逹毅2
 


朱館 達毅、教室の前で悩む事数分。

今日は桜井も小鳥遊も休みらしい。
つまり岡崎しか構ってくれる奴がいない訳だが、いざ放課後遊びに誘おうとするとどうすれば良いのか分からなくなった。
しかし一人でゲーセンに行っても面白くない。
うん、誰かと行って対戦する方が面白いに決まっている。
でも、女子だろ?どうやって誘えば良いんだ?
…いや、いつもは普通に誘えてた筈なんだ。
でもそれは、小鳥遊がいたからなのかも知れない。
いやー、でもなあ、やっぱ一人で行くのはなー…困った困った。

悩む事更に数分、突然後ろから声を掛けられる。


「二年生の教室前で何やってるんですか」

「うおう!?…何だ鈴原か。何やってんだよ、ここ二年の教室だぜ」

「ブーメランと言う奴ですか?私は「先輩がいて教室に入りづらい」と言われたので、貴方を回収しに来たのですが」

「ええー!何でだよ普通に入れば良いじゃねえか!」


別に通行の妨げにはなってないしな!
そう言うと鈴原はまるで「何言ってんだコイツ」とでも言う様な視線を投げかけてきた。
ふっ、相変わらず厳しい奴だぜ…。


「まず、邪魔はしてなくても教室前を先輩がウロウロウロウロ往復してたら誰だって気になりますし、第一印象「不良」である確率が85%越えの貴方なら尚更入りづらくなると思いますが」

「絡んでもないのに!いや話してみたら良い奴だろ俺!」

「話しかける勇気にまで到達出来る人は少ないと思いますよ。あと自分で自分の事を良い奴と言う人は信用出来ません。そしてクレハさんは今図書室にいます」

「いないのかよ!先に言えよ!」

「いや普通気付くと思ったので」


冷静にツッコまれてとても辛い。
取り敢えず、現在頼れるのが鈴原しかいないので泣きつく事にした。


――――――――――――


「成る程、クレハさんを遊びに誘いたいのだけれど、何故か唐突に緊張して誘い方が全く分からなくなってしまったと」

「そうなんだよお…でもなあ、ゲーセン一人とか退屈だしなあ」

「正直な感想を言って良いのなら「くだらない」の一言しかないのですが、そうですね。女性への耐性が実はないのでは?男友達ばかりだったんでしょう」


そう言われればそうなのかも知れない。
実際女友達何て岡崎と出会うまで一人もいなかった!
…でも、本当にそんな程度でそこまでなるのか?
桜井や鈴原なら普通に誘える気がするしなあ


「でも、お前や桜井なら普通に誘えると思うぞ」

「…桜井さんと私へのイメージを言ってみてください」

「桜井はヤンチャな妹って感じだな!鈴原は……オカン?」

「成る程、私を怒らせたいと言うのは理解出来ました。つまり異性と言う認識が出来る存在がクレハさんだけなので緊張しているんでしょう。それで終わりです。納得出来ないとしても、私は貴方の母親ではないので、これ以上相談には乗りません」

「怒ってんの?」

「半分程怒ってますよ」


つ、冷てえ…!
…しかし、天才的発想の持ち主である俺、ここで名案を閃く。
鈴原も一緒に行けば誘えるのでは?と


「なー、鈴原も一緒にゲーセン行こうぜ。人数多い方が楽しいからよー」

「怒っているのが分かっているのに誘うんですか?それとも既にそれは忘れた事なのでしょうか」

「いやそれは謝るって!だってその方が誘いやすいし、お前岡崎見てないと不安なんだろ?」

「………はぁ、面倒ですね。行けば良いんでしょう行けば」


鈴原が仲間になった!
よし、これでゲーセンメンバーが三人。
岡崎はきっと断らないだろうし、小鳥遊がいないから格ゲーの対戦相手はいない!けど!
放課後の時間を潰せるし、楽しい思いも出来て達毅君ラッキーってな。
じゃあ残りの岡崎を誘いに、えーっと……。

…これも鈴原に頼んだら流石にマジで怒られるかなあ。
しかしここでまた悩んでも時間が過ぎていくだけなので、取り敢えず図書室へと向かったのであった



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