午前

 疎らな拍手と共に、土俵に見立てた円形の陣地が用意されたグラウンドに第1学年の生徒達が隊列を組んだまま駆け足で入場する。

 競技を行う生徒達は淫猥なブルマの着用すらされておらず、下半身裸の状態たった。そして皆例外無く尻に嵌めたバイブから狸の尻尾のような飾りを垂らし、陰茎を勃起させていた。足並み合わせた駆け足に従って脚の間の尻尾が揺れる様子は、何とも滑稽である。
「駆け足、止まれ」
「イチ、ニ、サン、シ、ゴッ」
行司の格好をした教員の合図に合わせ、生徒が駆け足を止めて列を整える。
「これより、第1学年による陰茎相撲を始めます。赤組と白組から一人ずつ土俵に上がり、陰茎を擦り合わせて戦い、先に射精して尿道に挿しておいた旗が取れた方が負けとなります。なお、土俵に手を着いたり、咥え込んでいたアナルバイブが抜け落ちてしまった者は失格として扱います」
行司は司会進行と審判を兼ねているらしく、観客席に向けて説明を始めた。青空の画像を映していた天井のモニターの正面側に、生徒達をズームで映した四角い画面がワイプインする。競技者の陰茎が接写され、紙製の小さな旗が付いた細い棒が尿道に挿さっている様子を明らかにした。観客席から歓声が聞こえ、生徒達は顔を真っ赤にして俯いた。

 行司が第一試合に戦う生徒を呼び上げる。体格によって極端に他方が有利にならぬよう、似た身長の者同士で組んであるのだ。尤も、扶養者からの賄賂があれば多少の配慮はされるので、スポーツマンシップに期待するのは野暮である。
「かたやハルオ君〜ハルオ君〜、こなたレオン君〜レオン君〜」
東方のハルオと呼ばれた赤組の生徒は、まだ中学生の面影を残したあどけない顔立ちで不安そうに土俵に上がった。まだ剥けていない陰茎は、勃起していても慎ましい。対する白組のレオンと呼ばれた生徒は、背こそ低いが異国の血の混じった身体で、既に骨格は太く精悍な顔をしていた。プライバシーのプの字も無い学園では最早周知の事実だが、何処其処の御曹司がフィリピン人の妾との間に出来た子の処分に困って性奴隷にする事にしたのだと専らの噂である。そんな東南アジアの血の混じった陰茎は早熟で、仮性ではあるが剥けていた。
「見合うて」
土俵の東西で向かい合った両雄は、互いの様子を探るように見つめあう。赤組のハルオも扶養者が付いている生徒だった。無様な敗北を喫して主人からの寵愛を失いたくないと考えているのは、どちらも同じ様子である。だからこそ加減も容赦も出来ぬと、互いに察していて気が重い。
 両者の呼吸が整ったのを見計らった行司が、軍配を返す。
「待った無し、腰を下ろして」
「んんっ」
「ヒァッ」
両者が腰を低く構えた瞬間、二人のバイブのスイッチが入れられた。これが取り組みの開始を示す合図だった。土俵の中央に進み出た二人は、ガニ股のまま腰を擦り付けあう。二人が動く度、脚の間からぶら下がる尻尾も揺れていた。
「んぉ、おほっ」
陰茎がぬるりと擦れ合い、白組の生徒が腰を引く。亀頭への刺激に滅法弱いらしいのが傍目からも見て取れる大げさなリアクションだった。
「ひいっだめ、イっちゃ、やめっああんっ」
「イけっ、イっちゃえっピューーってしちゃえっ」
そこへ赤組の生徒がたたみかける。すかさず腰を押し付けて、脈打つ肉棒同士を絡みつかせたのだ。幼い陰茎が、皮から顔を出している亀頭めがけて何度も押し当たる。皮を被ったままの短小陰茎を揺らしながら懸命に腰を振る姿は滑稽で、観客達を大いに喜ばせた。

 放送席から、教員による実況解説が流れ始める。
「ペニスの大きい白組の生徒が優勢かと思われましたが、どうやら圧されていますね」
「真性包茎は勃起時も皮でガードされている分、比較的ペニスへの刺激に耐えやすいのではないでしょうか」
逆に仮性包茎は普段は皮に包まれている亀頭が勃起時にのみ晒される形状である分、敏感になっているのではないか、と話が続く。アナウンサー役と有識者役のつもりなのか、スポーツ番組を意識した質問形式の遣り取りで生徒を品評していく教員達。
陰茎の形状や感度について事細かに解説された生徒達は最早泣き出したい心地だったが、彼等の主人達は満足気に頷いていた。

