満里奈2

こんな不思議な森にも季節はある。
今は夏。
窓を開ければ風が吹く。
夜は涼しいが、屋敷は日当たりが良いので昼は暑い。
折角森を通って来た冷たい風もこれでは台無し。
あーあ、もう少し屋敷と森の間隔を詰めれば良いのに。
無理な話だけれど、満里奈はそんな事を考えた。
…そう言えば、少し遠いが外から色々なものが流れてくる場所があったなあ、と思い出す。
こんな世界に来るぐらいだ、大半はガラクタだけど、使えるものがあるかも知れない。
下の方で声が聞こえるし、暇そうなのも誘って行こう。




「と言う訳で、この暑い中確証も何もないのに行こうと思うんだけど」

「私は皆と一緒なら楽しいから良いよーっ」

「満里奈、外ニハ「センプーキ」ト言ウ機械ガアルソウデス」


下に行くといた三人に声を掛けた所、茉莉子とあやねが一緒に来てくれる事になった。
残りの一人は桜だったので、期待はほぼ0に等しく、予想通り断られたので仕方ない。


「センプーキ…?なにそれ」

「スイッチ一つデ風ヲ発生サセル事ガ出来ル、ト言ワレテイマス。流レテ来テイル可能性ハアルノデハ」

「成る程ね、じゃあそのセンプーキを目標に色々涼しい物を探しに行こうか」

「うん!」


そうと決まったら、早速向かおう。
善は急げである。


「…それさあ、見付かったとしても絶対取り合いになるだろ」


ぼそっと言う桜の呟きは届かなかった。





数時間後、リビングでごろごろとくつろぐ三人の姿。
結局噂のセンプーキは見つからなかった。
因みに、場所を取ってしまった為桜は不機嫌。
キッチンでアイスを食べながら、帰ってきた麻衣に文句をぶつけている。


「やっぱ確証もないのに行くべきじゃないあんなトコ」

「外の情報が入って来ないから、それも中々難しいがね…」

「でもあたしなら行かない。絶対に行かねー。ついでに人の場所奪ったりしない」


明らかに三人に聞こえる様に言っているのだが、疲れきっているのもあり、適当な謝罪しか返せない。
それに対し更に機嫌を悪くするので、麻衣の表情は家にいるのに「早く帰りたいな」と言う雰囲気である。


「ウン、ソウスネ…てかな、ボクは思ったんだよジョン」

「桜なんだけど」

「じゃあさっちゃん。この屋敷って願った事が何でもとは言わんが叶う訳じゃないか…」

「なくなる頃に食料が届いたりね」

「だから必要な物だと判断されれば…センプーキ出てくるんじゃないかね」

「……あ」


…その後皆で願ってみた所、無事屋敷にセンプーキが出現した。



(うわスゲー今日1日無駄にした感じある)(麻衣凄い!麻衣凄い!)(こんな事に気付かないなんて私の馬鹿…)(流石麻衣デス)(…ボカァあまり頼られたくないんだけどなあ(面倒だから))

[ 5/11 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -