光咲2
最近、辺りを見渡すと変な感じだ。
カップルだったり、気付かれない程度に徐々に気合いを入れてる男子だったり。
「何これ、リア充ばっかか」
「バレンタインが近いからだよ光咲ちゃん!」
呟いたらクレハセンパイが教えてくれた。
…あー、そんな日か。
すっかり忘れていたあたしは、かなり出遅れるんだろうな。
まあ、渡すにしてもセンパイ達ぐらいだから良いか!
…クレハセンパイは、友達も多いし沢山渡す人がいそうだけど。
「センパイは誰に渡すの?」
「私?えっとね、小鳥遊君でしょ、朱館先輩、光咲ちゃん、葵ちゃん、アイリスちゃん、恋ちゃん、緋桐さん、おじさん…あと」
「あ、もう良いっす」
…あれで本命が存在しないのも中々不思議だ。
まあ良いか。
それより友達とプレゼント交換?みたいな感じになったら面白そう。
逆チョコだとかもある時代だし、別にチョコじゃなくても問題ないでしょ。
うんうん、結構やってみたいかも。
「ねえセンパイ、例えばシュシュとか、簡単なアクセサリーとか交換したら楽しそうじゃない?男子にはチョコで良いけど」
「あ、それ良いね!楽しそう!」
ふふん、やっぱりセンパイならそう言うと思った。
じゃあ何を送ろう?考え出すと、少しバレンタインが楽しみになってくる。
……と、そんな考え事してたら、赤いのがこっちに走ってきた。
たつきちセンパイかな。
「お前らー!!」
「先輩お疲れ様です!」
「おう!お疲れ…じゃなくて!お前ら!」
「センパイ用件早く言って」
「…バレンタインの時チョコください!!!!」
さあ、物凄い勢いで走ってきたと思ったらまさかの事前ねだり。
何だろうこの、友人や後輩に頼んで回ってる、敗北者感!
たつきちセンパイは勝負が始まる前から負けている!
「センパイそんなもう自分は負けていますと認めて良いんすか!」
「構わない…何故なら俺はもう悟っている…だが、見栄は張らせてくれ!チョコをもらえたと言う事実を!そしてリア充は燃やす」
あ…このセンパイはもう駄目かも知れない。
いや、知れないじゃなくてもう駄目だ。断言。
クレハセンパイが元々あげる予定でしたよー、何て言うから感激してるし。
あげる予定だったのは確かだけども。
「冬でも暑苦しいなー」
「元気なのは良い事だよね!」
「ソウッスネ。対称的に小鳥遊センパイはテンション低いけど」
横を見れば、いつの間にか合流していた小鳥遊センパイ。
眠いか空腹か、話すのすら面倒なのか。
「バランスが取れてるんじゃない?」みたいな目。
「小鳥遊センパイは朱館センパイみたいにねだらないの?」
「…貰えなくても困らない、貰いすぎの奴から貰える。食える。終わり」
「あ、うぃっす」
本当に食にしか興味がない人だな!
…それにしても、基本的にただチョコを貰えるあげるのイベントで、こんなにも反応が違うとは。
まあ、見てて楽しいけどね。
特に赤い方。
「小鳥遊君にもちゃんとあげるから楽しみにしててね!」
「んー」
「センパイちゃんと渡すんだから3月に返してよ」
「任せろ!泥舟に乗ったつもりで!」
「沈むじゃん」
……そんな会話も程々に、皆と分かれた。
よし、思い出したからにはちゃんとやらないとね!
センパイ達の為に頑張るのは悪くない!
一度家に帰り荷物を置く。
そして適当に準備をすると、材料を買いにお店へ向かった。
(とは言っても何作ろう、トリュフとか?…うーん、悩むなー)
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