前だった。


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