 このまま盛んに攻めていた短小包茎ペニス生徒が勝つかと思われた試合は、観客の予想を超えて長引いた。
「イけっはやくっ、あぁんっ、はやく、イってぇっあぁっ」
果敢に攻めていた生徒の声は、蕩けて甘くなっていた。振りたくっていた腰も、震えるばかりで狙いが定まらなくなってきている。包茎ペニスは鈍感でも、バイブを銜え込んだ肛門はしっかりと快楽を拾っていたのだ。激しく腰を振れば、バイブの尻尾は振り子の要領で揺れ動き、より一層肛内を苛む異物を凶悪にする仕掛けになっていたのだ。
「あぁっ……ハルオくん、きもちよさそ……」
防戦一方だった白組の生徒が、ここぞとばかりに攻撃に転じる。睾丸がぶつかる程に身体を寄せ、陰茎を擦り合わせる。そして、体勢を低くして陰茎を脚の間に潜り込ませ、素股のように会陰を刺激し始めた。肛門と睾丸の境のそこを圧迫されると、バイブの動きや形がいっそうダイレクトに伝わり、赤組の生徒は悶絶した。
「こっちのがイイなんて、おんなのこみたい」
「や、やだあっ言わないでぇ」
加えて、言葉で羞恥を煽って精神からも快楽を引き出す事に成功した白組。尿道を駆け上る精液に押し出され、赤組の真性包茎ペニスから旗が落ちる。勝負あった。

 勝負が着くなり競技者二人はその場にへたり込むが、すぐさま教員に土俵から摘まみ出された。行司はすぐに次の試合を行う生徒の名を呼び始める。



 次に競技を控えたアキオ達第2学年は、第1学年による陰茎相撲の進行を待機用のテントから観戦していた。

 待機列に戻される勝った方の生徒は、射精寸前まで高ぶった熱を持て余したまま荒い息を吐いている。その様子を、2年生達は同情の眼差しで見ていた。勝っても負けても辛く惨めなのが、この学園の体育祭競技である。特にこの陰茎相撲は、まだ考えが未熟な最低学年への洗礼としての役割を果たしていた。昨年に同じ競技を経験した彼等は、決して後輩達の困苦を他人事として見る事は出来ないのだった。

 アキオも昨年の陰茎相撲を思い出すと、頬が高潮した。
 あまりに呆気無く敗退したアキオに呆れ返った主人に厳しい仕置きをされた記憶が、つい昨日の事のように蘇ったからだ。あの時は、我慢の利かないだらしのないペニスを躾け直すと告げられ、尿道に太い栓を挿して射精を阻んだまま散々犯されたのだった。結局は屋敷で飼育している全ての犬達に種付けをしてもらうまで、一滴の吐精も許してはもらえなかった。今年は今年でお仕置きが用意されていると思うと、恐ろしさでいっぱいになるが、よく躾けられた身体は一抹の期待を感じてアナルを疼かせた。


 陰茎相撲は、僅差で白組の勝ちとなった。
 勝った組の生徒には、一人につき一枚ずつ賞品が配られた。賞品は学園内で使用できるチケットだ。

 このチケットを一枚につき、一度だけ陰茎を扱きながら自慰をする事が許可されているのである。陰茎を扱く方法による自慰を校則によって禁じられ、雌犬の扱いを受けている生徒達にとって、それは自身の男性性の復権に等しい。このチケットは自身が男であると再確認する為の貴重な寄る辺であった。例えアナルだけで達する事を覚えた身であっても、これが欲しいという者は多い。その重要性を運営も重々理解している証拠に、チケットには紙幣のように透かしが入っており、コピーによる複製は防がれていた。
 各競技毎にこれが配られる為、主人のいない生徒も必死に勝ちを目指すのである。
 無論、次の競技でもこれが配られる為、アキオ達第2学年も必死だった。


 グラウンドから1年生が退場すると、すぐにアキオ達の番がやってくる。籠役のアキオは漸く後肛を苛んでいた長大なディルドから開放された。とはいえ、競技が始まれば今度はピンポン球を目一杯詰め込まれるだけなので、全く心休まりはしない。
 アキオ達はブルマを脱ぎ下半身裸になると、学年の仲間と共に駆け足行進で入場した。
「続いて、第2学年による球入れを始めます。赤組と白組から籠役を一人選出し、その生徒のアナルにより多くのピンポン玉を手を使わずに入れた方が勝ちです」
グラウンドに赤組用と白組用のブルーシートが一枚ずつ敷かれ、その上にピンポン球がばら撒かれる。籠役以外の生徒は、これを口で拾って籠役の肛内に押し込まなくてはならないのだ。
「それでは、籠役の者は位置について」
行司の格好のままの教員が指示を出す。アキオと白組の生徒はそれに従って、それぞれ組のブルーシートの中央へ設置された分娩台めいた拘束台へ開脚した状態で仰臥した。
「自分で脚を持って股を広げなさい」
教員の指示で、籠役の二人は従順にアナルを晒す。両足を台の左右の縁に括られ、不正が出来ぬよう手も太腿と一緒に縛られた。両者共に準備万端な大口アナルが、ドームの映像にズームで映し出される。更に不正行為のチェックと称して、教員が直腸に指を挿し入れて充血した内壁を観客に見せ付けられる。白組の籠役はすらりと背の高い精悍な男だったが、やはり今日の為に散々拡張された縦割れアナルだった。
「赤組アキオ君、白組キヨシ君、共に準備良し。それでは皆さん、位置に着いて」
用意、ドン! の掛け声と共に、グラウンドに空のピストルの音が鳴る。開幕の合図と共に、放送が軽快な音楽に切り替わった。

