お人形とお人形
 


私の名前は茉莉子。
主の自慢のお人形。
そんな私、実は妹が出来た。妹の名前はマリコ。
同じ名前?
だって、マリコは私を元にして作られたお人形。
折角だから、マリコについてメモしてみました。



1枚目

主に呼ばれた。
いつも通り任務かな?なんて思っていたのに、何だか私にそっくりな人形を見せられた。


「見てごらん茉莉子。君がいない間僕の世話をしてくれる様君を元に作った…君の妹だよ」

「(それは妹と言えるのか疑問…)凄いね主」

「そんな褒めなくても良いよ。さて…じゃあ命を入れようか」


私の姿をした人形に主が触れると、ふわりと柔らかい光を纏う。
するとすぐに反応を示し、ゆっくりと人形が起き上がった。
でも…一つ問題が。


「…ア」

「命を吹き込むってこうやるんだ。凄い」

「茉莉子も練習すればぬいぐるみぐらいは動かせる様になるよ」

「…アナタが、私の主?」

「「え」」


そう…人形は私を見て、主と口にした。
唯一にして最大のミス。


「主…」

「僕とした事が、どうやら設定を間違えてしまったみたいだね。しかし、現代風に言うなら茉莉子×マリコか…」

「主」

「ふふ、悪くな」

「主、修正して」


こうして、初回の起動は失敗に終わった。



2枚目


あの日から数日後。
また、主に呼ばれ見に行くと、髪や服の色まで白く修正された人形があった。


「ついでに見分けが付きやすい様にしたよ」

「うん、それは良いけど…ちゃんと動くの?」

「はは、茉莉子。僕は一度あれば完璧に直してもう二度と失敗しないさ。まあ、その代わり他の場所に不具合が出てるかも知れないけど」

「…」


ゲームとかって、きっとこう言う事の繰り返しで完成するんだね。


「さて、それじゃあ動かすよ」


人形が再び光を纏う。
本当に上手くいくのだろうか。


「………ア、主。主…!」


今度は成功したみたい。
ぴょん、と人形はまだ上手く動かない体で主に抱きつく。
…ん?今気づいたけど私ってこんな事しない。
何だか少し都合の良いように作られてる気がするけど、人形も私なら個体差ってやつなのかな。
…うん、そう思っておこう。
とにかく良かった。そう安心した次の瞬間。


「…あ」

「あ」

「きゃあ…っ!」


人形の腕がボトリともげた。
あの時はビックリした。



3枚目


やっぱり主に呼ばれて様子を見に行くと、すっかり直った人形と…何故かもう一体増えて新品の人形が座っていた。
主…まず一体目を完成させてから増やした方が良いと思うの。


「「私達はマリコ、貴女はオリジナル。これから、よろしく」」

「…よろしく」


でも、三回目にしてどうやらちゃんと動く様になったみたい。
ちゃんと喋って、足取りもしっかりとしていた。


「軽く引っ張っただけで腕が取れるのは流石に不便だからね。まあ、戦闘にはあまり耐えられないけど日常生活に支障はないよ」

「中身の問題もないの?」

「うん、これで本当に完成さ。」

「そう、良かった。」


修復の為に素材集めに行かされたりしたけど、それもこれで終わり。
色々な意味でほっとした。
なのに、それを見た主が少し申し訳なさそうにして


「…茉莉子、実はね」

「どうしたの?」

「あと数体、作ろうと思うんだ」

「え…」

「だから素材集め、また行ってくれるね?」

「………うん」


…まだ終わりじゃなかった。
この時の私は、それはもうがっくりと肩を落としていた筈。


「オリジナル、私も手伝うから、頑張ろう?」

「白ちゃん…いいこ」

「まあ僕の世話は一番目のマリコがしてくれるからね。二人で行っておいで」

「…主、私は二番目。一番目は出掛ける方」

「あれ?」


主が首を傾げる。
そうか、同じ見た目だから、見分けつかないよね。


「…見分ける方法を考えておくから、茉莉子と一番目は行っておいで」


言い終わると同時に、主はすぐ自分の世界に入ってしまった。
…人形は最終的に何体になるんだろうか。
不安もあるけれど、良い子みたいだし、手伝ってくれるなら安心もある。
まあ、私のやる事は変わらないし何でも良いかな。
…妹、悪くないし。

妹と言う存在に何だか懐かしさを覚えながら、私は一番目と任務に向かった。



終わり



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