ぱちぱちれんさい | ナノ
 せみたん&ポッキーの日



ウドンパの続きなようで続きじゃない。





11/8


「それにしても、今日が誕生日だったんだな、巴」


「そうらしい! あたしも忘れてたけど!」


「そうらしいってなんだよ。脳筋こじらせると自分の誕生日すら忘れちゃうのか〜コワイわ〜」


「ぶっ飛ばすぞテメー!」


「こら、お店で暴れないの! でも、こうやってみんなでお祝いできたら楽しいでしょ?」


「うん! うどんもたらふく食えるし!」


「絶対それが本音だろ、祝われるのよりもうどんのが上だろ」


「祝い甲斐のねーヤツ」


「そういえば、瀬見も誕生日が近かったな」


「「マジで?」」


「おお、一応3日後だな。っていうかまさか若利が覚えててくれてたとは…」


「マジか! じゃあ瀬見の誕生日も祝うべ! ついでに!」


「ついでにとか言うんじゃないよ。自分が主賓だからってワガママ言っちゃってさ〜」


「なんだよ、祝わないの?」


「やるんだったら当日の方がいいじゃん。第一、うどんパーティーで喜んでるの巴だけだから。しばらくはうどんの『う』の字も見たくなくなるくらい食ってんだけど」


「うどんは何杯食ったって美味いのに」


「じゃ、英太君。英太君の誕生日パーティーは俺が準備しておくから、3日後楽しみにしててね〜」


「天童に任せておくとか嫌な予感しかしねーんだけど…」


「「天童ー、ウチらも手貸すよー」」


「やめろ、双子が加わったら間違いなくロクなことにならねぇ!!」







11/11


「「ハッピーバースデートゥーユー」」


「ハッピーバースデートゥーユー♪」


「「「ハッピーバースデーディア瀬見(英太君)〜。はいっ」」」


「?」


「若利君、そこはラストの『ハッピーバースデートゥーユー』歌わないと」


「そうか、すまん」


「で、どうやって祝ってくれんだよ。もう腹決めたから何とでも来いや!」


「「おー、男前」」


「そうそう、俺らも悩んだのよ。いかに英太君の誕生日を面白おかしく祝うか」


「そんで思い出したんだけどさ、瀬見の誕生日ってポッキーの日じゃん?」


「あぁ、そういえばそうだな」


「そんで、瀬見の好物は鉄火巻きじゃん?」


「そうだけど、それがどうしたんだよ」


「「というわけでポッキーゲームならぬ鉄火巻きゲームを巴とやる権利をプレゼント〜」」


「待て待てなんだ鉄火巻きゲームって」


「ルールは簡単、特別に用意した長さ13.5cmの鉄火巻きを端から食べて行って、先に口を離した方が負け!」


「要するにポッキーゲームとルールは一緒ってこと」


「こんなドキドキ感のないポッキーゲーム初めて聞いたぞ」


「いーじゃん、好物の鉄火巻きも食えて好きな子も食えるんだから最高じゃん」


「ちょ、なんつー言い方すんだ! 第一、巴がやるワケねーだろ、その手のことを!」


「そこは大丈夫、巴も体育会系だから場の空気が盛り下がることはしないし」


「というワケで、ほら巴のクラス行くよ〜」


「うわーっ、嫌だせめてポッキーでやらせてくれーっ! 若利、この馬鹿3人止めてくれ頼む!」


「?」









「よ、よくそんなこと考えたね…」


「「でしょでしょ」」


「はい、じゃあ端っこくわえて! よーいどんで食ってってね〜」


「マジでやんのかよ…巴、嫌だったらやめてもいいんだぞ。っていうかやめてくれ頼む」


「しゃーないじゃん、沙羅と杏樹がやれって言うんだもんよ。天童は後でボコる」


「なんで俺だけなの?」


「巴は漢前だから女の子には優しーもん」


「そうそう、私ら乙女だから」


「乙女は鉄火巻きゲームなんて考案しねーよ」


「はいはい、覚悟決めて! それじゃよーいどん!」


「くそ、こうなりゃヤケだ!」


「いただきまーす」


「うわ、こんな色気もムードもない絵ヅラ初めて見た」


「「わかるー」」


「考えたのは天童と沙羅と杏樹でしょ…」


「…やっぱムリだ!!」


「あ、英太君!」


「よっしゃ、あたしの勝ち!」


「どしたのよ瀬見、せっかくちゅー寸前だったのに」


「ほんとほんと、千載一遇のチャンスだったのに」


「お前らよくよく考えてみろ、ファーストキスが鉄火巻きの味とか後々死にたくなるだろ!!」


「「うわあ確かに」」


「ごめん英太君、確かにそれはヒドイわ、想像したら悲しくなってきた」


「なんかわかんねーけど、もう終わりなの? じゃあ小鳩が作ってきたケーキ食おう!」


「そんなに大した出来じゃないけど、よかったらどうぞ」


「空知…! お前だけだよ、まともに祝ってくれるのは…! ヤバい、涙出てきた…」


「せ、瀬見くん、さすがに泣かなくても…」








ハッピーバースデー瀬見くん!



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