華より何より


久々ずくめの日、ってとこか。クチナシは今日の予定が決まった時そう思ったが、確かにその通りになったといってよさそうだった。日の高いうちに――といっても今日の空は薄曇りなのだが――マリエシティに来たのもそうだし、いつもであればこの街を訪れる唯一にして最大の目的であるなじみのレストランに直行せずに別のところへ向かうというのも。ポータウンの自宅を出てすぐライドギアを使い、呼び出されてやって来たリザードンにはゆっくりでいいからよろしく頼むぜ、とは言っておいた。だがここまでは陸路ならかなりの遠回りになるがライドギアを使えばそう遠くないのだ、ちゃんと指示を聞いてはくれたが15分かそこらで着いてしまった。
約束の時間まではまだ余裕がある。軽くコキッと肩を鳴らして周りを見回した。いつもならほとんどといっていいほど夜にしか来ないけれど、同じ街とはいえ訪れる時間帯がいつもと違って久々の昼間なのだ、その分違う表情を見せるのもさもありなん。雨が降りしきり一日中夜の静けさに包まれた空気に慣れ切った分、何日ぶりかという昼日中の活気の中にいるというのは落ち着かないというか。いや、そう感じる原因はそれだけでなくて…その時、いつもとは少し違う自分の姿がポケモンセンターの磨き上げられたガラス戸に映った。
「…」
一瞬のことではあったけれど、意識しまいとしていた妙な気恥ずかしさを思い出しそれに苛まれてしまいそうになった。さっさとこんなもんの無いところに移るに限るってね。フッと息を吐き視線をガラス戸から剥がして、ポケモンセンターの角を曲がってすぐのマリエ庭園の門を潜った。

クチナシを迎えたものは、三つ。一つ目は、橋の向こうの何か所かに見える薄桃色の塊。壁に囲まれているという共通点はあるものの、この庭園の正門はポータウンの入り口とは違っていつも開いたまま。中に入らなくても園内の様子を多少は窺うことはできる。とはいえ外からごく一部だけを切り取って見える景色よりも、足を踏み入れて目にする全景はやはり違う。二つ目は少し強い風。最後は頬に何かが触れた感触。反射的に手をやって剥がしてみたそれは、桜の花びらだった。
桜。カントーやジョウトの春を象徴するこの花。今日のお目当てはこれだった。そもそもこのアローラ地方の環境は、本来桜が花をつけるには全く適していないそうだ。が、科学の力そして故郷への憧れとは偉大なものというべきだろうか。ジョウトにルーツを持つこの街出身の研究者たちが桜をこの地でも楽しめるようにしたいと考え、バイオテクノロジー技術を応用してあれやこれやしたらしい。そんな試行錯誤の末、ついには故郷と同じように春先に満開の花を咲かせることに成功したのである。それが十年近く前のことになるが、その成果を記念してこの庭園に何本か桜の樹が植えられたのだ。最初の数年は移民の子孫が多く住むという土地柄だろう、祖父母あるいは両親から聞かされた遠い故郷の景色に想いを馳せようという人々や、アローラでは初めて見る花を楽しもうとする人々とで大変な人出だった。実際にクチナシもいつだったかのこの時期に周辺の交通整理に駆り出されたが、あの時は悠長に楽しんでいる場合ではなかったのを覚えている。たださすがにここ数年はそんないわば桜フィーバーも落ち着いてきていて、あの頃ほどではなくなったのだが。実際に地元民とおぼしき人もまばらだし、ウラウラ島の名所の一つだから普段なら少なくない観光客も、今は観光のオフシーズンだからかあまり見当たらなかった。
ともかくあとはプレサンスの到着を待てばいい。入口すぐの橋のたもとに近づきここで待つことにした。この位置なら姿を現わせばすぐ気が付くだろう。そう思う間にも何度目かの風が正門を吹き抜けていく。先ほど摘まんだままだった花びらと、それから溜息混じりの吐息を持って行ってくれとばかりに風に押し付けた。
