ぱちぱちれんさい | ナノ
 いちねんせいになったら



白鳥沢学園 学生寮


「今日からお世話になる五色です! よろしくお願いします!」


「あっ、工じゃ〜ん。まだ3月なのに、もうこっち来たの?」


「おはようございます天童さん! 一刻も早く練習に合流して、俺が白鳥沢のエースに相応しいことを証明しなければなりませんから! ところで牛島さんはいらっしゃらないんですか?」


「若利は地元だから、家からの通学だぞ。あと獅音と瀬見と白布も家からだな」


「バレー部で寮生なのは、ベンチメンバーだと俺と隼人君と太一くらいなもんダヨー! ベンチ外の奴らも何人かいるけどね」


「くそう、普段どんなトレーニングしてるのか、こっそり偵察しようと思っていたのに…!」


「おーい五色。前まで俺が使ってた部屋、お前に割り当てられたから案内すんぞ」


「あっ、はいっ! ありがとうございます、川西さん!」







翌日


「お、五色じゃん! もう宮城来たのか、早いなー」


「おはようございます、鷲匠さん! もちろんです、一刻も早く俺が(ry」


「バレー部の新入生ってことは、五色の部屋って2階の一番端っこだべ? あそこのネズミの巣穴って今は塞がってんの?」


ネズミ!? 何ですかそれ、聞いたことありませんよ!?」


「あ、あと風呂場の扉側から二番目のシャワー、1年専用になってるっしょ? あそこ温度調整するところがぶっ壊れてて、急に熱湯出るから気をつけろよー」


「風呂場!? 熱湯!? 待ってください、鷲匠さん何でそんな寮事情に詳しいんですか!?」


「巴は鷲匠監督の孫だからな。過去の寮生OBたちから色々聞いてるみたいで、下手したら天童たちより寮には詳しいぞ」


「ちなみに男バレには、鷲匠から聞いた寮関係の情報をまとめたマル秘ノートがあったりする。内容は主に脱走ルートとか、門限過ぎた時にバレずに各部屋へ戻るルートなんかだけどな」


「閲覧許可が出るのは2年からだから、1年のうちはお利口にしてなよ〜」


「うおおお、何か秘密組織っぽくてカッコいいですね! 他に何か寮情報あったりするんですか!?」


「えー? あ、そういや1階のトイレ右隣の部屋のブラウン管テレビ、深夜2時に電源つけると長い髪の女が笑ってる映像が流れるって話、したことあったっけ?」


「ちょっと待ってください鷲匠さん、ちょうど俺その部屋に移動になったばっかなんですけど」







学生寮って憧れるよね。通学事情は捏造です。







「おはよ〜在校生代表の空知ちゃん」


「おはよう天童…。どうして私が入学式の歓迎の言葉なんか任されちゃったんだろ…。普通そういうのって、生徒会長の仕事なんじゃないの?」


「むしろ空知が生徒会長じゃないことの方が意外だよな。空知が立候補しようものなら、選挙なんか圧勝だろ」


「主将をやることすらいっぱいいっぱいなのに、生徒会長なんてとても務まらないよ! ああもう、文章変になってたり、本番で噛んだりしたらどうしよう…!」


「大丈夫だべ、小鳩なら! 噛んでもそのキラキラオーラでごまかせるだろうし!」


「入学式で空知ちゃんファンがどれくらい増えるかな〜。むしろもういるか、入学説明会の案内も空知ちゃんやってたし」


「卒業式の卒業生を送る言葉で、保護者たちにまでファン層を広げたからな」


「うぅぅぅ、ひっそり生きていたい…」








2年生の教室


「新入生になりたい…!」


「また早房の妄言が始まった」


「妄言って何なのそれ! 私は至って真剣な思いを吐露しているのに!」


「それで何なの、そんな気持ち悪い顔して」


「泉澄ひどい! だってさ、小鳩さんの歓迎の言葉だよ!? 私たちの代は知らない3年がペチャクチャ喋ってただけだってのに、1年遅く生まれたというだけで小鳩さんから歓迎のお言葉を貰えるとか羨ましすぎて憤死するわ!」


「ほんと重症だなお前」


「白布てめー、本当にそんなことが言えるのか? 小鳩さんが『ご入学おめでとうございます』って、あの彫刻のような美しいお顔で微笑んでくれるんだよ?」


「…」ピクッ


「小鳩さんが『これから皆さんと過ごせることを心から嬉しく思います』とか『私たち上級生はいつだって皆さんの味方です』とか『辛い時、苦しい時はいつでも気軽に話しかけてください』とか、まるで神様みたいにお優しい言葉をかけてくれるんだよ? そんな至上の喜びが今年の新入生限定とかむきゃあーっ!! 嫉妬で人を殺せそう!!」


「美羽、白鳥沢の2年がこんなんだと思われたら恥ずかしくて死ねるから、新入生の前ではそういうこと言うのたとえ死んでもやめて」


「っていうか何でそんな詳しく歓迎の言葉を言えるんだ。さては早房、空知さんの書いた歓迎の言葉を盗み見したな」


「違いますー! 小鳩さんが部室で練習してたの聞いてただけですー!」


「美羽、言っておくけど許可を貰ってないのに勝手に録音するのは犯罪だから、小鳩さんにちゃんと謝ってよ」


「何それ録音なんかしてないよ!! したいけど我慢したよ!! 小鳩さんの言葉を一字一句間違えずにメモっただけだよ!!」


「自信満々にストーカー発言をするのはやめろ」






やま? おち? いみ? そんなもの…ウチにはないよ…





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