◎ せみたん&ポッキーの日
ウドンパの続きなようで続きじゃない。
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「それにしても、今日が誕生日だったんだな、巴」
「そうらしい! あたしも忘れてたけど!」
「そうらしいってなんだよ。脳筋こじらせると自分の誕生日すら忘れちゃうのか〜コワイわ〜」
「ぶっ飛ばすぞテメー!」
「こら、お店で暴れないの! でも、こうやってみんなでお祝いできたら楽しいでしょ?」
「うん! うどんもたらふく食えるし!」
「絶対それが本音だろ、祝われるのよりもうどんのが上だろ」
「祝い甲斐のねーヤツ」
「そういえば、瀬見も誕生日が近かったな」
「「マジで?」」
「おお、一応3日後だな。っていうかまさか若利が覚えててくれてたとは…」
「マジか! じゃあ瀬見の誕生日も祝うべ! ついでに!」
「ついでにとか言うんじゃないよ。自分が主賓だからってワガママ言っちゃってさ〜」
「なんだよ、祝わないの?」
「やるんだったら当日の方がいいじゃん。第一、うどんパーティーで喜んでるの巴だけだから。しばらくはうどんの『う』の字も見たくなくなるくらい食ってんだけど」
「うどんは何杯食ったって美味いのに」
「じゃ、英太君。英太君の誕生日パーティーは俺が準備しておくから、3日後楽しみにしててね〜」
「天童に任せておくとか嫌な予感しかしねーんだけど…」
「「天童ー、ウチらも手貸すよー」」
「やめろ、双子が加わったら間違いなくロクなことにならねぇ!!」
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「「ハッピーバースデートゥーユー」」
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
「「「ハッピーバースデーディア瀬見(英太君)〜。はいっ」」」
「?」
「若利君、そこはラストの『ハッピーバースデートゥーユー』歌わないと」
「そうか、すまん」
「で、どうやって祝ってくれんだよ。もう腹決めたから何とでも来いや!」
「「おー、男前」」
「そうそう、俺らも悩んだのよ。いかに英太君の誕生日を面白おかしく祝うか」
「そんで思い出したんだけどさ、瀬見の誕生日ってポッキーの日じゃん?」
「あぁ、そういえばそうだな」
「そんで、瀬見の好物は鉄火巻きじゃん?」
「そうだけど、それがどうしたんだよ」
「「というわけでポッキーゲームならぬ鉄火巻きゲームを巴とやる権利をプレゼント〜」」
「待て待てなんだ鉄火巻きゲームって」「ルールは簡単、特別に用意した長さ13.5cmの鉄火巻きを端から食べて行って、先に口を離した方が負け!」
「要するにポッキーゲームとルールは一緒ってこと」
「こんなドキドキ感のないポッキーゲーム初めて聞いたぞ」「いーじゃん、好物の鉄火巻きも食えて好きな子も食えるんだから最高じゃん」
「ちょ、なんつー言い方すんだ! 第一、巴がやるワケねーだろ、その手のことを!」
「そこは大丈夫、巴も体育会系だから場の空気が盛り下がることはしないし」
「というワケで、ほら巴のクラス行くよ〜」
「うわーっ、嫌だせめてポッキーでやらせてくれーっ! 若利、この馬鹿3人止めてくれ頼む!」
「?」
「よ、よくそんなこと考えたね…」
「「でしょでしょ」」
「はい、じゃあ端っこくわえて! よーいどんで食ってってね〜」
「マジでやんのかよ…巴、嫌だったらやめてもいいんだぞ。っていうかやめてくれ頼む」
「しゃーないじゃん、沙羅と杏樹がやれって言うんだもんよ。天童は後でボコる」
「なんで俺だけなの?」
「巴は漢前だから女の子には優しーもん」
「そうそう、私ら乙女だから」
「乙女は鉄火巻きゲームなんて考案しねーよ」
「はいはい、覚悟決めて! それじゃよーいどん!」
「くそ、こうなりゃヤケだ!」
「いただきまーす」
「うわ、こんな色気もムードもない絵ヅラ初めて見た」
「「わかるー」」
「考えたのは天童と沙羅と杏樹でしょ…」
「…やっぱムリだ!!」
「あ、英太君!」
「よっしゃ、あたしの勝ち!」
「どしたのよ瀬見、せっかくちゅー寸前だったのに」
「ほんとほんと、千載一遇のチャンスだったのに」
「お前らよくよく考えてみろ、ファーストキスが鉄火巻きの味とか後々死にたくなるだろ!!」
「「うわあ確かに」」「ごめん英太君、確かにそれはヒドイわ、想像したら悲しくなってきた」
「なんかわかんねーけど、もう終わりなの? じゃあ小鳩が作ってきたケーキ食おう!」
「そんなに大した出来じゃないけど、よかったらどうぞ」
「空知…! お前だけだよ、まともに祝ってくれるのは…! ヤバい、涙出てきた…」
「せ、瀬見くん、さすがに泣かなくても…」
ハッピーバースデー瀬見くん!