ぱちぱちれんさい | ナノ
 チョコレイト・ディスコ


バレンタイン当日


「山形、誕生日おめでとー!」


「おお、サンキュ。っつーか鷲匠、俺の誕生日知ってたのか」


「バレンタインが誕生日なんて、得だよね〜。誕生日プレゼントって名目でチョコ貰えんじゃん」


「逆に考えてみろ、義理チョコですらない誕プレチョコしか貰えない男の哀しみを」


「それは確かに哀しい」


「ご、ごめん、せっかくだからと思ってチョコケーキ作ってきちゃった…」


「ええええ、なにこれクオリティたっか! さすが空知ちゃん、どっかの女子力(物理)を地で行く奴とは大違い」


「うるせー! そういうこと言ってっとチョコアイス奢ってやんねーぞ!」


「待てお前、まさか天童へのバレンタインをチョコアイスで済ませる気か!? 今2月だぞ!?」


「だって好きなんだろ?」


「は?」


「チョコアイス」


「あ、それね。好き好き、ちょー好き」


「って言うから」


「天童…」ホロリ


「やめて空知ちゃん、ドラえもんの生暖かい目みたいな目で見ないで」


「触れてくれるな空知、バレンタインを迎えた男なんて、みんなこんなもんだ…」


「お前ら若いなぁ」


「獅音はオッサンかよ」






天童は練習後にコンビニでガリガリくん(リッチチョコ)を奢ってもらいました。






「おはようございます、空知さん」


「白布くん、おはよう。はい、白布くんにもチョコレート」


「いいんですか? ありがとうございます」


「いつも練習、付き合ってもらってるからね。お礼にもならないけど、感謝の気持ち」


「いえ、とんでもないです。…それじゃあ、これは俺からの感謝の気持ちです」


「え、チョコレート? 私に?」


「逆チョコってやつです。普通のチョコはファンの女子たちからたくさん貰うだろうから、変わり種を用意してみたんですけど…」


「あ、これスパイスチョコ! 嬉しいなぁ、甘すぎるものって苦手なんだけど、これは好きなんだ!」


「気に入ってもらえてよかったです」


「じゃあ、ホワイトデーはお返ししなきゃね」


「楽しみにしてますね。俺からのお返しも、喜んでもらえるもの、考えておきますんで」


「ふふ、お互い3月が楽しみだね」


「バレンタインだけじゃ飽き足らず、ホワイトデーも空知さんからの絶品お菓子を貰うつもりか…! 白布、恐ろしい子…!」ギリギリ


「美羽、その『作画:楳図か○お』みたいな顔やめて。そのセリフ使うならせめて美内す○えにして」


「白布って結構肉食系だよな」







ロールキャベツ系男子、白布。







「瀬見、瀬見!」


「ん? どうかしたか、巴」


「周りに誰もいねーよな…。はい、これ」


「なんだこれ、チョコケーキ?」


「小鳩が山形用のやつ作ってるの手伝ったら、簡単だから巴もやってみなよって言われて作ったやつ」


「え、巴の手作り!? マジで!?」


「しーっ! 天童あたりに知られたら恥ずかしいべや!」


「別に恥ずかしがることないだろ、美味そうじゃんか。ありがとな、頂くわ」


「瀬見にはいつもトス上げてもらってっからな! 味は多分大丈夫、獅音は美味いって言ってたから」


「…ん? 獅音にもあげたのか?」


「おう」


「…そっかそっか、まあ同じ中等部からのエスカレーター組だしな…」


「?」







上がったり下がったり瀬見くん。







「ううううううう、牛島くんっ!」


「空知、どうかしたか」


「あああ、あの、その、この間、面白い話を聞いてね」


「?」


「アメリカの大学で、激しい運動の後の筋肉の疲労回復には、スポーツドリンクよりも低脂肪のチョコレートミルクの方が効果的っていう研究結果が出たんだって! それを聞いて面白いなって思って、実際に作ってみたんだけど…。よ、よかったら飲んで頂けないでしょうか…!」


「そうなのか、それは是非試してみたい。空知さえよければ、有り難く貰おう」


「も、勿論です! どうぞ!」


「空知は色々なことをよく知っているな。バレー関係の面白い話があれば、また聞かせてくれ」


「は、はい…!(うわあああああ、牛島くん相変わらずかっこいいいいい…!)」


「やったじゃん小鳩! 普通のチョコを持ってきた結果『もうクラスメイトに十分貰ったから』って断られた去年のリベンジを果たせたね!」


「ちょっ、巴やめて、あの時の心の傷が蘇ってくるから…」orz


「…でも若利君、あの感じだとバレンタインのチョコとしてカウントしてないんじゃ」


「えっ」


「馬鹿、よせ天童! 去年の空知の凹みぶりを忘れたのか! 2月末までずっと葬式モードで、空知ファンと牛島ファンの間で『白鳥沢紛争』と呼ばれるほどの対立が発生したあの惨劇を!」


「小鳩がリアルに『私のために争わないで』って全校集会で言ったアレな」


「いやーっ、やめてーっ! 思い出すだけで恥ずかしいんだから!」


「まあでも、若利君も喜んでたし、結果的にはいーんじゃない? 今日の筋トレ後に若利君があれ飲んでるとこの写メ、撮っといてあげるからさ〜」


「あ、ありがとう天童…!」








放課後


「おおおおおおお、お疲れ様です牛島くん…! ど、どうだったでしょうか…!?」


「お疲れ。ああ、美味かった。改めて礼を言う」


「よ、よかったぁぁぁ…! レシピ本から栄養学の本まで、調べに調べた成果があったぁ…!」


「もしよければ、作り方を教えてほしいんだが」


「え! う、うん、もちろんいいけど…。そんなに気に入ってもらえたの?」


「いや、人に勧めるつもりだ」


「人に?」


「ああ。何かと怪我の多い奴で、今も骨折してるせいで普通の練習ができない。ただ筋トレだけは熱心にやっているから、筋肉の疲労回復に効果があるならば勧めたい」


「…え、えっと、ちなみにその人は、例の…」


「ああ、幼馴染だが


「」


(これは酷い)


(若利君の手作り逆チョコバレンタインとか草生える)


(小鳩、どんまい…牛島は仕方ないわ…)





ちなみにスポーツ後にチョコミルク云々はマジらしい。『チョコレート スポーツ』でググると一番上に出てきます。


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -