※風丸がお兄ちゃんで苦労してる、腐要素あり、原作無視


今あってるバラエティー番組だって、いつもなら爆笑しながら見ているのに気分が沈んでいるため何とも思えない。ご飯を口に運びながら、私は小さく溜め息を吐いた。ああ、憂鬱だ…そんな気分が全面に滲み出ていたのか、優しいお兄ちゃんは箸を止めて私の顔色を心配そうに窺った。

「何かあったのか?」

両親は、今家に居ない。よって兄と2人だけのこの空間は妙に静かで、場を紛らわす為に付けられたテレビが大活躍していた。テレビから視線を外した私はお兄ちゃんに鬱憤を晴らすかのように眉を吊り上げながら口を開いた。

「あのね、学校でのことなんだけどね…もー本当に信じられないの!それがさあ…アーッ今思い出しても腹が立つ!」

拳を固く握り締めながら唸る私に、お兄ちゃんは分かった分かった、お兄ちゃんが聞いてやるから落ち着けよ…なんて困り顔で私の肩をポンポンと叩いた。同時にストップしていた食事も緩やかに再開される。

「それで…どうしたんだ?」

「2限目の体育の移動中に偶然お兄ちゃんのクラスの女子に会ったんだけど…」

「ああ、で?」

「お兄ちゃんのこと、絶対に受けだ!って騒いでたんだけどね…」

「そうか、それは大へ…ん?えっ…はあ!?」

目を見開いたお兄ちゃんは言葉の意味を理解したらしくすっとんきょうな声を上げて私の顔を凝視した。目が、まるでお前がまさかそんなことを聞いてくるなんて…と言っている。

「円堂先輩×お兄ちゃんで略して円風って言うらしいんだよね…失敬しちゃう、私も風丸なのに…」

円堂先輩の名前が出て来た瞬間にご飯を喉に詰まらせたらしくお兄ちゃんは慌てながら麦茶を飲みはじめた。それから涙が薄ら滲んだ瞳で私を見ると、そんな事絶対に無いから勘違いするなよと半ば焦ったように訴えた。

「本当だよねーもうお兄ちゃんが可哀想でさ…だって円堂先輩って雷門先輩と付き合ってるんでしょ?お兄ちゃん泥棒猫になっちゃうじゃん」

「そっちかよ。いや、泥棒猫とかそれ以前の問題だって…その前にノーマルで受けじゃな」

「あとね、豪炎寺先輩×お兄ちゃんとか!略して豪風だって。なんか嵐みたいで格好良いけど…」

お兄ちゃんはそれを聞くと次は麦茶が気管に入ったみたいでむせて勢い良く咳き込んだ。涙目のうえに薄らと額に汗が滲んでいるので、多分よっぽど苦しかったと思う。

「他にも鬼道先輩×お兄ちゃんで…」

「げほっ…分かった分かった!鬼風だろ!もうこれ以上は言わなくていい」

「染岡先輩×お兄ちゃ…」

「言うなって!」

遂に白旗を揚げたお兄ちゃんは、苦しげに胸をとんとん叩きながらまさかそんな目線でサッカー部を見る奴がいるなんて…と青ざめた。しかしはっと気が付いたように明るい表情をしたお兄ちゃんはどこか嬉しそうに私を見た。

「でもさ、名前がそれについて怒ってくれてるってことは、名前はきちんと違うって分かってくれてるんだよな?」

「勿論。お兄ちゃんがそういう趣味なわけないよね!」

きっぱりと言い切った私に、お兄ちゃんはほっと息を吐いた。そんなお兄ちゃんに、私は胸を張りながら言った。

「お兄ちゃんは受けとか攻めとかを超越して最早どっちもイケる口でしょ?」

「……名前、お前は俺をどうしたいんだよ」

私の自信満々な顔を見て、お兄ちゃんが遠い目で呟いた。さてはおまえも同類だったのか。













ラピスは全CPいけます。全部好物。全部愛してる。CPは皆正しくて皆正義。風丸ならどれもいけるはず。初めてアップした風丸絡みの話がこんなんですいません。ごめんなさい風丸。



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