久々にデートをしようということになったまではよかった。そもそもクチナシとプレサンスにとって、デートというのは交互にどちらかの家を訪ねるか、外出するにしても行きつけのローリングドリーマーで食事をするかということを意味している。選択肢が少ないのだ。それでもプレサンスは文句を言ったことはなかったから、クチナシとしては彼女がそれで満足していると思っていた。そして前回はプレサンスの家で過ごしたので、今回は自分の家へ誘うつもりでいたのだ。
だが今回ばかりは思惑が外れた。
「次はマリエ庭園がいいなあ、久々に桜が見てみたいの」
プレサンスがそう提案してきたからだ。頷きはしたけれど正直なところ内心では少し億劫だった。クチナシは元々静かな場所が好きだ。用が無い限り日中に出歩こうという気も起こらない。そんな思いのまま「マリエ庭園、なあ」と返す声は誰がどう聞いても乗り気とは言えない響きがした。
しかしプレサンスは彼の反応を見るや「行きたくないなら、やめとこっか」と、とても気落ちした声と表情で言うではないか。何が何でもそこでなきゃ、と主張されては辟易しただろうが、相手の気持ちを汲みつつもしょんぼりした様子で諦めようとするのを見せられては折れるほかはないというものだ。「じゃ、そこにすっか」と言った途端に打って変わって嬉しそうに「やったあ!クチナシさん大好きっ」と飛びついてきたのには、泣いたヤミカラスがもう笑いやがった、と苦笑いして髪を軽くクシャッとしてやったけれど。不思議なことにプレサンスには彼女のためならまあいいか、と思わせてしまう何かがあるのだ。
ともあれそんなやり取りを経て待ち合わせ場所や時間も決めて。明後日に今日を迎えるだけという時になって突然気が付いた。着たきりを通り越して最早よれかけていると言った方が良さそうないつもの服では、隣を歩くプレサンスに恥をかかせてしまうのではないだろうか――と。家で過ごすのなら気を遣わないでいいのは言わずもがな。外出するにしても、夜の暗さに紛れて真っ直ぐローリングドリーマーの個室に向かいすぐに帰る分、人の目にあまり触れることなく誤魔化せてきたかもしれない。が、次の約束は日中だ。他人の目が夜よりもある。
そんなわけで、一張羅でめかしこむとまでは言えないが最低限見苦しくないよう、一緒に歩くプレサンスに嫌な思いをさせないようには心がけたつもりだ。その証拠に今日はいつもの装いではなく、黒のシャツに灰色のジャケット、白いスラックス。数少ない服の中でこれが一番マシな部類といえそうなものを選んだし、履物だってサンダルではなく今日の服に合いそうな靴を引っ張り出して手入れしておいたのだ。ただこうして久々に袖を通した服はどうにもぎこちなくて気恥ずかしさが拭えない。先ほどガラス戸に映った姿を見ていたくなかったのはそのせいだ。何より気になるのは、プレサンスの目にはどう映るのか、笑われてはしまわないかということ。こう見えて案外ナイーブな性質ときているのだ。服なんて着れればいいと思ってたんだがな。いや、そもそも出かけずにいつも通りどっちかの家で寛ぐってならもっと気楽でよかったんだがな…そこまで考えた時、正門の向こうの一本道にプレサンスの姿が見えた。遠目にも分かる――彼女もまた、いつもと違う雰囲気だったとしても。

プレサンスはクチナシの姿を見つけてぱあっと顔を輝かせ、途端に小走りになって彼の方へ駆けてくる。その様子はイワンコが主人を見つけ尻尾を振り振り一目散に寄って行くのを連想させた。そんなに急がなくたって逃げやしないっての、と少し笑って、橋の近くで突っ立ったままなのも何だからゆっくり彼女の方へ歩み寄る。一方でプレサンスは距離を詰めるにつれ大きな目いっぱいに驚きを浮かべ始めていた。【リザードン以外のライドポケモン禁止】といったことが書いてある標識の横あたりで、とうとう互いの話し声が十分聞こえる程度に近づいたが。
「クチナシ、さん」
「よう…どうしたよプレサンス」
「…」
プレサンスはちょっと息を切らせながらクチナシの名を呼んだ。と思いきや、彼をためつすがめつ眺めるのに忙しくし始めた。そのせいか問いかけにも何も返さない。おいおい、何か言ってくれって。困って頭を掻きながら彼女の方を見つめ返した。自分から口を開く勇気が注がれる目線に削がれてしまったかのようになくなっていく。同時にプレサンスとグラジオにZワザの動きを見せた時のことが唐突に思い出されてきた。あの時グラジオとは違って彼女は特に何も顔に浮かべずにいたけれど、今はまさしくあの時の彼の表情をそっくりそのままコピーして貼り付けたかのようだ。
そうしていよいよお互いに穴が開かんばかりに見つめ合った後、プレサンスはおもむろに口を開こうとしていた。すわ死刑宣告か、と身構える。表現が大袈裟だなどと言うなかれ。服がダサいってか?おじさんが無理しちゃって、ってか?これでもそれなりに頭悩ませたんだよ、そんなこと思われちゃヘコんじゃうよ。プレサンスも含めクチナシの周りには彼の服装に関してとやかく言ってくる者はいないし、センスに自信があるわけでもない。ジャケットの袖口はもう撒くってあるのに手が意味もなくその辺りを彷徨う。こんな反応されんなら、何のかんの言っていつも通り家で過ごすように持って行きゃよかったよなあ…心の中に色々な思いが渦巻いてやまなくなってきた。
だが彼の心中を知るよしもないプレサンスは、今度は驚いた顔から一転はにかんで。
「えへへ…いつもかっこいいけど今日もすごくかっこよくって、なんて言っていいのかわかんなくなっちゃった」
「ったく、調子のいいこって」
「ホントだもん!ウソじゃないってば」
その口から出たのは彼女らしく飾らない褒め言葉だった。よかった、と思うと同時に嬉しくて頬が勝手に緩んでしまう。ちょうど風に運ばれてきてプレサンスの目元に貼り付いた花びらを、照れを紛らわそうと人差し指で優しくはがしてやりながら口もこれまた勝手に動く。
「そういうプレサンスも」
「え?」
「その、何だ。一層…べっぴん、だな」
「えっ聞こえなかった!ねえねえもっかい!もっかいでいいから言って!」
「勘弁してくれって、聞こえてただろうによ」
漏らした褒め言葉に反応してやかましくなったのを宥めながら顔を背けた。相手をするのが面倒だからではなくて、先ほどまでとは違う類の気恥ずかしさを覚えもっと照れてしまって仕方がないのを隠したくて。まいっちゃうねえ、とまた頭を掻いた。褒められたからには褒めないと、という義務感や社交辞令から言ったわけではない。本音が口をついて出たとしか言いようがなかった。
だって、いつもの元気な雰囲気と、可憐で清楚な今日の雰囲気の落差は思わずそうさせてしまうほどに魅力的だったのだ。プレサンスはいつもタンクトップだのTシャツだのといったスポーティな服装を好んで着ている。それにトップスは色々持っていて気分で着回していると言っていたが、ボトムはいつもパンツスタイル。なのに今日はどうしたことかいつもとは正反対の出で立ちだ。ハイソックスとフリル付きのブラウスは白、カチューシャとプリーツミニスカートと鞄はピンクでまとめ、足元は黒のローヒールサンダルで決めているし、クチナシにはよく分からないが少しメイクもしているようだった。
「はい、ゴールドスプレーかけちゃうね。今日はデートだからポケモン探しもバトルもしないし」
「ありがとさん」
