登場人物紹介

○登場人物一覧
下記にキャラクターの紹介とは別に、種族としての妖怪の伝承等を記しましたが、ネタバレも含みます。
ネタバレ含む妖怪紹介

●登場キャラクター(随時追加)

・時雨(シグレ)
┗狗神を信仰する村に生まれ住んでいた人間。妹を溺愛している。

・深雪(ミユキ)
┗狗神を信仰する村に生まれ住んでいた人間。時雨の妹。

・狗神(イヌガミ)
┗古くから山を統べると言われており、貧しい雪国で祀り上げられている。人間に対しての感情は複雑。

・座敷童(ザシキワラシ)
┗狗神の屋敷に憑いている人間の幼女の姿をした妖怪。

・件(クダン)
┗狗神の古い友である牛の角を持つ妖怪。予言が出来る。

・妖狐(ヨウコ)
┗狐の妖怪だが人間の男との間に子を授かる。

・子狐(コギツネ)
┗妖狐の娘であり人間の血を引くまだ幼い狐の妖怪。よく人間の幼女の姿に化ける。

・朱(アケ)
┗寂れた湯屋で春を鬻ぐ女。古株の筈だが外見は麗若く美しい。


※以下、ネタバレ含む妖怪解説です。妖怪をイメージする際の助けになれば幸いです





●ネタバレ含む妖怪紹介



・狗神
┗狗神への信仰は山犬及び狼の霊を指し山の守り神として山岳地帯に根付いている場合が多い。
犬の妖怪としては、狐の居ない四国が発祥と言う説もあり、中国や九州を含む西日本に広く分布している。源頼政が討った鵺の死体が4つに裂けて各地に飛び散った内の一つが土佐・阿波に流れ着き狗神になったとも言われている。また、鼻頭の赤い白犬は人間の生まれ変わりであり死ぬと狗神になるという迷信も存在する。猪除けというのは、徳島に伝わる弘法大師が描いた犬の絵から狗神が生まれたとも言う伝承があるため。
蠱術としては、頭部のみ出して生き埋めにした白犬の鼻先に食物を見せて置き、餓死する寸前にその頸を切る事で狗神を作り出すという呪術が平安時代から既にあったと言われている。

・座敷童
┗岩手県を中心とした東北に伝わる座敷や蔵に住む神。
一般的には赤面垂髪の五・六歳くらいの子供の姿をしていて、悪戯をしたりその家の子供と遊んだりすると言われている。座敷童子は家に富をもたらし座敷童を見た者は幸運が訪れると言った福の神の顔を持つ反面、座敷童子の去った家は衰退するという凶事の前触れや厄病神としての顔も持つ。座敷童の目撃談は現代でもあり、男女どちらとも聞くが女子の姿の方が多いとされている。
東北地方では口減らしのために間引く子を石臼の下敷きにして殺し、土間や台所に埋める臼殺という風習があったと言い日本民俗学者である佐々木喜善には圧殺されて家の中に埋葬された子供の霊と推察されている。

・件
┗主に西日本に伝わる字の通り半人半牛の姿をした怪物で、一般的には頭が人で身体が牛とされているが牛の頭部に人間の身体という説も存在する。
牛から生まれ、人の言葉を喋り予言をしたら直ぐに死んでしまう生き物とされていて、件の予言は必ず当たる。この事から嘘偽りが無いという意味で証文の末尾に「件の如し」と記すようになったとも言われるが、件の記述が見られるようになる江戸時代以前から「件の如し」という語句は存在している。また「件の如し」から派生したのか、件は嘘を吐けないという説もある。
不吉な話をする時に「件の話は」「件の用件で」とぼかして言うところから、凶事を予言していく件の名が付いたともされる。
因みに小松左京の小説「くだんのはは」に登場する件は、十三か十四の女子の身体が茶色の毛に覆われていて、額には角が生えている。

・妖狐
┗狐の妖怪であり、平安時代中期に成立した『和名抄』には「狐はよく妖怪となり、百歳に至り、化して女となるなり」とある。
稲荷神の神使として信仰される他、日本各地の民間伝承でも狸や猫と並んで人間や他の動物に変身して人を化かす存在として描かれる事は多い。中国では妖狐は初め尻尾が1本しかないが長い年月を掛けて妖力を増すと共に尻尾の数を増やし千年近くになると九本の尻尾を持つようになると言われている。なお千年以上生きた善良な妖狐は仙狐と分類され、更に御先稲荷のような千歳を超え強力な神通力を持ち神格化した善狐は天狐とされ尾は四本になるとも言われていて天狐は神に等しく天狗と同一視されるという説もある。
狐と人間の異類婚姻譚は『日本霊異記』にも記されている。安倍晴明の出生である「葛の葉(信太妻)」伝説も有名。その伝説での狐と人の馴れ初めは、猟師に追われていた狐を助けた事から始まる。

・狐筋(キツネスジ)
┗民間信仰のひとつで、狐を祀っている或いは狐に憑かれている家系を指す。
狐を使役する「狐持ち」や代々家系に狐の霊が憑く「狐憑き」など様々な、形態がある。
狐の他にも狸や蛇等もそういった憑く動物として扱われるが、恐らく最も狐が有名である。その家が祀る狐が他の家から富を奪ってきたり豊かな他家に災難を振りかけたりすると言われているので、繁栄する反面世間からは疎まれる傾向にある。
※多くは昔の農村など閉鎖された環境での不幸や不可解を解消する為の差別的な解釈とされていますが、作中では狐を使役する家系としての意味合いで使用しています。

・家鳴(ヤナリ)
┗日本各地の伝承にある怪異の一つで、家や家具が理由もなく揺れ出したり軋みをあげらりする現象、またそれを引き起こす妖怪を指す。現代でも温度や湿度等の変動が原因で、家の構造材が軋むような音を発する事を「家鳴り」と呼ぶ。
江戸時代の書物『太平百物語』や日刊新聞『二六新報』の記事に家鳴の描写があり、いずれも霊の仕業となっているが、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』では小さな鬼のような妖怪がいたずらをして家を揺すって家鳴を起こしている絵が描かれている。


・絡新婦(ジョロウグモ)
┗日本各地に伝わる妖怪であり、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」では、火を吹く子蜘蛛達を操る蜘蛛女の姿で描かれている。
『太平百物語』や『宿直草』などの江戸時代の書物にも、女に化ける絡新婦の名がある。「齢400歳の女郎蜘蛛がなるといわれる妖怪」とも言われているが、地方によっては「婚姻直前に男の心変わりによって捨てられた女の成れの果て」であるいう伝説も残されている。
かつて竜神に仕える巫女は滝淵や深山奥の泉のほとりで機を織る風習があったが、その糸を繰る女の姿を元に蜘蛛女の妖怪が生まれたと言う説があり、絡新婦は水怪の一種とされる事が多い。中でも、静岡県伊豆市の浄蓮の滝を舞台に滝の主として伝えられる絡新婦の伝承が有名で、人の脚に糸を引っ掛けて滝壺に引き摺り込むのだと言われている。また、かつての巫女は娼婦のような役割を担っていた為、巫女を元にした妖怪だった絡新婦が遊女や花魁に化ける物になったともされている。そこから客を捉えて離さないやり手の女郎を「糸で絡めとっているに違いない」と揶揄する連想も生まれた。



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