ぱちりと目を明けると天井だった。なーんだ、あれは夢だったんだ。そりゃそうだ、あんな矛盾だらけの記憶喪失なんてあるはず無いし。ほっと息をついて時計を見れば午後2時だったきゃー。これは多分、夜中までゲームをしていたせいに違いない。枕元にはぴこぴことおやすみモードの携帯ゲーム機がライトを点滅させている。さて、起きよっかな。ぐぐーっと伸びをすれば背中の骨がこきこきと鳴った。
「トウコ、いつまで寝てるの!」
お母さんがノックもせずに部屋に乱入してきた。はいはい、言われなくても今から起きるっつーの。床を生め尽くすくらいに大量に転がっているがらくたを蹴飛ばしながら、特大の欠伸を噛み殺した。


「トウコったら、もう2時だよお!」
外に出たら、何故かベルに捕まった。私を待ってたのって聞いたらトウヤを待ってたんだと言われた。曰く、今日はチェレンとトウヤとベルで遊ぶつもりだったらしい。チェレンはベル家で待機してるのだとか。というか、ベル父に捕まったらしい哀れ。とにかく何このアウェー感、半端無いんだけどベルのくせにこの野郎!あ、でもベルは可愛いから許す、可愛いは正義。男共許すまじ。
「それにしても、遅いなあ」
「…何時から待ってんの」
「うーん、1時かなあ」
…なん、だと。女の子を一時間待たすなんてあいつあり得ない。なんてろくでもないやつなんだ、私が天誅を与えてやると心に決めた。ていうかベルの辛抱強さに感嘆する。私だったら耐えられずに家に乗り込んでるわ、三分で。カップラーメン並みの耐久力。それ以上またされるとぐでんぐでんにだらしなくなる感じで。

「呼んでくるよ。待っててよベル!」
背後でベルがあーありがとうってにこにこしながら手を振っているのが可愛い。可愛いを通り越して愛くるしい。


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