雪みたいに真っ白な肌には、少し力を込めて握ったりだとか吸いついたり噛んだりだとか縄で絞めたりだとか…そうした跡がくっきりと綺麗に浮かび上がる。
ここまで残すつもりはなかったんだというのは言い訳にしかならない。それを労るように軽く撫でる剣城の表情は、まるでこの世の終わりみたいだった。
手首は特に痛々しくて、でも蛇が巻き付いたみたいで綺麗。だからつい真っ赤になったそこを好奇心でつねってみた。瞬間、苦痛に顔を歪めた剣城はいい加減にしろと声を上げてベッドから立ち上がり、私に向かって手を挙げた。
殴られるのか。それもいいなあなんて呑気に考えた私だったが、剣城は歯を食い縛ってその手を静かに下ろした。わあ、優しい。
そしてまたベッドに座り、私がつねった手首を痛そうに撫でた。多分、相当痛かったと思う。血が出てしまった。
あーあ、跡残っちゃったねと言って私が白々しく笑うと死ねとか消えろだとかいう暴言を憎々しげに呟く。
あはは、本当可愛い。まだやり足りないみたい、もう一回縛ってもいい?そう言うと怯えたように一瞬硬直した剣城は何も言わなくなった。脅したつもりは無い。ただどんな顔するのかなあって。
私、そんなに酷いことしたつもりないのに。剣城はどう思う?と聞いてみれば、彼は私の顔を信じられないと言いたげに見て女のやることじゃなかったとだけ答えた。
剣城にとって何処までが"女のやること"の範囲なのかは検討も付かないけれど、まだまだこれから。
革命だなんて、やらせてあげないから剣城はずっと私と一緒にいるの
両翼はあるが飛ぶ必要はない/title 亡霊