気が付いたら無意識に、私はいつもトウヤを探していた。いくら探しても見つからなくて、それが辛くて悲しくてどうしようもなく泣きたくなってくる。トウヤがここから居なくなってしまってから、早いことにもう2年も経ってしまった。

お母さんにベルにチェレンにアララギ博士だってトウヤを心配しているのに、彼からの連絡は一切無い。音信不通。

どこで何をしているのかも分からないこの状況下は、私の悲しみに拍車を掛ける。でも多分貴方はこんな私の気持ちなんかちっとも知らないで、今頃いつの日かサヨナラを告げて消えたアイツと一緒…何処か遠い場所で笑い合っているのではないだろうか…そう推測してみる。

勿論私は寂しいからと言ってそこに行くことは出来ないし、行く気もさらさら皆無だ。ただ、やっぱり心の何処かではトウヤと一緒に過ごす日々を夢見ている。

ベルはあの事件を切っ掛けに必死に勉強して、そうして遂に研究所で本格的に働きだした。罪の無いポケモンが傷つくことが無いように、少しでもポケモンのことを理解してあげられるようになるために…なんだって。

…プラズマ団の存在は、無駄なんかじゃ無かった。現にこうしてポケモンを大切にしたいと思うトレーナーが以前よりも増えたし、ジムリーダー達がお互いに協力し合ったことで町の繋がりや絆も深まった。

チェレンはトウヤが再び帰ってくると信じていて、その時に自分やポケモンが肉体的にも精神的にも成長したと胸を張って言えるようにと日々修業に勤しんでいる。

本当に逞しくなったなあ、と親でもないのに感心してしまう。思うに、そのうち四天王にでもなってしまうんじゃなかろうか。チャンピオンには、ならないと思うし。

2人とも諦めたりなんかしないし、それが叶うと信じているから目標に向かって日々前進できる。キラキラと輝くオーラ、希望に満ち溢れた明るい表情。……じゃあ、私は?


私の時は、止まったままのような気がする。双子の私達は、あの険しく辛い旅が別つまではいつ何処でも一緒だった。その日常が当たり前で、だからどちらか一方が欠けてしまうとどうしようもなく怖くなってしまって、動けなくなってしまうのだと…そう思っていた。

今の私は、少なくともそんな感じ。隣にいつもいてくれるあの存在は私の目の届く範囲には居ない、居なくなってしまった。寂しくて消えたくなる。

チェレンとベルは優しいけれど、私を本当の意味で理解してくれる事はない。どれだけ一緒に居ても、何かが欠けている。

だから、駄目。なんだか分からないけど駄目、根本的な部分が大幅に違う。贅沢だけど、我儘だけど。2人が傍に居てくれるのは嬉しいけど…満たされない。何処かぽっかりと穴が開いたような喪失感。

ああ、何なんだろう…?頭の中がぐちゃぐちゃになってて、何を言いたいのか自分でも分からない。

ただ、ハッキリと分かるのは。
私は自分で思っていたよりも片割れに依存していて、それなのに彼は私が居なくても生きていけるのが無性に悔しいし、悲しいし、虚しいのだ。どうやら私の存在は、彼にとって然程重要事項にはならなかったらしい。

彼が此処に戻ってくることはもう二度と無いというのに、希望を捨てきれない私はなんて馬鹿で愚かなの。



たまらないむごさであなたはまっすぐだ/title afaik
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