クレハと曽良
 


いつも言っているけれど、私は友達が大好き!
学校では一緒にお弁当食べてお喋りして、学校が終われば遊びに行く。
そんな毎日がとっても好き。
…でも、最近悩みもちょっとあって。
それは、小鳥遊 曽良君の事。クラスでは隣の席だし仲良し、だと思う。
小鳥遊君について最近気づいた事があるんです。
例えば学校が終わった後、いつもの四人でカラオケに行くかゲーセンに行くかなんて話をしたりするのだけど、小鳥遊君からここに行きたい何て意見を聞いた事がなくて。
時々遊んでいてもどこか遠くを見ている様な感じもあるし…、だから私とっても心配なのです。
先輩は、嫌ならついてこないだろうし聞いても話さないだろうからそっとしておけって言うけれど。
私は何か悩みとかあるなら相談して欲しいなって。
そう言えば小鳥遊君、自分の事も中々話してくれないし…。
うーん…でも考えてみても思い浮かばないし、当たって砕けろで素直に聞いてみようかな!
と言う訳で、いざ実践!


「小鳥遊君小鳥遊君!何か悩みとかないかな?」

「は?」

「最近小鳥遊君がいつにも増して無気力そうだから、何かあったのかなって」

「あー………いや、モミジが心配する事じゃない」

「クレハだからね!ほ、本当に?無理してない?」

「してない、寝る、お休み。昼休みになったら起こせ」

「あ」


ぐでーっとうつ伏せになっちゃった…。
そしてすぐに聞こえてきたのは寝息。
凄いね小鳥遊君!寝る早さが漫画の人みたい!
それにしても…本当に当たって砕けちゃったね。
………今は無理でもいつか、私にも話してくれるかな。悩みは勿論だけど、もっと色々な事。
もっと頼ってもらえるよう、私頑張る!


――――――――――――


勝手に意気込む姿を寝たふりで見ながら、考える。
モミジ…いや、岡崎達と遊ぶのは楽しい。
遊べる場所なんて知らないし、何かの提案は出来ないけど。
とにかくこの四人で遊ぶ時間は、今の俺には大事なものなんだと思う。
ただ、今まで避けてきた誰かと過ごす幸せを感じる度、恨めし気な視線が自分に突き刺さるのを感じた。
今までは家にいる時しか現れなかったのに、自分達の事を忘れるなとでも言いたいのだろうか。
さっきアイツに言われた通り、きっと心配をかけているんだろうけど、こんな事話せない。
三人とも話せば分かってくれると思うし、見えなくても俺の事を信じて真剣に悩んでくれるんだろうけど。
だからこそ話せないと言うか、決して頼りにならないとかじゃなく。
三人…特に岡崎にだけは、そんな汚い部分は見せたくなくて。
何が起きてもいつも通り純粋に笑っていて欲しいから、綺麗な所だけを見ていて欲しいから。
だから、この先も自分の中で隠し続ける。


「まあ…でもいつか許してもらえる日が来ると良いんだけどな…」


もしその時が来たら、悩み事やしたい事、自分の気持ち、少しは話せる事が増える気がする。
伝えていない事を分かれと言うのは難しい、自分勝手だけどいつかきっと話すから、それまで待っていて欲しいと思った。



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