◎ ごしきと!
「し…白鳥沢の授業ってレベル高いですね…」
「まだ入学したばっかだろ、何言ってんだ五色」
「っていうか、五色って東京出身だろ? 勉強とかは東京の方がレベル高いんじゃねーの?」
「俺のいた中学は区内一の馬鹿校と言われてました…もちろん俺も勉強はからきしです…」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。俺とか巴ですら進級できてるんだからどうにかなるデショー!」
「説得力が妙にあるが違うそうじゃない」
「そういう時は白布に勉強教えてもらえ、去年の期末で学年10位以内に入ったから」
「体よく俺に押し付けないでください、英語で赤点取って監督にガチギレされた瀬見さん」
「ほんっとお前かわいくねーな!!」
「もしくは空知に教えてもらうといいぞ。空知は学年1位だし、嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれるだろうからな」
「おい五色、どこがわからないんだ言ってみろ」
「なんだその変わりよう!」
「ヤダ賢二郎ったらキャワイイ〜! 恋愛系コピペかと思った〜!」
「天童、お前にキャピキャピされると2丁目のガチゲイ感が物凄いからやめてくれ」
「2丁目のお姉さんがたは普通に優しいですよ!」
「違うそうじゃない」
gdgd。
「五色って181cmか! 結構タッパあんのなー」
「ありがとうございます! でもまだまだ伸びますよ、いつか牛島さんを見下ろしてやります!」
「なんか意外な感じするなー。最初に写真見た時は、もっと小っちゃいイメージだったわ」
「あ、ちょっとわかる。五色くん、幼く見える時あるよね」
「むっ、俺は16歳の立派な日本男児ですよ! …まあ確かに童顔だとはよく言われますけど! もっとこう、舘○ろしのような渋い男になりたい…!」
「いや明らかにその前髪のせいじゃね」
「こら、巴! あの前髪は五色くんのこだわりなんだから…!」
「渋くなりたきゃ牛島みたいに短くすれば?」
「それじゃあ牛島さんの真似してるみたいじゃないですか! いいんです、俺にはこのヘアスタイルが一番似合ってるって茨城のおばあちゃんが言ってましたから!」
「その前髪おばあちゃんチョイスだったのかよ。なんか上級者のオシャレかと思ってた」
「まあでも、似合ってるからいいと思うよ。遠くから見ても五色くんだって一発でわかるし。それにこの白鳥沢で五色くんだけの、唯一無二のヘアスタイルだからね」
「ゆ、唯一無二…! 最高に気持ちい言葉ですね!」
翌朝
「「おっはー」」
「おはよう、沙羅、杏樹…ってあれ、髪切ったの?」
「っていうかその髪型…」
「どーよ、おかっぱボブ。かわいくね? めっちゃかわいくね?」
「もちろん五色リスペクト。オン眉がポイント」
「あっはははは、カンペキに五色じゃん! 五色喜びそー!」
「うん、似合う似合う。こう見ると、女の子の髪型としても可愛いね」
「案外流行ったりしてね」
「クラスの女子7割が五色ヘアーだったり」
「まっさか! ほら、練習すんべ!」
数時間後、教室
「おはよー」←五色ヘアー
「空知さん、おはようございます!」←五色ヘアー
「おっす女バレー」←五色ヘアー
「…沙羅と杏樹って預言者?」
「「いえーい、ウチらファッション先取りしてるー」」
「まさかこんなに五色くんの髪型が浸透してるとは…流行ってすごい…」
しばらく五色のあだ名が「ファッションリーダー」になりました。