恋1
 


機械の様だ。
昔、誰かにそんな事を言われた気がする。
決まった時間に起きて、決まった予定通りに行動して、決まった時間に眠る。
ああ、じゃあそうなのかも知れない。
自分ではそうは思わないけど。
お茶を飲みながら、恋はぼんやりと考えた。
確かに、決められた事を淡々としているだけ。
でも、空いてる時間には散歩や昼寝、今みたいにお茶を飲んだりと自由に過ごしている。

例えば…突然学校が早く終わった。
そんな事があると、何をすれば良いのか分からなくなったりするが。
そう言った時は机に突っ伏して、帰る予定だった筈の時間まで寝ている。
まあ、大体はその前に幼馴染みに引きずられて帰る事になるけど。
…あれ、やっぱり機械なのかも知れないな。
自分で自由だと思っている時間も、予定の中に元々あった時間だ。
突然の事には対応出来ない。


「……脱線」


お茶を飲み干す。
今日もいつも通り、姉の襲撃を受けた。
今は部屋の掃除途中。
来るより先に部屋を出ていれば、ここまで被害が出る事はないのだが。

……今日は友達が来ていた。
と言っても、友達になったのはつい最近。
今まで、そんな関係の人はいなかった。
小夜は、この部屋の様にずっと恋の友達と言う関係を壊していったから。
今では怖がられ、幼馴染みと親戚ぐらいしか付き合いがない。
だから、襲われても遊びに来る彼女を最初は変な人だと思った。
…いや、実際変な人なのかも知れない。
特殊な能力を持っている訳ではないけれど、彼女の周りにはいつも人がいて、種族も沢山で。
普通なのに普通じゃない。


「神様に、愛されてる、とか」

「あれが、能力、とか」

「クレハさん、不思議」


何にせよ不思議な魅力があるのは、きっと間違いない。
実際、恋自身もクレハの事は結構好きだ。
だから、一番初めも助けようと思った。


「うん…そろそろ、また、避難」


そうだ、見た目には変化がなくても、中では大きい変化なのかも知れない。
いつもは何かあっても遠くから見てるだけで、自分から人に関わるのは久しぶりだった。
それほどの何かを感じたのだろう。
敷地内で人が死なれたら困る、と言う事もあったのかも知れないが。
…きっと、彼女はこれからも自分に何か良い事を運んでくれる。
もしかしたら、姉にも。


「恋ちゃん!殺しに!きたよお!」

「…いらっしゃい」


とにかく、今は日常を行こう。
命懸けの鬼ごっこは少し大変だが、楽しみが増えた。
…それだけで、今は充分。
そう考えながら、人気のない方向へ走り出した。



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