葵3
 


「葵葵ー、何かちょうだい」

「何か…?」

「ナンカ」


椿が突然言ってきた事。
何かと言われても…誕生日は確か1月だし、今日はそんな特別な日があったっけ。


「凄いきょとんとしてるけど、本当に分かんないノ?」

「うん…何だっけ」

「…2月22日、にゃんにゃんにゃん。猫の日だヨー」


ああ、成る程。
猫の日だから、何か欲しいんだね。
…でも椿は人だと思うんだけど。
少なくとも今は。


「ボクは猫」

「どう見ても人なのに、あと心読まないでね」

「やっだなあ、読めないヨー、キミが顔に出やすいだけ」

「そうかなあ」


…それにしても、何をあげれば良いんだろ。
いつもよりちょっと高級な猫缶とか…?
新しい猫じゃらしとか、玩具でも良さそう。
何か欲しいものがあるなら、それをあげるんだけど。


「椿欲しいものないの?」

「今はないかナァ。チョコとか変なの以外なら何でも良いし喜ぶけどネ、ボクは」

「難しい…あ、毛布もうボロボロだし新しいのあげようか」

「毛布はお気に入りだから使い続けるものだよネェ」

「そっか」


確かに、お気に入りの毛布を持ってると落ち着くよね。
らいなすのもうふ?ってやつだっけ。
あと…何でも良いって言ったのに却下されたのは気のせいにしよう。
さて、どうしようかな。


「あ、にゃん七郎」


そうだ、ベッドに置いてあるぬいぐるみ。
「ふくふくにゃん七郎」って言う僕の好きなキャラクター、確かコラボ商品が出てた気がする。
ステッカーが付いてくるだけみたいだけど、猫じゃらしも出てるしそれで良いかな。
本人が自分の事猫って言ってるし思いきり猫グッズ一色でも…。
…あ、でもコラボグッズは僕が欲しいだけだ。


「にゃん七郎ー…」

「猫缶とスープ付けてくれるならそれで良いヨ」

「…良いの?」

「キミが買うんだし自由にしな」

「…うん!ありがとう!」


何か今日の椿は優しい…!


「あれ何かちょっと失礼な事思われた気がする」

「思ってない、猫缶高級なのにするから。行こう椿」

「ハーイ」


簡単な準備を済ませて、家を出る。
コラボ商品も大事だけど、確か椿好きなブランドがあるよね。
…それ残ってると良いな。
あと、他にも良さそうなのがあったら買おう。
お店に着くのが楽しみ。



少しでも喜んでくれれば良いなって、ちょっとうきうき気分になった。



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