「ね、どうしたの?いつものトウコらしくないよ」
あたしの言葉に、俯いていたトウコの顔が少しだけ上がった。結われていない長くてフワフワの横髪が垂れ下がっているので、トウコの表情は隣にいるあたしからは見えにくい。どうしたの?だなんて、白々しい。本当は、きちんと分かっているくせに。
「そう?私は、いつも通りよ」
漸く顔を上げたトウコの、やっと見えた表情は普通の顔…むしろ見るひとが見れば機嫌が良さそうに見えるくらいに晴れ晴れとしていたけれど、長い付き合いだもん、あたしは気付いた。トウコの指先は震えている。

ベルとトウコ

正直いつだって僕の優先順位は君<自分だけど、君だって同じだろう。そんな君が、僕を責めるのは理不尽じゃないか
同じ眼をしている/亡霊

住む世界が違うのだから仕方ないのだと解っているはずなのにやはりどうしようもなく君を求めてしまうのは、まだまだ僕が未熟だからでしょうか
くすむ世界のはしっこで/リラン

代わりはいないのだと彼はあたしを抱き締めるけれど、涎塗れでやっちゃって、そこにいる誰かは別にあたしじゃなくてもよくって、ただ自分が満たされればいいだけなんでしょって、アンタの考えなんてバレバレなんだから。
期待しなさんなよ、見てて憐れだ/吐く声

そこまでいうならこちらもいわせてもらうけど、わたしはじめてじゃないよ

笑いたまへ/ドロシー

彼が、誤って指を切ってしまい血が出たらしい。白い肌から流れる赤はどこまでも毒々しくて、痛々しい。消毒だよ、何ていうのは所謂ただの口実で、本心はただ舐めたかっただけ。

傷口が甘いなんて初めてだよ/リラン

まるで白のように清らかで何処か儚い貴方を、どうしても私色に染めてみたいと思ってしまうのは傲慢でしょうか、大罪でしょうか。

この薄汚い感情に愛と名付けたのは私/告別

ボクがボクではなくなってしまうようで怖いのだと優しい彼女は泣くが、そもそもキミは最初からボクというニンゲンを全く理解できていないだろうに。

つみではないのです/ドロシー
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