 生徒達は一斉に四つ這いになって、犬のようにピンポン球を口に咥えると、それぞれの籠役の元へと駆け出す。
「むぐぅ」
最初にピンポン球を運んできた生徒は、躊躇無くアキオのアナルをすっぽりと唇で覆って、ピンポン球を押し込めた。アキオの会陰に生徒の顎が押し当たる。
「んん〜〜っ」
生徒は出来るだけ奥へと押し込もうとしているのか、アナルにピンポン球と一緒に舌まで執拗に捩じ込んでくる。陰茎とも玩具とも異なる柔らかく生温い舌が直腸を這う感覚に、アキオの腰が跳ねる。早くも快楽に蝕まれる好色な身体は、爪先を丸めて刺激に耐える事しか出来ない。ピンポン球と舌がぬるりと直腸を押し開く感覚に、アキオは額に汗を滲ませながら耐えた。拘束されていなければ、脚を閉じてしまっていただろう。
 けれど、勝負事であるから、皆に容赦は無い。一人目が退けば、すぐに二人目の生徒がアキオの肛門にしゃぶり付いた。
「ああ、ソコ、当たって……ウウッ」
二つ目のピンポン球は前立腺を押し潰す位置のまま留まり、アキオを更に苛む。勃起したペニスは啜り泣くように我慢汁を零していた。快楽をやり過ごす間も無く、三人目が来る。

 隣を見れば、白組は若干ペースこそ速いが籠役の苦しみは同様だった。
 五人目の生徒が押し込んだピンポン球が丁度悦い所に押し当たったのだろう。拘束台を軋ませながら悶絶していた。勃ち上がった陰茎が、腹の上にしとどとカウパーを降り注がせていた。
「待って、待ってって、はひッ、オぉッ、オほォッ」
六つ目を捩じ込まれれば、ピンポン球が悦い所を押し潰しながら奥へ奥へと移動していく為に、快楽の連鎖に突き落とされる。傍目からも、痙攣する腹筋の様子や恥も外聞も無い嬌声から如何に強烈なアクメを堪えているかが窺えた。
 しかし勝負に急く白組は、息を継がせる間も無く七つ目のピンポン球を押し込もうとした。
「オホォォッ、イぐ!! イっでう!? オアァァッ」
グラウンドに、悲痛なアクメ声が響く。耐えに耐えた射精が訪れ、勢い良く精液を噴き出していた。
「イぎだぐないっ出でゃうッ! ピンポン球っ出でゅううっ」
絶頂の中、自身の役目を思い出して必死に快楽に抗おうと努めるも、余りに無力であった。咽びながら、収縮を繰り返すアナルは力無くピンポン球をビニールシートに落としていった。
 その惨状は、ドームの画面に映し出され、リプライ映像で繰り返し観客と生徒に見せられた。暢気な実況が「これは痛恨のミスですね」と同情の欠片も無い声で述べる。

 白組は必死にピンポン球を拾い直して、射精の余韻の収まらぬ可哀想なアナルに詰めようとする。しかし、競技の制限時間は残り僅かだった。
「やった、勝てるぞ!」
当然、勝利を確信した赤組は、無理にこれ以上無理をせずに現状を維持する作戦に出る。現在、アキオのアナルに入れられたピンポン球は六つ。しかしこれでは、試合に勝とうと、主人との約束を反故にしてしまう。
「お、お願い、も、ひとつ……入れて……」
アキオは、同胞達との確実な勝利より、主人との約束を取った。何より主人を喜ばせる事を優先する姿勢は、この学園に仕込まれたものだ。アキオの級友達も、その心情を察して神妙に頷いた。
 アキオの既にガチガチに硬く反り返った爆発寸前のペニスを不安げに一瞥した級友だったが、慎重にピンポン球を押し入れた。
「んんっ苦し……」
 直腸の中で連なったピンポン球が、互いに押し合いながら蠢いて、腹を圧迫しながら悦い所も一緒くたに揉み潰す。
 アキオが歯を食い縛りながら射精したのは、制限時間を告げる笛の音が鳴った直後だった。


prev← →next




back
top
[bookmark]



×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -