葵1
 


変わり者の人間がいると聞いた。
種族何て関係ない、仲良くなれれば皆友達だって。
本当なら確かに変な人だ、僕も種族差別する気はないけど、それだけで本当に仲良くなれるのかな。
それに、人間と言うのは自分と同じ人間も差別するのに。
そうやってぼんやりしてると、足の辺りにふかふかしたもの。


「にゃあ」

「…おいで」


ふかふかの正体、すり寄ってきた黒猫を抱っこする。
この子は、僕が生き返った時に何故か隣にいた。
不思議でよく分からないけど、大切な家族。
だからきっと、僕には友達なんていらないんだ。
この子がいるんだから、さっきの噂も他人事。
仮に友達を作ろうとして、仲良くなれるか分からなくて、不安になるのも嫌。
それなのに


「…………何か気になる…変な人……」

「にっ!」

「え、気になるなら見に行け…?」


猫は大きく頷く。
…そっか、貴方がそう言うならそうしようかな。
もやもやしたままもあれだし、考えてるだけじゃ意味がない。
じゃあ、早速明日にでも行こうか。
取り敢えず、今は寝る場所を探さないと。


そう歩き出して少し経った先には、犬でも引っ掛からなそうな罠と、大きな猫のぬいぐるみがあった。



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