お互いに見惚れるだけ見惚れたらゴールドスプレーをかけて、これで準備は万端だ。手を差し出すと小さな手がすぐに重ねられる。クチナシはその体温に心地よさを感じたが、プレサンスはその時また吹いた風に少し身震いした。
「時々風が強いんだよな。寒くねえかい?」
「ちょっとね…我慢できないってほどじゃないけど。羽織るものあったほうがよかったなあ」
「じゃ、気が済むまでひっついてな」
また少しだけ違う方向を見ながらだったけれど。そう言いながら痛くないようにそっと、でも指をしっかりと絡めて自分の方へ軽く引き寄せれば、少し間をおいてぎゅ、と柔らかく応える感触があった。
「えっとじゃあ、予定通り時計回りにぶらぶら歩いて行くってことでいい?あとあそこにあるお休み処でお茶ね」
「そうすっか」
「しゅっぱーつ!」
繋いだ方とは反対の手を突き上げてプレサンスがそう言ったのを合図に、二人は並んで歩き始めた。

――そして、早くも十数分。最初こそプレサンスの足取りは文字通り弾むようで、クチナシはそれに引っ張られるように歩みを進めていた。なのに、左側の二つ目の橋を渡った先の東屋に差し掛かるまでにはそのペースは当初の半分くらいになっていた。いつもならポンポンと出てくるプレサンスのお喋りも鳴りを潜めている。その代わりに、片方が他方の手を時折ぎゅっと握り、そうされた方も握り返す。歩くペースが緩やかになっていくのに合わせて、そんな繰り返しが二人を結ぶ言の葉になっていた。疲れたからでも、何かの拍子に気まずくなって話したくなくなったからでもない。全ては桜が咲き誇っていたからに他ならない。
満開の桜は、ただただ見事の一言に尽きた。ただ足早に通り過ぎてしまうなんて勿体ないと思わせるだけでなく、そうした感想を言い合うことさえ忘れさせてしまうほどに。けばけばしくない淡い桃色は、元々ある竹林や松の木の織り成す緑と対立することなく調和して庭園を彩っている。時折吹く風は、花びらを散らしもするけれど既に落ちたそれも吹き上げて、万華鏡のように刹那の模様を描き見る者を飽きさせない。周りには絶景、傍には可愛いらしく着飾ったプレサンス。実に画になる。花も恋人も一度に愛でられるなんてまたとないことだ。無精がらずにたまにはこうして出かけてみるのもいいもんだ。クチナシはあの時の億劫だった内心はどこへやら、思い直して一人頷いた。
それにしても先ほどから熱心に見ているものだ、プレサンスの視線は真っ直ぐに花に注がれている。いつもなら構ってほしくなって頬でも摘まむなりしてちょっかいをかけるところだが、集中しているようなのでひとまず何もせずにいた。と、ふいにプレサンスが立ち止まったので一緒に足を止める。何かをじっと目で追っているようだ。視線の方向を辿れば、のんびりと飛ぶ何匹かのアブリーたちの横にめらめらスタイルのオドリドリが一羽。花の色からうすもものミツを吸えると思ったのだろうか、嘴を突っ込んでみていた。だが当然ではあるが数度試しても姿は変わらず、それが不思議だったか少し首を傾げチチ、と鳴いてから飛び去るのを見届けて話しかけた。
「随分熱心に見てるな」
「久々だったしね」
「プレサンスは桜なんて見慣れてるの通り越して見飽きたんじゃねえのかと思ってたよ。カントーじゃ毎年咲くんだろ」
あれはカントーでのことだったのか、ジョウトで見た景色だったのか。今となってはもう正確には思い出せないけれど、任務で踏んだ彼の地の記憶を掘り起こして振り返る。プレサンスはアローラに移り住む前にそこで生まれ育ったのだから毎年目にしているはずで、だからここに行きたいと言い出した時には、故郷を懐かしみたいのかもしれないがわざわざ行かなくてもいいのではと思ったのも事実だ。しかしその問いかけに彼女は首をフルフルと横に振った。
