クレハ2
 


岡崎 紅葉、私は勉強が少し苦手。
特に数学とか、駄目だと思う。
英語も!一番酷くて一桁!
それで、テストに向けてアイリスちゃんから色々教わる事になったんだけど…。
ちょっと不安があって。


「それでは、クレハさんがテストで高得点を取れる様に勉強会を始めます。何か質問は」

「はい、何故俺も参加になっているのか」


えっと………緋桐さんがいるのが不安と言うか。
あ、嫌とかそう言う事じゃなく!
よく分からないけど、学術の神様?みたいだし厳しそうで怖いなって…。


「神じゃなくて悪魔なんですけど」

「こんなのが神様だったら世界はもう滅んでますよ」

「厳しい!」


うん…あとアイリスちゃんが緋桐さん嫌いみたいだから、喧嘩しないか心配…。
呼んだのはそのアイリスちゃんだろうけど、既に空気が怖い。


「人格は最底辺で問題が多いですが、知識は本物なのでお願いしました」

「お願いと言うより脅迫だったけどね。おじさんも可哀想に」

「おじさんに何があったの!?人質か何かに!?」

「人質ではありません。交渉に協力してもらっただけです」

「あ、え…」


これ以上は聞かないでおこう。
取り敢えずおじさんは……可哀想に。
そんな事よりテスト勉強だ、勉強をしよう!
凄い勉強に逃げ道を見出だしたのなんて初めて!
えっと、数学と英語を頑張れば良いよね。


「それで、目標点数は70点で良いですかクレハさん」

「ええ!高いよ!」

「じゃあ85点にしようか」

「上がってるよ!?」


70点すら取れるか怪しいのに!
二人ともやっぱり厳しい!
そして、やっぱりアイリスちゃんが異議を唱える。


「赤点ギリギリの人が急にそんな点数取れる訳ないでしょう」

「いや、かなり控えめに言ったんだけどねえ、教えるならちゃんとやってもらわないと」

「だからと言ってそれは無理があります」

「…君がそう甘やかすから教えた所で出来ないんじゃないですか?」

「ハァ?」

「あの、二人とも…!」


……これ危ない感じでは、15点の差で喧嘩になるの…!?
と言うか70点も私には高いって言ってるのに!
ア、アイリスちゃん怒らないでね…!
怒らないで上手く目標点数を下げて!


「…良いでしょう。そこまで言うなら目標を85点にします」

「えええええええええ!?」

「ですが、それでクレハさんが目標点数に届かなかったら…」

「ああ、その時はちゃんと謝罪しますよ。この子の頭が足りなかっただけで、君は何も悪くなかったと」

「何か酷いこと言われてる!」


いや、あの、はい、間違ってはないけども!
アイリスちゃんはまだ何か言いたげだし。
…でも、取り敢えず納得したのか二人が私を見る。


「クレハちゃん」

「クレハさん」

「は、はい……」

「「死ぬ気で頑張って下さい」」

「…………はい」


ああ…多分今頑張らないと…目標点数取れないと…後で死ぬより酷い目に合うんだろうなあ。
駄目だった方の未来を想像してぞっとする。
いや、テスト程度で人生を終わらせてはいけない!
終わったらまた皆と遊びに行ったりするんだから!
私は二人の視線を感じながら、気合いを入れると机に向かう。
絶対に目標点数超えるぞ!って



……数十分後、早くも心が折れそうになる私がいるのをこの時はまだ知らない。



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