…愛って何だろう…私がそう呟くと、隣で笑いながらテレビを見ていた風丸がいきなりどうしたんだと不思議そうに此方を見た。

人間の気持ちなんてぐらぐらで危うくて、いつコロッと変わるか分からないじゃん。だからさ、なんか不安になっちゃうんだよね。私。

いきなり何言ってんだろ自分、と馬鹿馬鹿しくなって途中で笑いも込み上げてくる。ごめんごめん、今の嘘。言い様の無い微妙な雰囲気が漂い始めて、耐え切れなくなった私はそう言って直ぐに話を逸らそうと、テレビを見てこの芸人新参なのに面白いねーなんてギクシャクした顔をしてしまった。

…俺もいつも、似たようなこと考えてるよ。

けれど風丸はそんな私の狡い手なんかに乗ってはくれなくて、暫くの沈黙の後に何でもないことのようにこう言った。へ、いつも思うのか…と彼の横顔を見る。真剣な話だからか、テレビの雑音が煩いなんて思った。

まあ…その人の気持ちが変わるか変わらないかなんて、その人自身にしか分からないんだ。それをいちいち変わる前から不安に思っていたら埒が空かない。

確かにそうだ。それ以前に変わる前から不安に思っていたら、好きでいてくれてる相手に失礼だと思った。素直に感心してなんか凄いね、悟ってると褒めれば風丸はまあ口先だけだけどなと苦笑した。

そして、矛盾してるけど不安に思うことは人間なら当然の現象で、もっといえば性で、仕方ないことだよ。でもその思いは本当に好きだったり、少なくとも相手に依存している部分があるから起こるんだよな…


…まあ、結論はそういう不安のあるなかでもやっぱり好きで…そして相手も自分のこと好いてくれてると信じてるし信じたいから好きでいられる。うん、愛、かあ…難しいけど俺は永遠に続くものだと信じたいな。

なんだか胸にじんと響くものがあった。そっか、そうだね。お互いに好き合ってるから愛は続くんだよね。凄く単純だけど。その人のちょっとした言葉や動作にいちいち好きだと実感して、それと同時に今の関係がどうしようもなく愛しく感じるんだよね、

なら風丸は、私のこと死ぬ間際とか最期まで、よくあるフレーズで言うなら骨の髄まで愛してね。勿論、私も愛すし。




賞味期限切れの肉体だとしても/title 亡霊




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