「ううん飽きないよ。見慣れてても、というか見慣れてるからこそまた見たいじゃない?」
「そういうもんか?」
「そういうもんだよ。そこに長くなかったりすると、かえって恋しくなっちゃう…あ、分かった」
プレサンスはいいこと思いついた、というふうに桜からクチナシの方へ向き直った。
「ん?」
「あのね、今思ったんだけど。なんだか桜って、私にとってのクチナシさんみたいなものだなって」
「何だそりゃ」
「えー、何だろ…上手く説明できないけど、そこにあったりいたりしてくれるのが当たり前で、しばらく見ないとやっぱり恋しくて会いたくてしょうがなくなっちゃう。伝わるかなあ」
ちょっと心配そうになった瞳に、そりゃあもう十分に、と返さないで何としよう。さっきから何度おじさん照れさせる気なんだかなあ、このかわいこちゃんは。口を開くより前に体が動いていた。顔が赤くなってやまないのを見せずに誤魔化してしまおうとそっと肩に手を回して抱き寄せる。彼がそうした意味を察したのだろう、プレサンスはふふ、と笑ってなおも言葉を紡ぐ。
「あとね、今見てる桜はカントーで見た桜と全然違うの。だって初めてアローラでクチナシさんと…えっと、だから、そのね」
だが今度は珍しくもごもごと言ったかと思えば。
「クチナシさん、耳貸して」
「藪から棒になんだよ」
「いいから」
催促されては仕方がない。何がどう違うのか、そこで切られては気になってしまうし。果たしてかがんだクチナシの耳元へ顔を寄せ、プレサンスは。
「好きなひとと一緒に見る、特別な桜なんだよ…きゃー言っちゃった言っちゃった!私お休み処の席取ってくるねー!」
自分から言い出したくせに恥ずかしかったのか、そう言うが早いかクチナシの腕の中を飛び出しお休み処へ向かってダッと走り出していってしまった。耳元で大声を上げてくれるなとか、道幅が狭いんだから落ちちまうぞとか、彼としても言いたいことはあったのだが呼び止める間もなかった。やれやれ、自由なんだか天真爛漫なんだか。というか肌寒かったんじゃねえのか、それにガラガラなんだから席取りに走らなくていいだろうに。全く今日は、いや、今日も振り回されっぱなしだ。なのに、プレサンスにならいいと思ってしまう。惚れた弱みってやつか、でも悪くない、と思いながら後を追って歩き出した。
と、その瞬間ひときわ強い風が吹いた。細い通路を走っていたプレサンスが一旦足を止めてくしゅん!という音が聞こえてきそうなくしゃみをするのが見えた。ただそれだけでなく…へえ、ピンクか。ニッと口元が吊り上がってしまうのを抑えられなかった。現金な、と言われるだろうが何のかんの言って来てみてよかった、と改めて感じずにはいられなかった。いつもなら見られなかっただろう、プレサンスの――この庭園の看板がパラダイスと謳うのは伊達じゃないと、この島に来て初めて思った。ありがとさん、色んな意味で【いいもん】見せてくれてよ。クチナシは声に出さずにプレサンスと桜と、それからアローラの風に礼を言った。ただいつか機会を見つけてそれとなく「腹が冷えるからスカート履くんだったら何か下にもう一枚着なよ」とでも言おうと決めつつ。
そんなことを思っている間に、プレサンスはもうお休み処の緋毛氈の敷かれた席のあたりに着いていた。先ほどスカートがめくれたことに気づいていないのか、気にせずになかったことにするつもりなのかは分からないが、早く早くとばかりにこちらを見ているから待たせては何だ。足取りはその視線に引き寄せられたか、あるいは少し晴れ始めたからか暖かい空気を含むようになった風に押されてか、一歩ごとに軽くなったのだった。



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