クレハ3
 


少し前までとても寒かったのに、気付いたらもうこんなに暖かい。
数日前梅の花が咲いて、桜も楽しみだと思ったばかりなのに、それももう見頃になった。
…と言う訳で。


「お花見に行こうよ!」


そう私は皆に提案します。
明日も休みだし、いきなりだけど!
友達兼保護者のアイリスちゃんに良いよね?と視線を送る。


「構いませんが…今日光咲さんの家に来たのは勉強の為では」

「明日までに終わらせるかお花見から帰ってきた後やる!」

「それ後者だとやらないパターンすよ」


し、し、失礼な!
…とにかく、許可は貰えたし明日の準備しないとね。
小鳥遊君や朱館先輩も誘ったら来てくれるかな。
あ、恋ちゃんや緋桐さんや弥彦おじさんも!
あとは…


「葵ちゃんも行こう!」

「…良いの?」

「うん!と言うか来てって感じ!」


丁度、部屋から出てきた彼女にも声をかける。
話聞いてくれてたみたい、良かった。
今までタイミングが合わなかったりで遊べなかったし…それに花見なんだから是非皆で行きたい!


「センパイは賑やかなのが好きだからさ、まあでも花好きだよね」

「あ、あと出来ればお弁当作ってほしいなあって」

「お弁当…うん、頑張る」


珍しく笑顔を浮かべて後ろから重箱を出す。
凄いね葵ちゃん、マジックかな…!?
でも、嬉しそうで私も凄く嬉しい!
二つ重箱を出してくれたので、一つ受け取るとアイリスちゃんに渡す。


「え…あの、何故私まで作る流れになっているのでしょうか」

「どっちの料理も美味しいから!」

「まあ、良いですが…クレハさんは何をするのですか。まさか発案者が何もしないなんて事………」

「あ……いや、うん、ほら!私キッチン出禁だし!場所取り頑張るから!」


じ、自分は何をやるか、決して忘れてた訳じゃないよ!
それに他の人を誘わないとだから!ね!?
あとどこに見に行くかも決めないと。


「んー、この辺りで花見に良い場所って言ったら丘の方かなあ。あの真ん中の木って確か桜だったよね!」

「ああ、伝説の木だっけ」

「何それ!?」

「いや、何か中央に一際でかくあるから伝説の木みたい。でも多分あれなら綺麗すよ」

「う、うん!じゃあそこで良いよね!」


何か謎の情報が明らかになったけど、場所も無事決まった。
うん、あんな大きな木がバーッて花を咲かせるんだから、凄く綺麗だよね!
…でも場所取りが大変そう。早起きしないとかな?


「明日は早起きだね、私も頑張らないと!」

「ええ、その為に早く勉強を終わらせて、早く寝なさい」

「ハ…ッ!わ、忘れる所だった…!」


…うう、そうだ、勉強をしないと。
アイリスちゃんの事だから、何だかんだ許してくれそうだけど、後に怒られるのは嫌だ。


「光咲ちゃん分からない所教えて!」

「いやあたし下級生!」

「それでも多分私よりは大丈夫だと思う!」

「えー…」


上級生のプライド何て私は持っていない!
皆と遊びたいし、今一番大切なのはこの勉強を終わらせる事。
珍しく勉強に対して気合いを入れると、テーブルに広がっているノート達とにらめっこする。
うん、多分早く終わる筈。
課題なんかには絶対負けないよ!


「…多分苦戦するんでしょうね」


この数時間後、予想よりずっと苦戦している私の姿があって、終わったのはもう日付が変わる直前だった。



前へ 次へ

[ 30/68 ]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -